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本部長就任のご挨拶

平成30年度 愛知県弁護士会 会長
秘密保護法・共謀罪法対策本部 本部長
木 下 芳 宣

 皆様におかれましては、日頃より弁護士会の活動にご理解、ご協力いただき、ありがとうございます。

 愛知県弁護士会では、日本弁護士連合会における組織状況にあわせ、今年度から秘密保護法・共謀罪法対策本部と名称を変更しました。秘密保護法及び共謀罪への対応については、従前と同様に活動を継続していきますので、よろしくお願いします。

 2014年12月10日に秘密保護法が施行されてから約3年7ヶ月が経過しました。この間に、自衛隊イラク派遣に関する日報は、当初は存在しないとの答弁がされていたにもかかわらず、実際には存在していたという事件が起こりました。また、南スーダンでの自衛隊の活動に関する日報も、当初は廃棄確認により不存在と説明されていたにもかかわらず存在していました。イラク派遣に関する日報は、2017年3月に存在が確認されてから1年以上もの間、南スーダンに関する日報は、2016年12月に存在が確認されてから1ヶ月以上もの間、国民はおろか国会にも報告されず、開示されなかったという事件でした。これらの事件は、自衛隊の海外派遣に関する重要な情報(PKO活動としても国会で派遣の是非が議論されていたのですから、重要な情報と考えるのが普通です。)であっても、簡単に廃棄しようとすれば可能であり、廃棄ということの是非に疑問を持たない人が情報を管理しているということを示しました。また、国会における議論の対象となっていても、直ちに開示しない、という運用がされていることも示しました。そして、文書管理の方法が杜撰であることも示しました。

 秘密保護法では、防衛、外交、スパイ防止、テロ活動防止の分野で安全保障に支障をきたす恐れのある情報を「特定秘密」として指定するとされています。特定秘密の定義は曖昧であり、自衛隊の活動も防衛に関する活動と評価されると秘密と指定されます。PKO活動の情報が仮に特定秘密として指定されたとしても、国民には直ちには分かりません。秘密保護法では、特定秘密の指定が民主主義の根幹である国民の知る権利、報道の自由を侵害するものであるため、それらへの配慮が定められましたが、十分なものではありません。衆参両議院に、それぞれ情報監視審査会が設置されましたが、前記事件を例にとれば、肝心な情報が廃棄されたという理由でもって開示されないことになります。衆議院情報監視審査会の年次報告では、国会への情報開示が不十分であることが指摘されつづけており、現実にも審査会のチェック機能が働かない状況にあるといわざるを得ません。これでは、特定秘密指定の是非を国会においても判断することが困難な状況であることになります。

 このように国民主権や民主主義に重大な問題を引き起こす秘密保護法に対し、愛知県弁護士会は、その問題点を指摘し、広く県民の皆様にご参加、ご協力をいただいて集会を開き、街頭宣伝活動やシンポジウムなどを開催してきました。

 また、共謀罪についても人権侵害への危険性を指摘し、廃案を求める活動をしてきました。

 今後も市民の皆様とともに、秘密保護法及び共謀罪の廃止を求めつつ、その運用を監視していく所存であります。
 皆様のご理解とご支援をお願いいたします。