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商品先物取引・金や原油などの商品CFD取引について

商品先物取引・金や原油などの商品CFD取引の勧誘

突然の電話や訪問,異業種交流会での名刺交換などの場面で,「年金が将来どうなるか,不安ですよね。」「資産運用に興味はありませんか。」「有利な資産運用の話があるんです。一度会ってお話だけでも聞いていただけませんか。」「銀行に預けておくよりも有利です。」「このチャートを見てください。今が底値なので,チャンスです。」「1日でも早いほうがいいですよ。」「私たちに任せてください!」などという勧誘をされたことはありませんか。

しつこい勧誘に根負けして,会って話を聞くだけなら構わないかと軽く考えて,会う約束をしてしまうと,そこから更に執拗な勧誘を受けて,ハイリスクな取引に引きずり込まれてしまうことがあります。

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商品先物取引とは,日本国内の「公設」の取引所(平成27年現在は,東京商品取引所,大阪堂島商品取引所)に上場されている商品を対象とし,将来の一定の時期に,一定の価格で商品の売買を行うことをあらかじめ約束する取引です。

商品CFD(Contract for Difference)取引とは,国内や海外の金や原油などの商品の価格を差金決済の指標とする,「私設」の証拠金取引です。

これらの取引では,株の現物取引と異なり,少ないお金(証拠金・保証金)で大きな金額の取引ができるため(レバレッジ),その分,ハイリスク・ハイリターンとなっています。

予想が当たったときの利益が大きい反面,金や原油などの商品の値段が,予測した方向と反対の方向に少し動いただけで,あっという間に預けたお金がなくなってしまうこともあるのです。

しかし,商品先物取引業者や商品CFD業者の中には,取引の仕組みやリスクを十分に説明せず,あたかも簡単に儲かると誤解させる言い方で勧誘する者もいます。

そして,一旦取引に入ると,次から次へと取引を続け,儲かればその儲けを次の取引につぎ込んでさらに規模の大きな危険な取引へと勧誘したり,予想に反して損が発生すると,その損を食い止めるため,あるいは損を挽回するためといって,さらに新たな資金を入れるよう求めてくる業者もいます。

売ったり買ったりを頻繁に繰り返したり,売りと買いとを同時に建てさせる両建というやり方をして,たくさんの手数料がかかる取引へと勧誘する業者もあります。

また,取引をやめたいと言ってもやめさせてもらえない,取引が終わったのに清算金が支払われない,業者と連絡が取れなくなった,といったトラブルも報告されています。

業者に勧められるまま,わけの分からないまま取引を続けてしまうと,いつのまにか,「数百万円,数千万円の損が出ました!」「追加で百万円入金しないと,これまで預けていただいたお金が0になってしまいます!」などと言われて,びっくりするということもありますので,注意が必要です。

また,商品CFD取引業者の中には,国の許可を受けなければならないのに,無許可で勧誘をしている業者も存在するようですので,注意が必要です。

取引に関心がない,仕組みやリスクが分からない人は,勧誘を断りましょう

法令の改正に伴い,平成27年6月から,商品先物取引の勧誘ルールが変わりました。

これまで,商品先物取引については,契約締結の勧誘を要請していない者に対する訪問や電話による勧誘は,一定の例外を除いて禁止されていました(不招請勧誘の禁止)。

しかし,今般,この例外となる類型が追加され,新しいルールでは,これまでより広く,一定の条件を満たす者に対して,商品先物の国内取引所取引の不招請勧誘が可能となりました。

このため,今後は,消費者が,商品先物取引の勧誘を受ける機会が増える可能性があります。

商品先物取引は,仕組みが複雑で,投資額以上の損失が生じる(実際に支払った金額がなくなるだけでなく,さらに追加でお金を支払う必要が生じる)可能性もあるハイリスク・ハイリターンな取引です。

勧誘があっても,取引に関心がない,取引の仕組みが理解できない,リスクの大きさが理解できないといった方は,きっぱり,勧誘を断るようにしましょう。

もしトラブルに遭ってしまったら

万一,トラブルに遭ってしまった場合には,最寄りの消費生活センターや,投資被害に詳しい弁護士に相談してください。

弁護士に相談すれば,取引をやめることができますし,その業者の営業や取引の内容に問題があれば,損害賠償の請求をして,お金を返してもらえるケースもあります。

愛知県弁護士会・名古屋法律相談センターでは,平成18年10月から,投資被害専門の相談窓口を設けて相談を受け付けています。

被害が拡大する前に,お早めにご相談ください。

(参考)

無許可(無登録)で商品先物取引業(商品先物取引仲介業)を行う者の名称等について
(農林水産省,経済産業省)

商品先物取引 (独立行政法人国民生活センター)

ご存じですか? 商品先物取引の勧誘ルールが変わります!
独立行政法人国民生活センター)