山下会長顔写真.jpg 長かった梅雨が明け、例年であれば人の往来が活発になる活動的な夏を迎えます。しかし、今、新型コロナウイルス感染症が急速に再拡大しており、世の中に暗い影を落としています。社会経済活動を停止させるわけにもいかず、その折り合いをつけていく工夫と努力が求められています。私たち一人一人が「新しい生活様式」による感染防止策を実行することはもちろん、その心遣いを周囲の方々とも共有し、広げていくことが大切だと思います。

 誰もが感染し、感染させてしまう状況にあると思います。感染した場合、その行動の甘さが指摘されることはありますが、そのことも含めて、罹患した方々への差別は許されず、そのプライバシーも十分配慮されるべきです。感染拡大防止のためには、感染者本人の行動履歴を早期に把握する必要がありますが、感染者の方に自主的に申告してもらうためにも、差別や攻撃を受けない、プライバシーも十分に配慮されている、という環境を整えることが大切であることも確認しておきたいと思います。

 私たちは、ハンセン病について感染症に関わる偏見差別で重大な人権侵害を生じさせてしまったという苦い経験をしました。新型コロナウイルス感染症はハンセン病とは異なるところもあるでしょうが、今一度、このときの反省を社会共通の認識とする必要があると考えます。

 社会不安が高まると、人は苛立ち、他人に攻撃的になることが指摘されています。今こそ、人間の弱さや愚かさも含めて、他人への優しい眼差しを持ちたいものです。

 愛知県弁護士会は、一旦縮小した法律相談態勢について一部元に戻しつつあります。新型コロナウイルス感染症への偏見差別に対しても法律相談等を通じて積極的に対応していかなければならない、とあらためて思う次第です。

2020年8月3日               愛知県弁護士会会長  山下 勇樹

副会長

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