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紛争解決センター規則集

紛争解決センター運営規則


目次

第1章 総則(第1条-第5条)

第2章 委員会(第6条-第12条)

第3章 調査室(第13条-第18条)

第4章 事務局(第19条-第22条)

第5章 記録(第23条-第25条)

第6章 あっせん・仲裁人候補者(第26条-第29条)

第7章 あっせん手続

第1節 総則(第30条-第36条)

第2節 あっせんの申立て(第37条-第42条)

第3節 あっせん人等(第43条-第58条)

第4節 あっせん手続の実施(第59条-第71条)

第5節 和解(第72条-第75条)

第6節 和解によらないあっせん手続の終了(第76条-第82条)

第8章 仲裁手続

第1節 総則(第83条-第86条)

第2節 仲裁手続の開始(第87条-第89条)

第3節 仲裁人等(第90条・第91条)

第4節 仲裁手続の審理(第92条-第97条)

第5節 仲裁手続の終了(第98条-第104条)

第9章 手数料(第105条-第110条)

第10章 金融ADR協定に基づくあっせん・仲裁手続の特則(第111条-第114条)

第11章 ハーグ条約実施法に基づくあっせん事業に関する特則(第115条-第129条)

第12章 災害ADR事業に関する特則(第130条-第138条)

第13章 オンラインシステムを利用したあっせん手続の特則(第139条-第145条)

第14章 雑則(第146条-第149条)


第1章 総則


(目的)

第1条 この規則は、紛争解決センター設置に関する規程(会規第26号)第2条及び第4条の規定に基づき、愛知県弁護士会紛争解決センター(以下「紛争解決センター」という。)の事業及び運営に関する事項を定めることを目的とする。


(事業)

第2条 紛争解決センターは、次の事業を行う。

(1) 民事に関する紛争についての和解のあっせん手続及び仲裁手続(以下「あっせん・仲裁手続」という。)の実施

(2) 紛争解決センターの行う事業の広報

(3) 前2号に掲げるもののほか、紛争解決センターの目的を実現するために必要な事業


(あっせん・仲裁手続の目的)

第3条 あっせん・仲裁手続は、専門的知識を活用することにより、民事に関する紛争について、条理にかない、実情に即した、公正かつ妥当な解決を迅速に実現することを目的とする。


(役員等の手続等への関与の禁止)

第4条 次に掲げる者(以下「本会の役員等」という。)は、あっせん人及び仲裁人(以下「あっせん・仲裁人」という。)に法令及びこの規則を遵守させる場合のほかは、あっせん・仲裁人が手続の実施に当たり独立して職務を行うべき事項に関し、あっせん・仲裁人に対して直接又は間接にいかなる命令又は指示も行ってはならない。

(1) 本会の役員

(2) 次章に規定する委員会の委員

(3) 第9条の規定により事業を受託した機関及びその構成員

(4) 第3章に規定する調査室の室員(以下「調査室員」という。)

(5) 第4章に規定する事務局の事務を分担する職員

2 あっせん・仲裁人は、前項の事項に関し、第三者(本会の役員等を含む。)のいかなる命令又は指示も受けず、中立性を保持しつつ公正に手続を進めなければならない。


(守秘義務)

第5条 あっせん・仲裁人、専門委員、通訳人及び本会の役員等は、正当な理由なく、手続の係属、内容、結果その他の職務上知り得た事実を他に開示してはならない。これらの者がその職を退いた後も同様とする。


第2章 委員会


(委員会の設置)

第6条 紛争解決センターの運営を行うため、本会に、紛争解決センター運営委員会(以下「委員会」という。)を置く。


(委員会の業務)

第7条 委員会は、次に掲げる業務を行う。

(1) あっせん・仲裁人の候補者(以下「あっせん・仲裁人候補者」という。)の推薦

(2) あっせん・仲裁人、専門委員及び通訳人の選任、解任及び辞任の承認に関する審査

(3) あっせん・仲裁人、専門委員及び通訳人の報酬(実費を含む。)の決定

(4) 苦情処理に関する調査及び措置

(5) 紛争解決センターの広報に関する企画及び立案

(6) あっせん・仲裁人候補者の研修に関する企画及び立案

(7) あっせん・仲裁手続に関する調査、研究及び発表

(8) 関係機関との連絡及び協議

(9) 前各号に掲げるもののほか、紛争解決センターの運営のために必要な業務


(細則の制定)

