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本部長就任のご挨拶

令和4年度 愛知県弁護士会 会長
秘密保護法・共謀罪法対策本部 本部長
蜂 須 賀  太  郎

 

 皆様におかれましては、日頃より弁護士会の活動にご理解、ご協力いただき、ありがとうございます。本年度の秘密保護法・共謀罪法対策本部の本部長に就任しました。1年間、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、2013年12月に「特定秘密の保護に関する法律」(以下「秘密保護法」)が制定されてから8年以上が経過しました。また、2017年6月に「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律」(以下「共謀罪法」)が制定されてから5年が経過しました。当対策本部は、日本弁護士連合会の秘密保護法・共謀罪法対策本部とも連携しつつ、上記2法について、制定に反対するとともに、制定後はそれらを廃止させ、あるいは実質的に発動させないために、諸活動を企画してまいりました。

 上記2法が制定された当時、当会は会長声明において、秘密保護法は、「憲法が保障する国民の知る権利やプライバシー権を侵害し、政府と官僚による独裁を招き、国を戦前に逆戻りさせる悪法である」と抗議し(2013年(平成25年)12月9日「特定秘密保護法の強行採決に抗議し、同法の廃止を求める会長声明」)、また、共謀罪法は、「警察による社会の監視が日常化し、市民の運動・活動や企業・団体の活動に重大な萎縮をもたらし、人権の根幹である思想良心の自由が侵される危険を高める」と抗議しました(2017年(平成29年)6月15日「いわゆる『共謀罪』法の成立に抗議する会長声明」)。
 上記2法とも、民主主義を脅かしかねない法律であるとして、廃止を求めたものです。

 ところで、民主主義を考えるとき、今年2月のロシアによるウクライナへの軍事侵攻に触れざるを得ません。この戦争は、戦争の惨禍をウクライナ国民に被らせるとともに、世界の分断を強め、また、私たちの生活にも大きな影響を与えています。この問題について、私たちは、民主国家対権威国家の対立構造と単純化し、安易に民主国家勢力による力づくの行動に与するのではなく、日本国憲法のもつ民主主義や自由主義、平和主義の価値を世界に広め、行動することこそが、いま、求められていると考えます。そして、こうした憲法の価値を実現する必要不可欠のツールが情報の公開であり、その情報に市民があまねく接することのできる権利の実現が必要です。ところが、秘密保護法や共謀罪法は、運用によっては、情報の公開を禁止して市民から情報を遮断し、市民が自由に情報について知り、語る自由を圧殺しかねないのです。
 そうならないよう、力が理性を圧殺しようとしている世界にあって、秘密保護法や共謀罪法が日本を戦前のような暗い世の中に変えてしまうことのないよう、それらの運用を監視し、引き続き廃止に向けて運動を続けていく必要性がますます高まっていると考えます。

 当対策本部の活動に対して、皆様のご理解、ご支援をよろしくお願いいたします。

以上

土地規制法にかかる①基本方針案、②政令案、③内閣府令案について、パブリック・コメントの募集が始まっています。
みなさまからも多くの意見を提出いただくようお願いいたします。

秘密保護法・共謀罪法対策本部 本部長代行
花  井  増  實

 

 昨年6月16日に成立した「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び規制等に関する法律」(土地規制法)については、市民のプライバシー権や思想良心の自由、表現の自由等、基本的人権を著しく害する危険があるなどとして、日弁連も当会も、その制定に強く反対した経緯があります(2021年(令和3年)6月2日 日弁連「重要土地等調査規制法案に反対する会長声明」、2021年(令和3年)6月9日 当会「重要施設等の土地等の規制等に関する法律案に反対する会長声明」)。
 にもかかわらず、国は、本年9月に同法の全面施行を予定しています。

 これに伴い、国は、土地規制法の施行に必要な事項を定めた、

  • 重要施設の施設機能及び国境離島等の離島機能を阻害する土地等の利用の防止に関する基本方針案(基本方針案)
  • 重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律施行令案(政令案)
  • 重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律施行規則案(内閣府令案)

の検討を進めており、

   令和4年7月26日(火)から同年8月24日(水)まで

パブリック・コメントを募集しています。

 これらの案について、誰のどのような情報が国によってとられるのか、とられた個人情報がどのように使われるのか、市民が国による個人情報の入手をチェックし、入手に異議を述べ、情報の利用停止や廃棄を求める権利を行使できるか、といった個人のプライバシー保護についての手立てが講じられているのかなど、点検する必要があります。
 より多くの市民が意見を述べることが、この法律の暴走を防ぐために必要です。多くの方に、意見を国に提出いただくよう、呼びかけます。

 意見募集要領(提出先を含む)、基本方針案等の内容その他関連資料については、政府のパブリック・コメント募集サイトをご覧ください。

   e-Govパブリック・コメント:
重要施設の施設機能及び国境離島等の離島機能を阻害する土地等の利用の防止に関する基本方針案、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律施行令案及び重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律施行規則案に関する意見募集について|e-Govパブリック・コメント