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消費者契約法について

消費者契約法は、消費者と事業者との間に情報や交渉力の格差があることを前提として、消費者被害が生じた場合の迅速な救済、消費者被害の事前防止を目的として、平成13年から施行されています。

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消費者被害の救済について

消費者契約法によって消費者が救済され得る類型として、①消費者の誤認類型、②消費者の困惑類型、③業者が用いる不当な契約条項に対する規制の類型があります。

そして、①誤認類型には、さらに、(1)不実の告知(4条1項1号)、(2)断定的判断の提供(4条1項2号)、(3)不利益事実の不告知(4条2項、4項)と呼ばれる3つの類型があります。

(1)の不実の告知とは、平たくいえば業者が嘘をついた場合です。
例えば、本当は築20年であるにもかかわらず、築10年であると告げた場合のように、取引される商品や取引の条件について、通常、契約を締結するかどうかの判断に影響を及ぼすものに関して、業者が客観的事実と異なることを告げた場合をいいます。

(2)の断定的判断の提供とは、平たくいえば、業者が確実でない事柄について断言するような意見を述べた場合です。例えば、値上がりするかどうかは不確実な事柄ですが、業者が値上がりが確実ですなどと意見した場合です。

(3)の不利益事実の不告知とは、平たくいえば、それを知っていれば契約を結ばなかったような消費者にとって不利益な事柄(契約を締結する・しないの判断の決め手になるような事柄)を、業者が意図的に教えなかった場合です。例えば、中古車販売において事故歴があり、販売員がそれを知っていたにもかかわらず、事故歴について黙して販売した場合です。

②の困惑類型とは、例えば、業者に突然自宅を訪問され、帰って欲しいと言ってもなかなか帰ってくれず(不退去・4条3項1号)、仕方なく契約した場合とか、消費者が勧誘を受けている場所から帰ろうとしているのに帰してくれず(退去妨害・4条3項2号)、契約せざるを得なかった場合をいいます。

こうした①、②の場合には、消費者契約法は、契約を取り消すことができるとしています。
ただし、取り消すことができるのは、①騙されていることを知った時や、②困惑から脱した時から6か月(平成28年改正法施行後は1年)、契約を締結した時から5年という期間制限がありますのでご注意ください。

業者が用いる不当な契約条項に対する規制には、違約金の定めに関するものや、業者の免責に関するものなどがあります。

例えば、家を新築するために建築請負契約を結んだ後に、事情が変わり、施主の都合で解約せざるを得なくなった場合でも、消費者契約法は、その業者に通常、平均的に生じる損害までしか違約金を認めていません。

ですので、施主が契約締結後すぐに解約したにもかかわらず、業者が、契約条項を根拠に、請負代金の30%の違約金を請求したとしても、その業者にとって、通常、平均的に生じる損害でなければ、施主は支払う義務を負いません(施主側は、違約金のうち、その請負業者にとって、通常、平均的に生じる損害に含まれる部分については支払う必要があります。)。

適格消費者団体

このように、消費者契約法に基づいて、契約の取消しや無効を主張することもできますが、泣き寝入りをしてしまう消費者が多いのも実情です。

そこで、消費者被害を事前に防止し、消費者の保護を徹底するため、消費者契約法は、適格消費者団体による差止請求訴訟制度を定めています。

さらに、特別法では、広く消費者被害を救済するため、特定適格消費者団体による集団的消費者被害回復訴訟制度もできています。

おわりに

契約をした際に、不審を感じたり、押し切られてしまったなと感じたような場合には、消費者契約法により解決できる場合がありますので、愛知県弁護士会が設置している法律相談センターの消費者被害相談をご利用ください。