第8条 委員会は、前条各号に掲げる業務を実施するために必要な細目について、細則を定めることができる。


(別の機関への委託)

第9条 会長は、委員会の要請に基づき、第7条各号(第2号及び第3号を除く。)に掲げる業務の一部を本会の別の機関に委託することができる。


(委員会の構成)

第10条 委員会は、10名以上の委員をもって構成し、必要に応じて部会を置くことができる。

2 委員長及び副委員長は、委員の互選により選出する。


(任期)

第11条 委員の任期は、1年とする。ただし、再任を妨げない。


(存続期間)

第12条 委員会の存続期間は、総会又は常議員会が廃止を決議するまでとする。


第3章 調査室


(調査室の設置)

第13条 紛争解決センターの運営を補佐するため、本会に、ADR調査室(以下「調査室」という。)を置く。


(調査室の業務)

第14条 調査室は、次に掲げる業務を行う。

(1) 紛争解決センターの手続に関する市民からの相談について電話又は面談による相談に応じること。

(2) 紛争解決センターが受理した事件について、あっせん・仲裁人、専門委員及び通訳人選任のための手続を行うこと。

(3) 紛争解決センターに申し立てられた事件の内容を検討し、手続を進めるに当たって必要と考えられる事項に関し、当事者に対して必要な照会、指示その他の連絡をすること。

(4) あっせん・仲裁人の指示に基づき、当事者に対して必要な連絡及び調整をすること。

(5) 第49条第2項の規定による忌避の事由の有無の調査

(6) 裁判外紛争解決手続に関する調査及び研究

(7) 前各号に掲げるもののほか、委員会の要請に基づき会長が指示した業務


(調査室の構成等)

第15条 調査室に、調査室員10名以内を置く。

2 調査室員は、公募に応じた弁護士登録の期間が通算して5年以上の会員の中から、委員会の意見を聴き、常議員会の議を経て、会長が嘱託する。

3 調査室員は、委員会の委員でなければならない。ただし、応募時に委員であることを要しない。

4 調査室員は、委員会に出席して業務遂行の状況を報告しなければならない。

5 調査室員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。


(調査室員の報酬)

第16条 調査室員の報酬は、常議員会の議を経て、会長が定める。


(調査室長)

第17条 会長は、調査室員の中から調査室長を指名する。

2 調査室長は、調査室員で構成する調査室会議を主宰する。

3 調査室長は、毎年3月31日までに、その年度の調査室の活動状況を会長に報告しなければならない。

4 会長は、調査室長に対し、随時、調査室の活動状況の報告を求めることができる。


(職務を行い得ない事件)

第18条 調査室員は、自己が相談を受け、又は受任している事件について調査室員としての職務を行ってはならない。

2 前項に定めるほか、調査室員は、手続の公正を疑われるおそれがあるときは、当該事件に関する調査室員としての職務を回避しなければならない。


第4章 事務局


(事務局の設置)

第19条 紛争解決センターの運営上必要となる事務を行うため、本会に、紛争解決センター事務局(以下「事務局」という。)を置く。

2 事務局の所在地は、愛知県弁護士会館内及び愛知県弁護士会西三河支部会館内とする。


(事務局の事務)

第20条 事務局は、次に掲げる事務を行う。

(1) 紛争解決センターの受付

(2) 当事者その他の関係者に対する通知及び書類の送達

(3) 事件記録(この規則の規定により紛争解決センター又はあっせん・仲裁人が作成した書類並びに当事者が紛争解決センターに提出した書類及び証拠物をいう。以下同じ。)の整理及び保管

(4) 事件台帳(紛争解決センターに申し立てられた事件について、申立てから事件記録の廃棄までの手続及び事件概要等を一覧できるようにとりまとめて記載したものをいう。以下同じ。)の調製

(5) 紛争解決センターの会計

(6) 前各号に掲げるもののほか、紛争解決センターの運営上必要となる事務


(受付時間)

