「NPO法人 セカンドハーベスト名古屋」

 本年度の当会人権賞受賞者として上記の団体を選定し、平成24年2月14日当会会館において表彰し、副賞20万円と記念品を授与させていただきました。

「NPO法人 セカンドハーベスト名古屋」
左から山田康弘理事、本岡俊郎理事(事務局長)

 セカンドハーベスト名古屋は、平成20年に活動を開始し、平成21年1月NPO法人となった「フードバンク」の活動を行っている名古屋で唯一の団 体です。フードバンクとは、会社や家庭で余っている食品や、印字ミス、パッケージ破損、販売期限キレなどの理由で、品質的には何の問題もないにもかかわら ず廃棄される食品を、経済的な理由などで食べることに困っている人に届ける活動です。

 セカンドハーベストの活動は、ホームレス支援や外国人支援などの人権問題に取り組む他の団体に食料を提供する後方支援的なもので、地道で献身的で す。さらに、平成23年3月11日に発生した東日本大震災後には、直ちに一般の方に食料を箱に詰めてもらって被災地に送る「ごはん応援箱」という活動を立 ち上げ、それを継続的に行いましたが、これも非常に優れた活動です。

 これらの諸活動は、人権侵害に対する救済活動、人権思想の普及・確立のための活動、その他人権擁護のための活動を通して優れた活動をした方を表彰するという愛知県弁護士会人権賞の趣旨に合致するものです。

 「セカンドハーベスト名古屋」のこれまでの活動を表彰させていただくとともに一層の活躍を期待しております。また、当会の人権賞受賞を機会により多くの方々に「セカンドハーベスト名古屋」を知っていただき、こうした団体を支えていただけることを祈念しております。

 なお、愛知県弁護士会人権賞は平成元年度から今回で23回を数えるもので、来年度も実施を予定しております。身の回りに候補になる方がありましたら、ぜひ当会まで情報をお寄せください。

NPO法人セカンドハーベスト名古屋 人権賞受賞を受けて

《愛知県弁護士会報SOPHIA平成24年1月号より》
(人権擁護委員会人権賞小委員会委員 今泉麻衣子)

1 セカンドハーベスト名古屋の活動内容

 セカンドハーベスト名古屋は、「フードパンク」の活動を行っている名古屋で唯一の団体です。

 フードパンクとは、会社や家庭で余っている食品や、印字ミス、パッケージの破損、販売期限切れなどの理由で、品質的には何の問題もないにもかかわらず廃棄される食品を、経済的な理由などで食べることに困っている人々に届ける活動をいいます。

2 活動の特色

(1) 人権活動の後方支援

 活動の一番の特色は、他の人権問題に取り組む団体の後方支援的な活動を行うことにより、様々な人権活動を陰で支えている点にあります。

 生活に困窮する人や社会的弱者で支援を必要としている人の人権問題に取り組んでいる団体は、「食」についても支援を行っていることが多いです(例えばホームレス支援団体が行う炊き出し)。

 しかし、支援を行うのに十分な食料を独自に集めることは容易ではありません。食料の確保に時間と人員を割いては、本来の団体の活動、例えば、生活困窮者からの相談を受けて具体的な解決策を検討することなどに使う時間や人員が奪われてしまいます。

 セカンドハーベスト名古屋は、他のフードパンク等とも協力して食料の提供元を開拓し、外国人支援団体、ホームレスなどの支援団体、福祉団体などに食料の提供を行い、これらの支援団体の活発な人権活動を後方から支えています。

(2) 外居人支援

 また、外国人の貧困が深刻な状態にあるにもかかわらず、言葉の壁等で問題が表面化していない点を重大な問題ととらえ、外 国人のコミュニティが形成されている場所、例えば教会などで食料の提供を行うという呼びかけをし、そこで、支援が必要な人には支援団体を紹介するなど、人 権問題(貧困問題)の発見にも努めています。

3 これからの活動について

 セカンドハーベスト名古屋は、平成20年に活動を開始し、平成21年1月にNPO法人となった新しい組織ですが、平成 23年の食品取扱量は平成20年の約9倍になり、活動の幅を広げています。昨年は、東日本大震災の際に一般の方に呼びかけてユニークな継続的支援(ごはん 応援箱※)も行うなど新たな活動も活発です。

 ※支援をしたいと希望する人に、新生活に必要な食料等を入れたごはん応援箱を作ってもらい、これをとりまとめて仮設住宅等に送る活動

 また、外国人の貧困対策のため、今後は外国人の多い静岡県西部や三重県(鈴鹿周辺)などにも倉庫を設け、より広い範囲で活動を行う予定とのことです。

4 感想

 セカンドハーベスト名古屋は、2年前にも私が人権賞調査を担当し、惜しくも受賞を逃したという経緯があります。

 その際と比較し、現在は、多様なニーズに対応する食品も扱うことができるネットワークが構築されました。このネットワークを活用して幅広い団体への提供を行い、さらに新たな活動に踏み出した点が今回の受賞につながったのではないかと思います。

 「食」という、生きる上での基本を確保することで人権活動を支え、さらには積極的に支援を必要とする人の掘り起こしを行う、その熱心な活動に改めて尊敬の念を抱きました。人権賞受賞をきっかけに、さらに活動の幅を広げられることを願っています。

《愛知県弁護士会・人権賞とは》

 愛知県弁護士会人権賞は、人権擁護のための地道な活動を続ける人や団体を顕彰するため、平成元年度に創設されたもので、今回が第22回となります。
 候補者の中から受賞者を選考する選考委員会は、学者の方やマスコミ関係者などから5名と弁護士4名の合計9名で構成され、さまざまな視点から意見を交わして選考を行います。

 →詳しくはこちらのページをご覧ください。