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平成19年12月25日付名古屋拘置所宛て勧告書

愛弁発第274号  平成19年12月25日  

名古屋拘置所
所長  遠山  幹夫 殿

愛知県弁護士会 会長  村上 文男

勧 告 書

 当会は、貴所に在監中である○○○○氏に係る人権侵犯救済事件(平成13年度第4号事件及び平成17年度第15号事件)について、以下のとおり勧告する。

 

第1 勧告の趣旨

  1.  貴所において、申立人からの図書閲読の申出に対して、別紙抹消箇所一覧表に記載の箇所について、抹消しなければ 閲読させないという制限又は抹消した上で交付し閲読させたという制限をしたが、これらは、申立人の図書の閲読の自由を侵害するものであるので、今後、このような制限をしないすること。

  2.  貴所において、申立人から人権救済申立の資料とする図書の特別領置を申出があったにもかかわらず、これを廃棄したが、これは、人権救済申立て活動をする申立人の権利を侵害するものであるので、今後、このような廃棄の処置をしないようにすること。

第2 勧告の理由

1 申立の概要

 申立人は、強盗殺人罪等の刑事被告人として、平成7年11月8日より、貴所に在監中の者である。

 本件各申立は、申立人が貴所に在監中に行われた貴所の行為が人権侵害であるとして、下記のとおりの救済を求めるものである。

(1)平成13年度第4号事件

 平成13年11月初旬頃、申立人は、領置中の『極悪シリーズ』という書籍の私本の仮出し申請を行なったところ、貴所より、一部分につき抹消しなければ閲読させない旨の告知があった。貴所が抹消を求めた箇所は、別紙抹消箇所一覧表1に記載のとおりである。

 しかし、この告知については理由の説明もなく、抹消するという部分も別紙抹消箇所一覧表1のとおり11箇所に及 び、必要最小限の制限とはいえない。証拠隠滅のおそれ、逃走のおそれなどを生じる場合以外には制限されるべきものではなく、申立人が貴所から聞いた「抹消 部分はハンスト、自殺に関する部分」という事項についても、自殺の方法は一般的にも知識として理解して通常人であればわかっているものであり、ハンストに ついての記載も証拠隠滅のおそれ、逃走のおそれを生じせしめるものではなく、抹消される理由を有さないと考えるべきである。

 よって、申立人は、貴所に対し、『極悪シリーズ』を抹消されることなく私本仮出し申請に応じることを求める。

(2)平成17年度第15号事件
  • ア 平成15年8月から平成16年3月にかけて、申立人は、領置中の『フォーラムニュース第72号』、『フォーラム ニュース第73号』及び『フォーラムニュース第74号』というパンフレットの私本の仮出し申請を行ったところ、貴所より、東京拘置所の刑場の様子等に関す る記述の大部分を抹消された状態で交付された。このうち『第73号』及び『第74号』について、貴所が抹消した箇所は、別紙抹消箇所一覧表2及び3にそれぞれ記載のとおりである。また、平成16年9月下旬頃、申立人は、領置中の『「罪」のゆくえ「責任」のゆくえ』というチラシの私本の仮出し申請を行ったところ、貴所より、一部分につき抹消された状態で交付された。さらに、申立人は、『実録!刑務所のヒミツ』という書籍の私本の仮出し申請を行ったところ、貴所より抹消予定の事実を告知されたため、申立人は仮出しを中止する旨を申し出、領置が継続された。
     しかし、証拠隠滅のおそれ、逃走のおそれなどを生じる場合以外には図書の閲読は制限されるべきものではなく、東京 拘置所の刑場の様子等に関する記述についても、申立人がそれらを知ることにより証拠隠滅のおそれ、逃走のおそれを生じせしめるものではなく、抹消される理 由を有さないと考えるべきである。
     よって、申立人は、貴所に対し、抹消処分に対する運用の改善を求める。

  • イ 申立人は、別件人権救済申立にかかる参考資料として、冊子5冊(雑誌『ディズニーファン』3冊、雑誌『らみい』 2冊)について、松本達志弁護士・堀田千津子弁護士宛に特別宅下げ(郵送宅下げ)の申出をしたところ、平成15年2月13日、これが不許可となったため、 同日、上記各冊子について特別領置を申し出たが、同月17日になって、貴所石川幸二係長より廃棄した旨通知があった。
     しかし、この廃止処分については、貴所が申立人の意思の確認をしていない。この廃棄処分によって、申立人の所有権が侵害されたとともに人権救済申立をする権利も侵害された。
     よって、申立人は、貴所に対し、私本の廃棄処分に関する運用の改善を求める。