第21条 事務局の受付時間は、平日(土曜日、日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に規定する休日及び会長が定める年末年始の期間を除いた日をいう。以下同じ。)の午前10時から午後4時までとする。

2 前項の受付時間は、紛争解決センターが適宜変更することができる。


(備付け書類)

第22条 事務局に次の書類を備え付ける。

(1) 第26条の規定により委嘱されたあっせん・仲裁人候補者の名簿(以下「候補者名簿」という。)

(2) 事件記録

(3) 事件台帳

(4) 前3号に掲げるもののほか、あっせん事件及び仲裁事件(以下「あっせん・仲裁事件」という。)の処理に関する書類


第5章 記録


(手続実施記録の作成)

第23条 紛争解決センターは、あっせん・仲裁事件ごとに、次に掲げる事項を記載した手続実施記録を作成する。

(1) 当事者と紛争解決センターとの間であっせん・仲裁手続を実施する契約を締結した年月日

(2) 当事者及びその代理人の氏名(弁護士であって、職務上の氏名を使用している者の場合には、職務上の氏名をいう。以下同じ。)又は名称

(3) あっせん・仲裁人の氏名

(4) 申立ての内容

(5) あっせん・仲裁手続の実施の経緯

(6) あっせん・仲裁手続の結果(あっせん・仲裁手続の終了の理由及びその年月日を含む。)

(7) あっせん・仲裁手続において請求がされた年月日及び当該請求の内容

(8) あっせん手続の終了の結果が和解の成立である場合にあってはその和解の内容、仲裁手続の終了の結果が仲裁判断である場合にあってはその仲裁判断の内容


(事件記録の保管及び廃棄)

第24条 紛争解決センターは、あっせん・仲裁手続が行われている間、事件記録を事務局の保管庫に保管する。

2 紛争解決センターは、あっせん・仲裁手続の終了後、文書等保存規則(規則第44号)に定める期間、事件記録を事務局の保管庫において保存し、当該期間の経過後に廃棄する。ただし、証拠物については、あっせん・仲裁手続の終了後速やかに提出した者に返還するものとする。

3 第75条第3項及び第144条第3項に規定する和解書の保存期間は、和解契約書の保存期間と同一とする。

4 前3項に定めるほか、事件記録の保管及び廃棄に関する事項は、細則で定める。


(事件記録の閲覧及び謄写)

第25条 あっせん・仲裁事件の当事者は、事件記録のうち、和解契約書、仲裁判断書その他の細則で定める書類を閲覧し、又は謄写することができる。

2 前項の閲覧及び謄写の手続に関する事項は、細則で定める。

3 当事者以外の者は、記録の閲覧等を請求することができない。ただし、全ての当事者の書面による同意がある場合又は裁判所若しくは裁判官の発する令状若しくは裁判所の命令に基づく場合は、この限りでない。


第6章 あっせん・仲裁人候補者


(あっせん・仲裁人候補者)

第26条 紛争解決センターは、委員会の意見を聴いて、あっせん・仲裁人候補者を次に掲げる者の中から委嘱する。

(1) 弁護士登録の期間が通算して10年以上の弁護士又は弁護士登録の期間及び裁判官若しくは検察官の在職期間を合算して10年以上の弁護士

(2) 前号に規定する者以外の者であって学識経験者又は専門知識若しくは法律事務に精通する者

2 前項第2号に規定するあっせん・仲裁人候補者(以下「専門家あっせん・仲裁人候補者」という。)の委嘱方法その他あっせん・仲裁人の委嘱に関する事項は、細則で定める。


(候補者名簿)

第27条 紛争解決センターは、候補者名簿を作成し、インターネットの利用その他の方法により公表する。


(あっせん・仲裁人候補者の任期等)

第28条 あっせん・仲裁人候補者の任期は、3年とする。ただし、再任を妨げない。

2 前項本文の任期中であっても、紛争解決センターは、あっせん・仲裁人候補者が次の各号のいずれかに該当するとき又は本人の申出があるときは、そのあっせん・仲裁人候補者を候補者名簿から削除することができる。

