愛知県弁護士会司法修習費用給費制復活緊急対策本部では、司法修習生への給費制度の復活・充実に向けて様々な活動を行っています。

司法修習とは?

司法修習とは、司法試験の合格者が行う、約1年間の研修のことです。

裁判官・検察官・弁護士になるには、司法試験に合格するだけではなく、原則として約1年間の司法修習を修了することが法律上義務づけられています。

司法修習の期間中、司法修習生は、平日の午前9時頃から午後5時頃まで、裁判所、検察庁、弁護士事務所等で研修を受けており、通常の会社員と同様の生活を送っています。しかし、司法修習生には、約1年という期間で裁判官・検察官・弁護士になるための知識や素養をしっかり身に付けさせるため、「修習専念義務」といういわゆる兼業禁止義務が課せられており、休日や平日の時間外のアルバイトは原則禁止されています。そのため、司法修習生は、司法修習中、収入を得ることができません。

司法修習生への経済的保障

司法修習生は、「修習専念義務」により司法修習のみを行いますから、その間の経済的保障として、かつては公務員と同等の給与が支給されていました(給費制)。

しかし、2011年にこの給費制は廃止され、司法修習中の生活費や交通費等が賄えない人には、最高裁判所がお金を貸すという制度(貸与制)が導入され,司法修習生は無給状態となり,多くの司法修習生は、1年間で約300万円もの借金をして生活しなければなりませんでした。

この後、2017年に貸与制が一部変更され、修習給付金制度が創設されました。月額13万5000円の修習給付金だけでは生活資金等が不足する場合には、貸与も受けられるよう貸与制はなお残存しています。

給費制復活緊急対策本部の取り組み

2010年以降、給費制の維持・復活へ向け、弁護士会や法律家を目指す若者たちが中心となり、全国で様々な活動を行いました。私たち愛知県弁護士会の給費制復活緊急対策本部も、署名集めや市民集会の開催、議員への陳情や永田町の議員会館での集会開催など、様々な活動を行ってきました。

1-2.jpg 2-3.jpg
(全国2500人パレード) (チラシ配り)

3.jpg 4.jpg
(愛知での市民集会) (議員会館での院内集会)

このような活動が実を結び、修習給付金制度が創設され、第71期以降の司法修習生へは、給付金が支給されることとなりました。

しかし、修習給付金制度では、司法修習生に給付される金額は月額13万5000円にとどまっており、以前の給費制の水準には達していません。そして、司法修習生は、原則として法科大学院を卒業し、その後に司法試験に合格して司法修習生となるため平均年齢は毎年29歳前後である上、毎日スーツを着て裁判所・検察庁・弁護士事務所へ行って司法修習を行うことを考えると、経済的な不安なく修習が行える制度であるとまでは評価できません。

司法試験の受験者数は、年々減少しており、修習給付金制度が創設されても、なお減少し続けています。10年前の受験者数は9734人でしたが、今年は約半数の4930人でした。

また、貸与制が採用されていた時期に司法修習を行った新第65期から第70期の司法修習生のいわゆる谷間世代問題の問題がなお残っています。谷間世代は約1万1000人もいます。

谷間世代の置かれた不平等・不公正を放置するわけにはいきません。谷間世代の問題は,本来国が取り組むべき課題であり,日弁連も国に対し不公平の是正を訴え続けなければならないと考えています。

詳細はこちら 

 おわりに

裁判官、検察官、弁護士は、この国の三権の一翼たる司法の担い手であり、その養成は国の責任です。私たちは、法曹を志す者が経済的理由からその道を断念することのないよう、司法修習生に対する適正な額の給費の実現を、これからも求めていきたいと考えています。