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CO2排出権取引被害について

  • 「今値上がりしているよい商品があります。」
  • 「原発事故の関係で,火力発電所が増えて,CO2が増えていますよね。CO2排出権の値段が上がっているんですよ。」
  • 「元本は必ず戻りますので,安心してください。」
  • 「今が,すごいチャンスです。絶対に儲かりますので。」

などという勧誘をされたことはありませんか。

しつこい勧誘に根負けして,会って話を聞くだけなら構わないかと軽く考えて,会う約束をしてしまうと,そこから更に執拗な勧誘を受けて,ハイリスクな取引に引きずり込まれてしまうことがあります。

CO2排出権証拠金取引とは

排出権取引とは,地球温暖化の原因とされている,温室効果ガス(その大部分はCO2)の排出量を削減するための取引で(詳細は環境省ホームページ参照),ヨーロッパなどで運営されています。

具体的には,①政府が企業ごとにCO2の排出枠を割り当て,②その上限より実際の排出量を少なく抑えることができた企業は,余った排出枠を,上限を超過してCO2を排出する企業に売ることができる,というものです。

しかし,業者が,消費者に対して勧誘してくるのは,上記(1)のようなCO2排出権そのものの取引ではなく,CO2排出権の値段(レート)を差金決済の指標とする,私設の証拠金取引(CFD取引)と考えられます。

CO2排出権証拠金取引とは,顧客が,業者に対して,証拠金(ないし保証金)を預け,これを担保に,何十倍もの規模の取引を行う証拠金取引です。

CO2排出権の価格が予想どおりに変動した場合には大きな利益を得られますが,予想に反した場合には大きな損失が発生します。この損失は,業者に預けた証拠金(ないし保証金)を上回るおそれもあり,ハイリスクな取引となっています。

また,取引をするに当たっては,海外のCO2排出権の価格や,為替のレートなど,様々な要素を検討しなければならず,素人には,取引の仕組み自体の理解も困難です。

最近,取引をやめたいと言ってもやめさせてもらえない,取引が終わったのに清算金が支払われない,業者が破産した,業者と連絡が取れなくなった,といったトラブルも報告されています。

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CO2排出権取引の被害が多発した背景

ロコ・ロンドン貴金属取引など,金や原油を差金決済の指標とした商品CFD取引のトラブル,悪質な業者が急増したことなどから,平成23年1月1日,商品先物取引法が施行され,商品CFD取引を業として行うには,国の許可が必要となりました。

国の許可が取れない業者たちは,新たな商材を求め,CO2排出権を指標とすれば,国の許可を取らなくても勧誘ができると考えて,勧誘の中心を,CO2排出権証拠金取引にシフトしていったと考えられます。

もしトラブルに遭ってしまったら

万一,トラブルに遭ってしまった場合には,最寄りの消費生活センターや,投資被害に詳しい弁護士に相談してください。

弁護士に相談すれば,取引をやめることができますし,その業者の営業や取引の内容に問題があれば,損害賠償の請求をして,お金を返してもらえるケースもあります。

愛知県弁護士会・名古屋法律相談センターでは,平成18年10月から,投資被害専門の相談窓口を設けて相談を受け付けています。

被害が拡大する前に,お早めにご相談ください。

(参考)独立行政法人国民生活センター

CO2(二酸化炭素)排出権取引に関する儲け話のトラブル!