(1) 死亡したとき。

(2) 心身の故障のため、あっせん・仲裁人の職務の執行ができないと認められるとき。

(3) 懲戒(弁護士法(昭和24年法律第205号)その他の法律の規定に基づく懲戒をいう。以下同じ。)を受けたとき。

(4) 前号に規定するほか、あっせん・仲裁人たるに適しない非行があると認められるとき。


(研修)

第29条 紛争解決センターは、あっせん・仲裁人候補者及びこれになろうとする者を対象として、あっせん・仲裁手続に関する研修を実施する。

2 あっせん・仲裁人候補者は、前項の研修を受講するよう努めるものとする。


第7章 あっせん手続


第1節 総則


(あっせん手続の準則)

第30条 あっせん手続は、この規則及びこの規則に基づき委員会が定める細則により行う。


(代理人)

第31条 あっせん手続において、法令によって代理権を認められている者以外の者が当事者の代理人になろうとする場合には、紛争解決センターの許可を受けなければならない。

2 前項の許可の申請があったときは、紛争解決センターは、当該代理人を選任する必要性、当事者との関係等を考慮の上、許可又は不許可の決定をする。


(書類の提出)

第32条 あっせん手続に関する書類の紛争解決センターへの提出は、持参又は郵送により行う。

2 申立書、答弁書その他の当事者の主張を記載した書類又は証拠書類の写しを提出する場合には、他方当事者の数と選任されたあっせん人の数の合計数の副本とともに提出しなければならない。


(直送)

第33条 前条第2項の規定にかかわらず、副本を当事者間で円滑かつ確実に授受することが期待できる場合として細則で定める場合には、答弁書その他の細則で定める書類の他方当事者用の副本について、他方当事者に直送をすることができる。

2 前項の規定により直送を受けた当事者は、直送に係る副本を受領した旨を記載した書面について他方当事者に直送をするとともに、当該書面を紛争解決センターに提出しなければならない。

3 第1項の規定により直送をする場合には、紛争解決センターへの書類の提出は、前条第1項に規定する方法によらず、細則で定める方法によることができる。この場合においては、あっせん人用の副本については、あっせん人に直送をしなければならない。

4 前3項に規定する「直送」とは、細則で定める方法により、他方当事者又はあっせん人に対して直接送付し、又は交付することをいう。


(雑書類の提出)

第34条 期日の請書その他の細則で定める書類の紛争解決センターへの提出は、第32条第1項に規定する方法によらず、細則で定める方法によることができる。


(書類の送達等)

第35条 あっせん手続に関する書類の当事者への送達は、当事者に直接交付する場合を除き、当事者の住所又は当事者が特に指定した場所に、紛争解決センターが普通郵便又はファクシミリを利用して送信する方法(以下「ファクシミリ送信」という。)により行う。

2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる書類は、当事者に直接交付して送達する場合を除き、前項に規定する住所又は場所に、紛争解決センターが配達証明付き書留郵便により送達する。ただし、第1号の書類にあっては、第46条第2項の規定により送達しない場合は、この限りでない。

(1) 申立書(申立ての趣旨を補正し、又は変更するもの及び反対請求に係るものを含む。)

(2) 和解契約書(第75条第3項及び第144条第3項に規定する和解書を含む。第107条において同じ。)

(3) 終了通知書

(4) 取下書

(5) 離脱書(第81条第2項に規定する書面をいう。)

3 期日その他のあっせん手続に必要な事項の通知は、紛争解決センターが口頭(電話を含む。以下同じ。)、書面その他適宜な方法により行うことができる。


(対応言語)

第36条 あっせん手続は、日本語により対応する。ただし、あっせん人が相当と認めるときは、外国語により対応することができる。

2 当事者が紛争解決センターに提出する書類は、日本語で記載されたものに限る。ただし、当事者は、日本語以外の言語で記載された書類について、日本語の訳文を付して提出することができる。

3 前項の規定にかかわらず、あっせん人が相当と認めるときは、当事者は、日本語以外の言語で記載された書類の全部又は一部について日本語の訳文を付さずに提出することができる。

4 前項の場合において、書類の提出後に、日本語の訳文が付されていない部分の全部又は一部について、あっせん人が事案の究明のために日本語の訳文が必要であると認めたときは、あっせん人は、当該書類を提出した当事者に対し、その提出を求めることができる。


