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点検商法について

1 点検商法って何?

 セールスマンが、「床下が湿気ています。」「地震が来たときに大変だ。」などと、不安感をあおり、不要かつ不当な内容の工事を不当に高額な金額で契約させる消費者被害が点検商法です。

 「床下の点検に来ました」など、「点検」を口実にすることがあることから「点検商法」と呼ばれていますが、「水道管の高圧洗浄をします」とか「下水マスの掃除サービスをします」など、セールスの切っ掛けは必ずしも「点検」に限られません。

 したがって、「点検」を口にしないセールスマンが来たときにも注意が必要です。

2 点検商法の手口(一例)

 点検商法では、飛び込みのセールスマンが、建物の土台に設けられている通風口に取り付けられている鋳物製の網では害虫(白蟻)やネズミが出入りするから「目の細かいステンレス製の網(防虫ネット)を付けませんか」などと言って、家の中に入る口実を作ります。

 防虫ネットなどの契約をしてしまうと、防虫ネットを設置する際に「ついでだから」などと言って床下に入り込み、湿気ていて土台が腐っているとか、柱とかが緩んでいて地震が来ると危ないなどと告げて不安感をあおります。そして、当日または翌日には契約をしてしまうことになるのです。

 一旦契約した後も、一定期間を空けて、再度契約者宅を訪問して追加の契約をしたり、耐震補強金具などへ取扱商品を拡大する例が多く、ひどい事案では、被害総額が数千万円に上ることも稀ではありません。

3 点検商法の問題点

① 必要性のない工事である

 床下換気扇、屋根裏換気扇、床下乾燥剤、屋根裏乾燥剤、耐震補強金具など総合的に見て必要性のない工事である点が問題です。

 例)耐震補強金具について
 地震の危険から耐震補強工事の必要性が説かれていますが、耐震補強工事とは、一般的に、建物の構造を調べた上で、筋交いを入れる工事を想定しています。耐震診断もしないで耐震工事をすることは通常考えられません。

② 契約金額(被害額)が高額である

 点検商法の問題点としては、工事に必要性がないだけでなく、材料費から考えて、とても高額な契約となっている点を指摘することができます。法律的には暴利行為(公序良俗違反で無効)と考えられる場合もあります。

 1回の契約金額が数十万円から数百万円。全体の合計金額が数百万円から数千万円に上ることも稀ではありません。

③ 契約を急がせる

 借家で、「大家さんに相談しないと・・・」と返事をすると、「地震が来たときに本当に困るのは、実際に住んでいる~さんだから」とか、「~年住んでいると、借りている人のものと同じだから」などと、法律的知識のない一般の消費者をだまして、とにかく契約を結ばせてしまう事例もあり、営業方法の点で悪質性があります。

④ 被害者が被害に遭ったという意識をあまり持っていない

 きれいなパンフレットや施工後の現場写真をアルバムにしたもの等を交付するなど、自分はちゃんとした仕事をしてもらったという意識を持っている点も、点検商法被害の問題点として指摘することができます。

4 点検商法被害に遭わないために

 一般消費者の皆さんを狙っている詐欺商法は、点検商法被害に限りません。ですから、点検商法だけに対応した対策を考えても本質的対策になりません。

 どんな詐欺商法にも共通した対策としては「日頃から、相談にのってくれる相手を作っておくこと」が大切でしょう。

5 点検商法被害かな?と思ったら

 お金を払う前だったら、お金を払ってしまう前に、消費者被害に詳しい弁護士に相談して下さい。

 お金を払ってしまった後でも、「点検商法かな?」と思ったら、出来るだけ早く弁護士に相談しましょう。

 業者の営業や契約に問題がある場合、 クーリングオフによって契約を解除するなどして、既払金の返還等を業者に求めたり、あるいはクレジットの支払を拒絶したりできる場合もあります。

6 相談先

 愛知県弁護士会が設置している法律相談センターの、「消費者被害に関する相談窓口」をご利用下さい。

(参考)

 独立行政法人国民生活センター

 http://www.kokusen.go.jp/

 「不安を煽る訪問販売には十分注意が必要 ~増加する悪質リフォーム被害」

 https://www.aiben.jp/page/library/chukei/c1708-01.html(当会ホームページ内)