2 調査の結果

 当会の調査の結果の概要は、以下のとおりである。

(1)平成13年度第4号事件
  • ア 申立人は、本件以前にも私本の抹消の件(20数冊)で何回も貴所とはトラブルとなっており、抹消された箇所は刑務所の内部のことについての記載が多く、申立人が友人から差し入れてもらった本も抹消されてしまい読むことができなかったこともあった。

  • イ 抹消された事例

     (ア)本件で問題となっている『極悪シリーズ』と同じ著者が著した『息子発狂寸前』という私本を仮出しした時には、 ハンスト部分の記載があったにもかかわらず、当該部分については抹消されていなかった。そこで、申立人がその事実を指摘すると、貴所からは、「こちらのミ スで一部分抹消し忘れた。」との回答がなされた(企画主席、指導統括)。

     (イ)「パクさん、箸で自殺を図る」という新聞記事は、最初は抹消されていなかったが、後から抹消されていたことがあった。

     (ウ)申立人が独居房にいるにもかかわらず、「雑居房でリンチをした」との刑務所生活の本の部分を抹消されてしまった。
     貴所に申立人が、抹消の基準をたずねたところ、「問題性があることだから、答えられない。」(指導課宮地氏)と述べ、抹消の対象を選別する基準が曖昧である。

     (エ)ラジオ(平日午後5時から9時まで、土日祝日は一日中、午後9時まで。但し、午後1時から午後3時の午睡(昼寝)時間には消される。)についても、一度、放送が流れると、その後で突然消されてしまうことがあった。

  • ウ 広島弁護士会の勧告(1998年4月16日申立、1999年2月17日決定)においても、同種事案について抹消されるべきではないと判断されている。

  • エ 貴所からの回答要旨

     (ア)『極悪シリーズ』について、貴所が申立人に対し、抹消を前提とした意思確認を行なったところ、平成13年11月21日、申立人は願せんをもって仮出しを中止する旨を申し出た。

     (イ)(ア)の仮出し申出の前に、領置中の私本『元刑務官が語る刑務所』(著者:坂本敏雄、出版:三一書房)について、申立人から貴所に対し、仮出しの申出がなされた際、その一部の抹消を許可の条件にしたことはある。
     抹消の理由は、拘留の目的を阻害するおそれが認められた外、監獄内の規律及び秩序の維持を阻害するおそれが認められたからである。
     抹消箇所は、拘留の目的を阻害するおそれが認められた部分の外、監獄内の規律及び秩序の維持を阻害するおそれが認められた部分である。

     (ウ)領置中の私本の仮出しについて、それを認めない場合や一部の抹消を求める基準は、逃走及び罪証隠滅の防止という拘留の目的を阻害するおそれが認められる外、監獄内の規律及び秩序の維持を阻害するおそれが認められる場合等である。



(2)平成17年度第15号事件
  • ア 抹消処分について
     貴所により抹消された箇所は、『フォーラムニュース』に関しては、東京拘置所内の刑場に関する記述である。具体的 には、『第73号』及び『第74号』に衆議院法務委員会のメンバーが東京拘置所の刑場を視察した際の刑場の様子(刑場の形状、死刑執行の方法・手順等に関 する記述箇所一切及びそれについて描かれた挿絵等)等に関する記述である。なお、『第72号』については、抹消前の具体的記載内容が確認できなかったた め、本勧告の対象外とした。また、『「罪」のゆくえ「責任」のゆくえ』に関しては、絞首刑の状況等の記載であるが、これも抹消前の具体的記載内容が確認で きなかったため、本勧告の対象外とした。 『実録!刑務所のヒミツ』に関しては、玉入れ、自傷、隠匿、職員暴行、逃走、異物嚥下の方法の記載であるが、こ れも抹消予定箇所の具体的内容が確認できなかったため、本勧告の対象外とした。