第2節 あっせんの申立て


(申立ての方式)

第37条 あっせんの申立てをしようとする者は、紛争解決センターに対し、次の書類を提出しなければならない。

(1) 申立書

(2) 当事者が法人であるときは、その代表者の資格を証明する書面

(3) 当事者があっせん人を指名するときは、紛争解決センター所定の指名書

(4) 代理人により申し立てるときは、委任状その他代理権を証明する書面

2 申立人は、申立ての理由を基礎づける証拠書類があるときは、速やかにその写しを紛争解決センターに提出しなければならない。

3 提出された申立書が仲裁申立書その他の仲裁を求める意味の表題を付したものであっても、仲裁合意書が同時に提出されない場合には、紛争解決センターは、あっせんの申立書としてこれを受け付ける。ただし、申立人が反対の意思を表示したときは、この限りでない。


(申立書の記載事項)

第38条 申立書には、次の事項を記載しなければならない。

(1) 当事者及び代理人の氏名又は名称及び住所又は所在場所

(2) 申立ての趣旨

(3) 申立ての理由

2 申立人は、申立書にできる限り立証方法を記載するよう努める。


(手続の説明)

第39条 紛争解決センターは、あっせんの申立てをしようとする者に対しては次条の申立ての受理に先立ち、相手方に対しては第46条第1項に規定する通知及び送達とともに、次に掲げる事項について、これを記載した書面を交付し、又はこれを記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)を提供して説明する。

(1) あっせん人の選任に関する事項

(2) 当事者が支払う報酬又は費用に関する事項

(3) あっせん手続の開始から終了に至るまでの標準的な手続の進行過程

(4) あっせん手続において陳述される意見若しくは提出され、若しくは提示される資料に含まれ、又は第23条に規定する手続実施記録に記載されている当事者又は第三者の秘密の取扱いの方法

(5) 当事者があっせん手続を終了させるための要件及び方式

(6) あっせん人があっせん手続によっては当事者間に和解が成立する見込みがないと判断したときは、速やかに、当該あっせん手続を終了し、その旨を当事者に通知すること。

(7) 当事者間に和解が成立した場合に書面を作成すること及び作成者、通数その他当該書面の作成に係る概要

2 あっせん人は、相手方に対して前項により手続の説明ができなかったときは、相手方が最初に出頭した期日において、手続に先立ち、前項各号に掲げる事項について書面及び口頭で説明する。

3 紛争解決センターは、各当事者から前2項の説明を受けた旨の書面を受領する。


(申立ての受理)

第40条 紛争解決センターは、あっせんの申立てが第37条及び第38条に適合する場合であって、第106条第1項に規定する申立手数料が納付されたとき、又は同条第3項の規定により申立手数料が免除されたときは、申立てを受理する。


(不受理及び受理の取消し)

第41条 紛争解決センターは、あっせんの申立てに係る事案の内容が民事に関する紛争でない場合その他明らかにあっせんに適しないと認める場合には、前条の規定にかかわらず、当該申立てを受理しないことができる。

2 紛争解決センターは、前項に規定する場合には、前条の規定により受理した申立てについて受理を取り消すことができる。

3 前2項の場合には、紛争解決センターは、当事者に対し、速やかにその旨を通知しなければならない。ただし、相手方に対してまだ第46条第1項第1号に規定する通知がされていない場合には、申立人に通知すれば足りる。


(あっせん手続の相手方の意思確認)

第42条 あっせんの申立てを受理した場合には、紛争解決センターは、速やかに、相手方があっせん手続に応じるか否かの意思を確認する。

2 紛争解決センターは、相手方に対し、あっせん手続に応じるか否かの回答を求める書面を送付し、回答書の返送を求める。

3 紛争解決センターは、前項に規定する方法により相手方の意思を確認できなかった場合は、相手方が出頭してきた最初の期日において、手続に先立ち、あっせん手続に応じるか否かの意思を確認する。


第3節 あっせん人等


(あっせん人の選任)

