愛知県弁護士会秘密保護法・共謀罪法対策本部(以下「対策本部」といいます。)は、秘密保護法(特定秘密の保護に関する法律)および共謀罪法(改正組織的犯罪処罰法)に反対し、これらの法制度が市民の自由やプライバシーを脅かすことのないよう、継続的に活動してきました。以前の記事でも紹介したとおり、対策本部は、これらの法律が公権力による過度な市民の管理・監視につながりかねないとの問題意識のもと、情報発信や啓発活動を続けています。


「スパイ防止法」にも反対します

 対策本部では、市民の管理・監視という視点から次に問題になり得るのがスパイ防止法だと考えています。

 スパイ防止法について、首相は、その目的を、国家としての情報分析能力を高め、危機を未然に防ぎ、外国からの不当な干渉に対処し、国益を守るための体制を整えることにあると説明しています。すなわち、政府の公式説明においては、これを「市民を監視するためのもの」と位置づけているわけではありません。しかし、対象となる行為の範囲、情報収集や捜査の手法、運用によっては、市民の自由やプライバシーに対する制約が広がるおそれは否定できません。

 対策本部は、まさにその点に注意を払いながら、法制度の必要性や相当性を慎重に検討する必要があると考えています。


シンポジウムを開催しました

 このような問題意識のもと、対策本部では、202638日に、スパイ防止法をテーマとするシンポジウム「『スパイ防止法』って何??」を開催しました。

 シンポジウムでは、小樽商科大学名誉教授の荻野富士夫氏による講演、当会の中谷雄二会員による講演、さらに司会として新海聡会員を加えた対談が行われ、スパイ防止法が戦前・戦中の防諜法制とどのような連続性を持ちうるのか、また、監視や取締りの拡大が市民生活にどのような影響を及ぼしうるのかが多角的に論じられました。

 荻野氏による講演では、戦前の軍機保護法のもとで、一般市民までもが取締りの対象とされた事例が紹介され、現代のスパイ防止法制についても、同様に広範で萎縮的な運用がなされる危険性があることが指摘されました。また、「防諜リテラシー」の名のもとに、市民の思想や行動に対する選別や統制が強まりかねないことへの懸念も示されました。

 中谷会員による講演では、想定されるスパイ防止法が、事前の秘密指定のない情報や、公務員以外の者にも対象を広げる可能性があること、その場合には解釈や運用が不透明になり、市民や研究者、報道関係者等の活動が不当に萎縮する危険があることが述べられました。

 対談では、監視の常態化や、既存法制で足りるにもかかわらず新たな立法が求められていることへの疑問も共有されました。

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今後も活動を続けていきます

 対策本部は、こうした問題を一部の専門家だけの問題として捉えるのではなく、市民の自由、表現の自由、知る権利、プライバシーを守るための社会全体の課題として発信していくことが重要だと考えています。法制度の内容や運用を注視し、その危険性や問題点を社会に広く共有することによってこそ、法の誤った運用や権力の暴走を防ぐことができます。

 今後も、対策本部は、『秘密保護法・共謀罪法対策本部ニュース』の発行やシンポジウムの開催などを通じて、秘密保護法、共謀罪法、そして新たに検討・運用される監視法制の問題点について発信を続けていきます。
 市民の自由と権利を守るため、引き続きご理解とご協力をお願いいたします。