2017ikeda.jpg  暑い日が続きます。体調を整えて過ごしたいものです。日頃より弁護士会の活動にご理解とご協力をいただき心より御礼申し上げます。


 さて、毎年、沢山の法律ができたり、改正されたりしています。三権の一翼を担う私たち弁護士は、国会で法律案の審議が行われたり、その前段階というべき法制審議会で法律案の骨子が検討されたりするにあたり、立法事実の有無や法律の文言や要件、法律成立による社会的な影響などについて、検討し意見を発表することがよくあります。ときには、弁護士会会員の中でも、激しい意見の対立がみられることもあります。

 先月7月13日に、性犯罪に関連する規定が大幅に見直された改正刑法が施行されました。性犯罪が軽く扱われるのはおかしいという批判は従前からありましたが、明治時代の制定以来、110年ぶりに改正されました。これまで強姦罪は、被害者を女性に限定していましたが、男性も含めることとされ、性交類似行為も対象とすることになりました。法定刑の下限は懲役3年から5年に引き上げられました。強姦罪の名称は強制性交等罪に変更されています。強姦罪や強制わいせつ罪で罪に問うかどうかはこれまでは被害者が決める親告罪でしたが、親告罪ではなくなりました。

 この刑法改正にあたっては、賛成反対様々な議論がありました。暴行や脅迫があったことを犯罪の成立要件とすることを撤廃するかどうか激論がありましたが、この点は従前通り維持されました。

 犯罪が発生するところには、性犯罪に限らず、犯罪被害者がいます。被害者の受ける被害は、身体的被害にとどまりません。精神的、経済的被害は想像を絶する大きなものがあると思います。2008年に犯罪被害者が刑事裁判に参加する被害者参加制度が導入され、被害者参加人のための国選被害者参加弁護士制度ができました。少年審判の傍聴制度損害賠償命令制度も整備されました。

 とはいえ、こうした制度ができたとしても、地域で十分な法律支援体制ができているとはいえないのも実情です。被害者の尊厳が重んじられ、相応しい権利が保障されることは社会全体の責務です。けっして他人事ではありません。社会に潜在している様々の矛盾や怒りが、責任のない人に向けられる狂気が、世の中に潜んでいることを、改めて見つめていきたいと思います。

 これからも、弁護士会は、広く社会の声を聴き、的確に応えた行動をしていきたいと考えています。


 当会の歴史活動 につきましては、このホームページで別にご紹介しているとおりです。一度、ご 覧頂きたいと思います。

 さて、弁護士は社会生活上の医師とも言われます。様々な法律問題や悩みが生じてきます。こんなことを弁護士に相談していいのだろうか。そんなご心配はいりません。まずは、ご相談してみて下さい。当会では、皆さまが利用しやすい種々の法律相談サービス名古屋法律相談センター(名古屋駅前の大東海ビル)、4つの支部会館(東三河西三河一宮 半田)、そのほか県内1 1ケ所の法律相談センターや地方自治体等の法律相談窓口等県内の各所で展開しています。私たちは、皆さまの身近に起きる様々の紛争やその予防について、法律専 門家として適切なアドバイスを行っています。どうぞお気軽にご相談ください。きっ とお役に立ちます!WEBでの予約 (名古屋・一宮・半田)も行っています。

 また、当会では、この春、中小企業への法律支援をより深く取り組もうと中小企業法律支援センターを立ち上げました。中小企業の事業 主の皆さまの抱えておられる国内外に関わる様々な法律問題への相談にも積極的に対応します。どうぞご利用ください。


どうぞ、今後とも、愛知県弁護士会の活動に一層のご理解とご協力をお願いいた します。

平成29年7月1日          愛 知県弁護士会会長  池田 桂子

副会長

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