第43条 紛争解決センターは、あっせんの申立ての受理後速やかに、あっせん・仲裁人候補者の中から、事案の内容等を勘案して当該事案を担当するのに適任と考えられる者をあっせん人に選任する。

2 あっせんの申立て時に当事者双方があっせん・仲裁人候補者の中からあっせん人を指名することに合意し、紛争解決センター所定の指名書が提出された場合であって、指名された者があっせん人となることを承諾するときは、紛争解決センターは、指名された者をあっせん人に選任する。

3 前2項の規定にかかわらず、当事者双方が合意し、かつ、紛争解決センターが相当と認める場合は、あっせん・仲裁人候補者以外の者(第26条第1項に規定するあっせん・仲裁人候補者に準ずる資格又は専門知識を有すると認める者に限る。)をあっせん人に選任することができる。


(あっせん人の数)

第44条 あっせん手続は、1人のあっせん人により行うものとする。

2 前項の規定にかかわらず、紛争解決センターは、当事者が求めた場合であって相当と認めるとき、又は事案の性質上必要と認めるときは、2人又は3人のあっせん人にあっせん手続を行わせることができる。

3 前項の場合には、あっせん人は、合議によりあっせん手続を行う。

4 あっせん手続を1人のあっせん人に行わせる場合にあってはそのあっせん人は弁護士でなければならず、2人又は3人のあっせん人に行わせる場合にあってはそのうちの1人は弁護士でなければならない。


(3人のあっせん人選任の特則)

第45条 3人のあっせん人によりあっせん手続を行う場合は、第43条の規定にかかわらず、紛争解決センターは、指定した期日までにあっせん・仲裁人候補者の中から各当事者にそれぞれ1人のあっせん人を指名させ、その余の1人を各当事者が指名したあっせん人2人の合意によりあっせん・仲裁人候補者の中から指名させることができる。

2 前項の場合において、紛争解決センターが指定した期日までに当事者の双方又は一方があっせん人を指名しないとき、又は各当事者が指名したあっせん人が合意によりその余の1人を指名しないときは、紛争解決センターが、第43条第1項に規定する基準により、あっせん・仲裁人候補者の中から、不足する数のあっせん人を選任する。


(あっせん人等の通知等)

第46条 紛争解決センターは、あっせん人を選任したときは、速やかに次に掲げる通知及び送達を行う。

(1) 当事者双方に対し、あっせん人の氏名、あっせん期日、開催場所、あっせん手続の概要その他必要な事項の通知

(2) 相手方に対し、申立書及び申立人から提出のあった証拠書類の写し(次項において「申立書等」という。)の送達

2 前項第2号の規定にかかわらず、あっせん人が適当と認めるときは、申立書等のうち一部のみを相手方に送達し、又は申立ての概要を適当な方法で相手方に伝達して申立書等の全部を送達しないことができる。


(委任契約)

第47条 紛争解決センターは、選任したあっせん人との間で、細則で定める方法によりあっせん業務の委任契約を締結する。


(あっせん人の除斥)

第48条 あっせん人は、次に掲げる事由のいずれかに当たるときは、あっせん手続から除斥される。

(1) あっせん人又はその配偶者若しくは配偶者であった者が、事件の当事者であるとき、又は事件について当事者と共同権利者、共同義務者若しくは償還義務者の関係にあるとき。

(2) あっせん人が当事者の4親等内の血族、3親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあったとき。

(3) あっせん人が当事者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。

(4) あっせん人が事件について証人となったとき。

(5) あっせん人が事件について当事者の代理人若しくは補佐人であるとき、又はあったとき。

2 あっせん人に選任されようとする者は、選任を受ける前に、当該事件に関して前項各号に当たる場合その他あっせん人に職務の公正性及び独立性に疑いを生ぜしめるべき事情がある場合には、当事者及び紛争解決センターに対し、その旨を開示しなければならない。ただし、当事者及び紛争解決センターが既にその事情を知っている場合は、この限りでない。

3 前項本文に規定する場合において、あっせん人がこれらの事情の発生を選任後に知ったときは、直ちに当事者及び紛争解決センターに対し、その旨を開示しなければならない。


(あっせん人の忌避)

