9月20日から24日まで、モンゴルへの視察旅行へ行った。モンゴルは、ロシアと中国の間に挟まれた社会主義国家であったが、ソ連邦崩壊後、民主的な選挙も行われるようになった。当会との関係では、田邊正紀会員が、JICAから2年間法律支援で赴任しており、当会からも2015年に視察に行っている。私も、10年前の視察に参加し、乗馬と夜の満天の星空が、非常に強く印象に残っていたが、10年の間に、どのように変わっているのかに興味があり、今回の視察旅行に参加した。
モンゴル到着後、まず、首都のウランバートルから、離れた郊外で、ゲルに泊まった。翌日の午前中は、乗馬を楽しんだ。このような体験は、モンゴルならではと思う。午後は、ウランバートルに戻り、観光名所の見学をした。以前よりも、高層ビルがいくつも建っており、経済的にも発展していることが分かった。こうして、10年ぶりのウランバートルを実感し、翌日から、法曹関係機関を視察した。 
最初に、モンゴル法曹協会を訪問した。ODGEREL会長とJOLBARS事務局長等に対応していただいた。法曹協会の会員は、裁判官、弁護士、検察官と公証人等も入っているとのことであり、定期的な会合があるようであった。モンゴルでは、実際に弁護士になるためには、法曹協会が行う、法曹になるための試験に合格した後に、数年の研修を受けてから、弁護士会による試験を受けて初めて弁護士となれる。この法曹になるための試験は、日本での司法試験に該当し、合格後の実務修習は、日本では、司法研修所が一緒に行っているが、モンゴルでは裁判所や弁護士会が独自に試験を行っているようである(例えば裁判官が弁護士になろうとする場合も弁護士会の試験を受ける必要がある)。
また、法曹協会には、法曹資格に対する懲戒権があり、弁護士会にも弁護士資格に対する懲戒権があるとのことであった(弁護士会はいったん任意団体化されていたが、再度強制加入団体となったようである)。 
この後の国会や裁判所等の視察には、常にJOLBARS事務局長が同席していただいた。国会では、BAASANJARGAL国会議員から話を聞いた。同議員は、弁護士でもあり、アジアプロボノ会議で受賞歴があるようで、名刺には点字が入っていた。モンゴルでの家庭裁判所の創設に強い意気込みを感じた。モンゴルでは日本以外にも、アメリカや韓国の法制度も参考に司法制度の構築が進められているようである。
次に、裁判所を見学した。その際に、驚いたことは、各法廷にビデオカメラが設置されており、裁判所に来る人は、その法廷の中が一階のロビーで見られるという事であった。さらに、最近では、ネット配信もするようになって、重要な事件の裁判についても、記者があまり取材に来なくなったとのことであった。もちろん、10年前はこのような事はなく、隔世の感があった。なお、本年2月のベトナム視察では、被告人が勾留場所からWEBで裁判に参加しており、諸外国では、このような裁判も実施されているようである。 
その後、司法研修所において、「モンゴルにおける外国判決の執行に関する規律及び実務」をモンゴル司法アカデミー研究所のエルデネバートル・エルフビルグーン氏が、「日本における国際取引に関する司法判断の執行の規律と実務」を瀧島委員長が講義された。条約等が絡むかなり難しいテーマではあったが、分かり易くまとめられていた。
翌日の午前中は、弁護士会を訪問した。会長は不在であったが、弁護士会に置いてあった最新号の会報について、田邊会員は、これの第1号の表紙のデザインは、僕が作ったんだけどと、さりげなくアピールされていた。
続いて、オユー弁護士の事務所を訪問することになった。刑事事件、会社関係の事件や行政事件等を扱っているとのことであり、参加者からは、モンゴルではどのような手続になっているのか、どういう依頼者が多いのか、どうやって報酬を貰うのか等々、質問が多く出ていた。各会員にも身近な分野のことなので、モンゴルとの違いや共通点等が具体的に感じられた。

午後からは、小板橋龍正先生の案内で、モンゴル国立大学の中にある名古屋大学日本法教育研究センターを視察した。センターの目的は、日本法を理解したモンゴルの専門家を育てるとのことであり、知念会員が交通事故について、新美会員が刑事弁護について、講義をし、学生からの質問等を受けていた。

最後の夜は、モンゴル弁護士会が主催する食事を頂いた。DANZANNOROV会長は、午前中の不在を詫びられ、各会員へプレゼントがあった。馬頭琴やホーミーの演奏があり、暫く和やかに、役員の先生方と話をしたり、写真等をとったりして、そこでの食事は終了した。
その後、希望者だけであったが、日本では出来ない体験をした。北朝鮮が経営するレストランで食事をしたことである。本来の営業時間を延長してもらった為、他に客はおらず、我々だけであった。雰囲気は普通であったが、写真撮影は厳禁である。メニューすら撮影不可能であった。書き出すと、もっと色々な事があったが、紙面がないので、興味がある方は、是非国際委員会に出席され、レストランへ行かれた会員に感想を聞かれたらと思う。
最後に、旅行を通じて、通訳をしていただいたブヤンウンダラハさん、バトオルギル(愛称バト)さん達に感謝申し上げる。バトさんは、司法試験受験の要件を満たしたら受験するようであり、合格をお祈りする。