  • イ 廃棄処分について
     申立人は、平成14年12月17日、もともと申立人居房内にあった『ディズニーファン』3冊について、クリスマス プレゼントとして申立人の姪等3名の子どもに対して宅下げ(郵送宅下げ)をしたい旨の申出をしたが、同日、貴所はこれを不許可とし、翌18日、申立人に対 して告知された。
     この不許可処分を不服とした申立人は、平成15年1月27日、この『ディズニーファン』3冊に『らみい』2冊を併 せた計5冊の冊子について、名古屋弁護士会(現在は愛知県弁護士会)人権擁護委員会への人権救済申立にかかる参考資料として、同弁護士会所属の松本達志弁 護士・堀田千津子弁護士宛に宅下げ(窓口宅下げ)をしたい旨の申出をしたが、同日、これも不許可となり、同年2月13日、申立人に対して告知された。この 時、申立人に対して不許可の理由は明らかにされなかった。
     このため、申立人は、同日又は同月17日、上記各冊子について、「弁護人の指示があるまで領置されたい。」と特別領置を申し出たが、同月17日になって、貴所石川幸二係長より既に廃棄した旨の告知があった。この廃棄について、申立人の意思は確認されなかった。

  • ウ 貴所からの回答要旨

    (ア)抹消処分について
     ①『フォーラムニュース第72号』に関しては平成15年8月26日、②『フォーラムニュース第73号』に関しては 平成15年10月、③『フォーラムニュース第74号』に関しては平成16年3月31日、④『「罪」のゆくえ「責任」のゆくえ』に関しては平成16年9月 21日、⑤『実録!刑務所のヒミツ』に関しては、平成16年6月及び平成17年5月、それぞれ申立人が仮出しを申し出た。
     上記①②③について、東京拘置所内の刑場に関する記述を抹消した状態で交付した。上記④について、絞首刑の状況等 が掲載された箇所を抹消した状態で交付した。上記⑤について、平成16年6月4日及び平成17年6月8日、「一部抹消の上、許可相当」との審査結果を告知 した結果、申立人が仮出しの中止を申し出たため、交付せずに領置した。
     抹消の理由は、本人にそのまま閲読させた場合、身柄の確保(④については、心情の安定を含む。)及び施設の規律秩序維持に支障があると思料されるためである。
     抹消する場合の基準は、内規による。

    (イ)廃棄処分について
     回答しかねる(照会時点において、本件廃棄処分に関して、申立人により訴訟が提起されて係属中であった。)。

  • エ 名古屋地方裁判所の判決

    (ア)抹消処分について
     本件抹消処分を含む貴所の処分に関して、申立人が原告となって提起した国家賠償請求事件において、平成19年7月 13日、名古屋地方裁判所は、『フォーラム第72号』、『第73号』、『第74号』もしくは『「罪」のゆくえ「責任」のゆくえ』についての貴所による本件 抹消処分、及び『実録!刑務所のヒミツ』についての貴所による抹消告知部分(一部)の違法性を認め、国に対し、5万円の慰謝料の支払いを命じる判決をした (確定)。

    (イ)廃棄処分について
     本件廃棄処分を含む貴所の処分に関して、申立人が原告となって提起した国家賠償請求等事件において、平成18年9 月22日、名古屋地方裁判所は、『ディズニーファン』3冊についての貴所による本件廃棄処分の違法性を認め、国に対し、5000円の慰謝料の支払いを命じ る判決をした(確定)。

3 判断
(1)平成13年度第4号事件
  • ア 図書の閲読の自由は、憲法上、19条(思想及び良心の自由)、21条(表現の自由)から派生する当然の権利であ り、その保障は13条(個人の尊重)の趣旨にも沿うものであるから、あらゆる場面で最大限尊重されなければならない。また、申立人は未決拘禁者であるとこ ろ、未決拘禁者は原則として一般市民としての自由を保障されるべきものであるから、その自由の制限については、逃亡又は証拠隠滅の防止という拘禁目的を達 成する上で必要最小限のものでなければならない。
     この点、最高裁(昭和58年6月22日判決)では、上記拘禁目的のための外に、監獄内の規律及び秩序維持のために 被拘禁者の書籍閲読の自由を制限することを認めるが、しかし、それは「目的を達成するために真に必要と認められる限度にとどめるべきものである」とし、 「当該閲読を許すことにより右規律及び秩序維持が害される一般的、抽象的なおそれがあるというだけでは足りず、...(中略)...具体的な事情のもとにおい て、...放置することができない程度の障害が生ずる相当の蓋然性があると認められることが必要」であるとしている。
     したがって、当該図書の閲読の制限については、①逃亡又は証拠隠滅の防止という拘禁目的、②監獄内の規律及び秩序維持について、制限をしないで閲読を許した場合にそれら目的等を害する「明白かつ現在の危険」の有無を基準に判断すべきである。