第49条 当事者は、あっせん人に次に掲げる事由があると思料するときは、紛争解決センターに対し、当該あっせん人の忌避の申立てをすることができる。

(1) あっせん人に職務の公正性又は独立性に疑いを生ぜしめるべき事情があるとき。ただし、自己が指名したあっせん人について忌避を申し立てる場合には、当該指名後に知ることとなった事実を理由としなければならない。

(2) 第26条第1項各号に掲げる要件に該当しないとき。

(3) 当事者が合意によりあっせん人の要件を定めてあっせん人を指名した場合にあっては、当事者の合意により定められた要件を具備しないとき。

2 前項の申立てがあった場合は、紛争解決センターは、忌避の事由の有無を調査室に調査させる。

3 紛争解決センターは、前項の規定による調査の終了後、忌避を申し立てた当事者に対し、適宜の方法で調査の結果を通知する。


(あっせん人の解任)

第50条 当事者は、双方の合意により、紛争解決センターに対し、あっせん人の解任の申立てをすることができる。この場合において、紛争解決センターは、あっせん人の意見を聴取した上、当該あっせん人を解任することができる。

2 当事者は、あっせん人に次に掲げる事由があると思料するときは、紛争解決センターに対し、あっせん人の解任の申立てをすることができる。

(1) あっせん人が法律上又は事実上その任務を遂行することができなくなったとき。

(2) 前号の場合を除くほか、あっせん人がその任務の遂行を不当に遅滞させたとき。

3 紛争解決センターは、次に掲げる事由があるときは、あっせん人を解任しなければならない。ただし、第4号に該当する場合のうち懲戒の種類が戒告である場合であって、あっせん手続の進捗状況その他の事情を勘案してあっせん人を解任することが不適当であると認めるときは、この限りでない。

(1) 第48条第1項各号に掲げる事由が存在するとき。

(2) 前条第1項各号に掲げる事由があると認めるとき。

(3) 前項各号に掲げる事由があると認めるとき。

(4) あっせん人が懲戒を受けたことが判明したとき。

4 第2項の申立てがあった場合においては、前条第2項及び第3項の規定を準用する。


(あっせん人の辞任)

第51条 あっせん人は、心身の故障その他のやむを得ない理由があるときは、紛争解決センターの承認を得て辞任することができる。


(あっせん人の補欠)

第52条 解任、辞任、死亡その他の事由によりあっせん人が欠けたときは、紛争解決センターは、遅滞なく新たなあっせん人を選任する。


(手続の主宰者)

第53条 あっせん手続は、あっせん人が主宰する。

2 あっせん手続において、当事者、代理人、専門委員、通訳人、証人その他のあっせん手続に関与する者は、あっせん人の指揮に従わなければならない。


(合議体の長)

第54条 2人又は3人のあっせん人によりあっせん手続を行う場合には、あっせん人の互選により、弁護士であるあっせん人のうちから、合議体の長を選任しなければならない。

2 前項の規定による選任がされないときは、弁護士であるあっせん人のうちから、紛争解決センターが合議体の長を選任する。

3 第45条の規定によりあっせん人が選任された場合には、当事者の一方の指名により選任されたあっせん人は、合議体の長となることはできない。

4 前項に規定する場合において、当事者の一方の指名により選任されたあっせん人以外のあっせん人に弁護士がいないときは、第1項及び第2項の規定にかかわらず、弁護士でないあっせん人のうちから、合議体の長を選任することができる。

5 合議体の長は、あっせん手続を指揮する。


(合議体による手続)

第55条 合議体により手続を行う場合には、あっせん手続に関する事項は、合議体を構成するあっせん人の過半数により決定する。ただし、法令の解釈適用等の法的判断を伴う事項に関しては、弁護士であるあっせん人の判断に従う。

2 前項の場合において、可否同数のときは、合議体の長がこれを決する。


(あっせん人の責務)

第56条 あっせん人は、この規則に従い、当事者の意思を最大限尊重しつつ、独立して事案の究明及び紛争の解決に努め、公正かつ迅速な処理を行わなければならない。


(専門委員)

