秋から冬へ、紅葉も山から街中へおりてきました。皆さまいかがお過ごしですか。
さて、愛知県弁護士会の「紛争解決センター」は、今年、開設より満２０年を迎えました。このセンターは、1997年（平成９年）４月、身近な紛争を簡易・迅速に解決する裁判外紛争解決機関としてスタートしました。当時は、「あっせん・仲裁センター」と称していましたが、その後、2008年（平成２０年）に、裁判外紛争解決の利用の促進に関する法律（Alternative Dispute Resolution;ADR法）による法務大臣の認証を取得し、「紛争解決センター」に改称しています。
取り扱う内容は、
近隣紛争、離婚や相続などの家事事件、貸金事件、名誉棄損や損害賠償事件などお馴染みの事件のほか、建築、医療といった専門的な紛争まで幅広いものです。この２０年間で約４５００件もの申立があり、皆様の身近な紛争を簡易・迅速に解決する機関として定着しつつあります。最近では、ハーグ条約に基づく国際的な子どもの返還請求事件についてもお手伝いをしています。
紛争解決センターの利用をお勧めする理由は、
法律問題の解決手段は、訴訟ばかりではないというところにあります。事案によりますが、あくまで話し合いによる解決を当事者が望むという場合には、バリエーションに富んだ柔軟な解決が可能です。
こうした裁判外の紛争解決機関は他にあり、今日広がりを見せています。ADRには、あっせん（当事者同士で交渉を図ることを目的とし、あっせん人が間に入って解決を図る）、調停（調停人が示した解決案を拒否することができます）、仲裁（事前に当事者同士が仲裁を受けることに同意し、当事者は仲裁判断を拒否することができない）といったタイプのものがあります。最後は訴訟によることができるとして、その中間的な仕組みとして、ADRという解決機関があると理解していただければよいと思います。
ADRの長所として、
利用者にとって費用が少なくてすむ、非公開なのでプライバシーや企業内の技術ノウハウ等の情報が洩れるリスクを回避できる、訴訟に比べて解決期間が短い等の点が挙げられます。ちなみに、当会の紛争解決センターへの申し立て時の費用は、紛争の大小にかかわらず、金1万円です（消費税別。なお、解決時には解決内容に応じて費用納付あり）。
当会も広くADRを普及させ、市民の紛争解決のニーズにお応えするため、
５年の節目ごとに、市民に公開して「建築」、「医療」、「高齢者」といった身近なテーマでシンポジウムを開催し、いずれも好評を博してまいりました。
２０周年にあたる今年は、12月8日午後に、「災害ＡＤＲ」をテーマにシンポジウムを開催致します。地震などの災害時には様々な法的紛争が生じ、平常時よりも一層、簡易、迅速、且つ低廉な費用で解決することが求められます。他人事ではありません。被災地の弁護士会が、いち早く震災対応のＡＤＲを立ち上げ、多くの紛争を解決することができるように、皆様から忌憚のないご意見を頂戴したいと考えております。よろしくお願いいたします。
なお、愛知県弁護士会紛争解決センターへのお問い合わせは、こちらへお願いいたします。
これからも、愛知県弁護士会は、市民の声を聴き、的確に応えた行動してきたいと考えています。
当会の歴史や活動 につきましては、このホームページで別にご紹介しているとおりです。一度、ご 覧頂きたいと思います。
さて、弁護士は社会生活上の医師とも言われます。様々な法律問題や悩みが生じてきます。こんなことを弁護士に相談していいのだろうか。そんなご心配はいりません。まずは、ご相談してみて下さい。
当会では、皆さまが利用しやすい種々の法律相談サービスを名古屋法律相談センター（名古屋駅前の大東海ビル）、４つの支部会館（東三河、西三河、一宮、 半田）、そのほか県内１ １ケ所の法律相談センターや地方自治体等の法律相談窓口等県内の各所で展開しています。
私たちは、皆さまの身近に起きる様々の紛争やその予防について、法律専門家として適切なアドバイスを行っています。どうぞお気軽にご相談ください。きっとお役に立ちます！法律相談センターではＷＥＢでの予約 (名古屋・一宮・半田)も行っています。
また、当会では、この春、中小企業への法律支援をより深く取り組もうと中小企業法律支援センターを立ち上げました。中小企業の事業主の皆さまの抱えておられる国内外に関わる様々な法律問題への相談にも積極的に対応します。平日の午前9時から午後5時間での間、無料電話相談も実施しております。どうぞご利用ください。
どうぞ、今後とも、愛知県弁護士会の活動に一層のご理解とご協力をお願いいた します。
平成２９年１２月１日 愛知県弁護士会会長 池田 桂子
副会長