  • イ これを平成13年度第4号の抹消告知処分において、貴所所長殿に裁量権の逸脱がなかったか否か、具体的に検討する。
     『極悪シリーズ』の別紙抹消箇所一覧表の該当箇所である8ページから48ページを検討するに、

    ① 8ページから9ページまでは「人を制するには」などといった雑談的記述
    ② 12ページから19ページまでは薬物についての記述
    ③ 20ページから27ページまでは少年に対する弾圧についての記述
    ④ 28ページから35ページまでは「ノストラダムスの大予言」についての記述
    ⑤ 36ページから42ページまでは、盗聴法に対する著者の意見
    ⑥ 43ページから45ページまでは、著者の刑務所内における食事等の生活状況に関する記述
    ⑦ 46ページから47ページ2行目まで、及び46ページ4行目、48ページ3行目乃至5行目、同11行目乃至13行目、49ページ1行目、同4行目乃至6行目は、ハンガーストライキに関する記述
    ⑧ 47ページ10行目は、著者の母がメモを拘置所に内緒で著者に渡したことに関する記述
    ⑨ 49ページ7行目乃至9行目は、医者に診てもらうために著者が舌や頬の内側を歯で切って出血させたことに関する記述
    ⑩ 218ページ最後の行、219ページ最後から3行分は、被拘禁者から被拘禁者へとメモを手渡していき、特定の被拘禁者同士が連絡を施設に内緒で取り合うことに成功したことについての記述である。

     上記①乃至⑥については、一般的読み物であるから、何ら被拘禁者の拘禁目的を害する要因にはなり得ないし、秩序・規律維持を害する具体的蓋然性も全くない(因みに、申立人は薬物犯罪者ではない)。

     上記⑦乃至⑩については、刑務所内の生活について触れられているものの、これらの記述は、常識的な知識の範囲内のものであり、特にこの部分を被拘禁者(申立人)が閲読したからといって、拘禁目的を何ら阻害するとは認められない。
     また、これらの部分を被拘禁者が閲読したからといって、例えば、具体的に被拘禁者同士でどのようにすれば連絡が当局に内密で取り合うことができるかといった、現実的な手法までは記述されてはいないから、拘置所内の秩序・規律維持を害する具体的な蓋然性はない。
     よって、「抹消しなければ仮出しには応じられない」という貴所の措置は、「明白かつ現在の危険」がないにもかかわらず行なわれた不当な措置であり、申立人の図書閲読の自由を不当に制限するものである。

(2)平成17年度第15号事件
  • ア 抹消処分について
     同様に、平成17年度第15号の抹消処分において、貴所所長殿に裁量権の逸脱がなかったか否か、具体的に検討する。
     『フォーラムニュース』の抹消箇所は、『第73号』、『第74号』に共通して、平成15年7月23日に保坂展人氏 ら衆議院法務委員会のメンバー9人が東京拘置所を視察した時の刑場の様子が記載されたもので、具体的には、刑場の形状・設備、死刑執行の方法・手順、立会 人の視認状況等の記述である。これに加えて、『第74号』では、貴所で死刑執行が行われた際に、当時名古屋高等検察庁の検察官であった者がこれに立ち会っ た時の様子が記載されたもので、具体的には、やはり、刑場の形状・設備、死刑執行の方法・手順(刑場で被執行者の首にロープを巻くことの記述及びその状況 を模写したイラストを含む。)、立会人の視認状況等の記述も抹消された。
     これらの記述によって仮に申立人が死刑執行の方法等を知ることとなったとしても、それによって直ちに申立人が逃走 や自殺を図って身柄が確保できなくなるとか、拘置所内の規律秩序維持に支障をきたすとかいった事態に至る蓋然性は見出せない。そもそも、日本の死刑の執行 方法が絞首刑であることは、常識的な知識の範囲内のものであるとも言える。
     もっとも、死刑囚であれば、その心情の安定が害される結果、拘禁の目的が害され、拘置所内の規律や秩序に障害が生 じることも考えられなくはないが、それとて、相当程度の蓋然性すらなく、ましてや申立人は(本件抹消処分当時において、名古屋高等裁判所が死刑の判決をす る可能性はあったものの)死刑囚ではない。
     よって、抹消処分という貴所の措置は、「明白かつ現在の危険」がないにもかかわらず行なわれた不当な措置であり、申立人の図書閲読の自由を不当に制限するものである。

