本部長就任のご挨拶

令和3年度 愛知県弁護士会 会長 
秘密保護法・共謀罪法対策本部 本部長 
井  口  浩  治 

 本年度の秘密保護法・共謀罪法対策本部の本部長に就任しました。1年間どうぞ宜しくお願い申し上げます。

 20141210日に特定秘密の保護に関する法律(以下「秘密保護法」といいます。)が施行されてから6年が経過しました。当会は、2013年に秘密保護法対策本部を設置し、秘密保護法が制定される前から、シンポジウムを開催するなどして同法に反対する活動を行ってきました。その後、罪刑法定主義に反する恐れが大きい組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律(以下「共謀罪法」といいます。)が2017615日に成立した翌年には、秘密保護法対策本部の名称を、秘密保護法・共謀罪法対策本部(以下「対策本部」といいます。)と変更しました。
 名称変更後、対策本部は一貫して秘密保護法、共謀罪法の危険性を指摘し、その廃止を求める活動を継続しています。

 国に関する情報は、国民の財産です。秘密保護法において、行政機関の長が指定する「特定秘密」の定義は曖昧であり、政府による恣意的な運用が行われることによって、国民の知る権利が侵害される危険があります。また、「特定秘密」の漏えい・取得行為やこれら行為の未遂・共謀等を広く処罰対象にすることは、国民や報道機関が国に関する情報にアクセスする行為を萎縮させ、取材・報道の自由を阻害する結果を招来しかねません。近年の公文書管理のあり方には厳しい目を向けるべきです。自衛隊日報問題、森友・加計問題、桜を見る会の招待者名簿廃棄、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の議事録不作成など、現在及び将来の国民に対する説明責任を軽視した事態が繰り返されています。
 共謀罪法について言えば、「組織的犯罪集団」の定義自体が不明確で構成要件該当性が曖昧です。また、同法が規定する「準備行為」は、それまで処罰の対象とされていなかった刑法の予備・準備行為より前の段階の行為を犯罪として処罰するものであり、集会・結社の自由や言論の自由を制約する危険を孕んでいます。
 また、本年6月16日には、重要施設等の土地等の規制等に関する法律が成立しました。土地等利用状況調査そのものが曖昧で恣意的に行われるおそれがあり、さらには、その調査のための、情報提供を求める内容も恣意的に行われるおそれもあり、政府が、刑罰の威嚇によって、市民のプライバシー権や思想良心の自由、表現の自由等、基本的人権を著しく害する危険があります。国家による個人の情報取得、管理、監視が強まっていることに危機感を覚えます。

 憲法第12条は、「憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」と定めています。国民主権、民主主義の根幹を脅かす秘密保護法、共謀罪法に対して、私たちはその問題点を訴え続けなければなりません。
 本年度も、対策本部では、市民の皆様と共に秘密保護法、共謀罪法の運用をこれまで以上に厳しく監視し、その廃止を求めていく所存です。

以上