山下会長顔写真.jpg

早いもので今年も残り1か月となりました。新型コロナウイルス感染拡大という暗い影、重苦しい雰囲気が覆い被さったまま年を越すことになると思います。

新型コロナウイルスに関連する様々な情報があふれています。様々な見方がありうるものや根拠が曖昧なものでも、わかり易い表現、刺激的、あるいは断定的な物言いが受け入れられ、いたずらに不安が生じたり、逆に楽観的になりすぎたりしていないでしょうか。ときには、その態度が偏見、誹謗中傷につながっていることがあるようにも思えます。

得体のしれない漠然とした大きな不安が増大している社会にあっては、特に、一片の情報を鵜呑みにせず、物事を多面的に捉えること、自分と異なった意見や見方についてもその根拠や自分との違いはどこにあるのか少し冷静になって考えること、対立する人の立場にも理解を示し、表現方法にも留意する、ということが求められていると思います。

今年は4年に一度のアメリカ大統領選挙の年でもあります。選挙戦を通しての社会の分断が指摘され、民主主義過程の根幹である選挙についても疑義が出されるなど、民主主義の意義やあり方が問われていると思います。情報の取り扱い、立場や意見の異なる他者との関係について、新型コロナウイルス感染が拡大している社会と大統領選挙でのアメリカの状況には類似点があるように思えます。

愛知県弁護士会は、これまで、将来の民主主義社会を担っていく子どもたちに、他者の意見をも尊重し、論拠に基づいた議論の技能を習得することで合議によって課題を解決していく能力を身につけてもらいたいとして、「法教育」「主権者教育」に力を注ぎ、その一環として毎年夏休みに小中高生のためのサマースクールを実施してきました。今年はやむなく中止しましたが、今回、初めての試みとして、12月5日、Webスクールを開校することになりました。

「みんなで議論!民主主義ってなんだろう?」 童話「アリとキリギリス」を題材に、アリの国の一員として、民主主義について議論してもらいたいと思います。

2020年12月1日               愛知県弁護士会会長  山下 勇樹

以 上

副会長

副会長5名顔写真.jpg

過去の会長あいさつはこちら