  • イ 廃棄処分について
     私本を含む在監者の私物の管理については、施設の規模や保安上の一定の制限があること自体はやむを得ないとして も、所有権や表現の自由の侵害となりうるものである。したがって、私本のうち閲読後の雑誌については、本人の同意を得ることを前提として、閲読後は原則と して破棄するものとし、本人が願い出たときには例外的に所長の判断で領置できるという実務上の規定の内容、及び、そのような所長の判断は、閲読後の雑誌で 学術、職業技術に関するものや、裁判所等による権利救済に資するものなど、その種類、保存の目的等に照らし、これを領置し又は特別に保管することが適当であると認められる場合であるという実務上の運用については、その当否を含め慎重に検討をする必要がある。ましてや本件においては、人権救済申立のために弁 護士に宛てた冊子類に関するものであり、郵送宅下げが不許可とされてからは直ちに「弁護人の指示があるまで領置されたい。」と願せんをもって領置を申し出 たにもかかわらず、廃棄したとされる事情も存する。
     この点、弁護士会による人権救済活動は、裁判のような法的拘束力は有しないとはいえ、基本的人権の擁護と社会正義 の実現を使命とする弁護士が組織する弁護士会(人権擁護委員会)が、人権を侵害されたという者からの申立により、専門家としての法的知識・経験に基づき、 調査・検討の上、人権侵害の事実が認められれば、人権を侵害した者に対して勧告等を行い、是正を求めるものであって、人権を侵害された者の権利救済にとっ て大きな効果があると考えられる。
     よって、貴所としては、裁判所への訴訟提起の場合と同様に、弁護士会の人権救済申立の場合についても、その種類、 保存の目的等に照らし、これを領置し又は特別に保管することが適当であると判断しなければならなかった。この点は、郵送宅下げの申出が不許可となり、これ を不服として人権救済の申立をすべく証拠資料としようとした『ディズニーファン』のみならず、参考資料である『らみい』についても変わりはないというべき である。にもかかわらず、漫然これを廃棄したことは、拘置所の裁量的判断を逸脱し、その結果、人権救済申立て活動をする申立人の権利を侵害したものである。

以 上 

 

(別紙)抹消箇所一覧表

 

1 書籍『極悪シリーズ』(著者:見沢知廉、出版社:株式会社雷韻出版)のうち、以下の部分

  •  ① 8ページから9ページまで
  •  ② 12ページから47ページ2行目まで
  •  ③ 47ページ4行目
  •  ④ 47ページ10行目
  •  ⑤ 48ページ3行目から5行目まで
  •  ⑥ 48ページ11行目から13行目まで
  •  ⑦ 49ページ1行目
  •  ⑧ 49ページ4行目から6行目まで
  •  ⑨ 49ページ7行目から9行目まで
  •  ⑩ 218ページ15行目
  •  ⑪ 219ページ15行目から17行目まで

 

2 パンフレット『フォーラムニュース第73号』(発行:死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム'90)のうち、以下の部分

  •  ① 8ページ右側写真から数えて2行目以下12行分

 

3 パンフレット『フォーラムニュース第74号』(発行:死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム'90)のうち、以下の部分

  •  ① 12ページ右側16行目
  •  ② 12ページ右側17行目から21行目
  •  ③ 12ページ右側21行目から25行目
  •  ④ 12ページ右側下部(イラスト及び説明文)
  •  ⑤ 13ページ左側1行目から13行目まで
  •  ⑥ 13ページ左側19行目から21行目まで
  •  ⑦ 13ページ左側41行目から45行目まで
  •  ⑧ 13ページ左側47行目から49行目まで
  •  ⑨ 13ページ右側上部(イラスト)
  •  ⑩ 13ページ右側1行目から2行目まで
  •  ⑪ 13ページ右側4行目から9行目まで

 ⑫ 13ページ右側13行目

 

以 上