第57条 紛争解決センターは、当事者若しくはあっせん人の申出があった場合又は紛争解決センターが特に必要と認めた場合には、あっせん人を補佐するため、弁護士、学識経験者、専門知識に精通する者又は法律事務に精通する者の中から、専門委員を選任することができる。

2 第47条から第52条までの規定は、専門委員について準用する。

3 専門委員の選任方法に関する事項は、別に、細則で定める。

4 専門委員は、あっせん人の指示を受け、あっせん事件の解決のため必要な調査、報告及び助言を行い、あっせん人を補佐する。

5 専門委員は、前項に規定する調査、報告及び助言を行うため、あっせん人の求めに応じて、期日に出席することができる。


(通訳人)

第58条 紛争解決センターは、あっせんの当事者が日本語を話せない場合であって、通訳人が必要であるとあっせん人が判断したときは、外国語に精通する者の中から、通訳人を選任することができる。

2 第47条から第52条までの規定は、通訳人について準用する。


第4節 あっせん手続の実施


(答弁書の提出)

第59条 紛争解決センターは、相手方に対し、期限を指定して答弁書の提出を求めることができる。

2 前項の答弁書には、次の事項を記載しなければならない。

(1) 当事者及び代理人の氏名又は名称及び住所又は所在場所

(2) 事件番号

(3) 答弁の趣旨

(4) 答弁の理由

3 相手方が代理人を付す場合には、委任状を提出しなければならない。

4 相手方は、答弁の理由を基礎づける証拠書類があるときは、速やかに、その証拠書類の写しを紛争解決センターに提出しなければならない。

5 相手方は、答弁書にできる限り立証方法を記載するよう努める。


(申立ての変更)

第60条 申立人は、相手方の同意及びあっせん人の承認を得て、申立ての変更をすることができる。


(併合)

第61条 紛争解決センターが受理した複数の事件につき同一のあっせん人が選任された場合において、事案又は当事者の共通性その他の事情を勘案し、あっせん人が相当と認めるときは、あっせん人は、複数の事件を併合して手続を実施することができる。


(期日)

第62条 あっせん期日は、当事者双方出席の下に開催する。

2 紛争解決センターは、特別の事情がない限り、7日前までに当事者に期日及び開催場所の通知(以下「期日通知」という。)をしなければならない。

3 第1項の規定にかかわらず、あっせん人は、期日通知を受けた当事者の一方が欠席した場合においても、期日を開催することができる。


(期日の開催場所等)

第63条 あっせん期日は、愛知県弁護士会館、愛知県弁護士会西三河支部会館若しくは愛知県弁護士会一宮支部会館又は紛争解決センターの指定する場所において開催する。

2 前項に規定する会館におけるあっせん期日は、平日の午前10時から午後5時までの間に開催する。

3 前2項の規定にかかわらず、あっせん人は、必要があると認めるときは、あっせん人が指定する場所及び時間において、あっせん期日を開催することができる。


(当事者の一方のみの出席を求めて開催する期日)

第64条 あっせん人は、第62条第1項の規定にかかわらず、事案の内容に照らして同一期日に当事者双方の出席を求めることが相当でないと認める場合は、当事者の一方のみの出席を求めてあっせん期日を開催することができる。

2 前項の場合において、紛争解決センターは、第62条第2項の規定にかかわらず、出席を求めた当事者に対して期日通知をすれば足りるものとする。


(期日における手続)

第65条 あっせん人は、あっせん期日において、当事者を個別に、又は双方同席の下で事実に関する主張及び法的主張を聴取する。

2 あっせん人は、あっせん期日において事実を調査し、必要と認める場合には、当事者の申立て又は職権をもって証人の取調べその他の証拠調べを行うことができる。

3 あっせん人は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、あっせん人と当該当事者が音声の送受信により通話することができる方法によって、期日における手続を行うことができる。


(手続の非公開)

第66条 あっせん手続は、公開しない。ただし、あっせん人は、相当と認める者の同席を認めることができる。


(録音等の禁止)

第67条 当事者その他の期日に出席した者は、期日において録音、写真撮影又は録画をしてはならない。ただし、あっせん人は、特別の必要があると認める場合は、これを許可することができる。

2 当事者その他の第65条第3項に規定する方法による手続に関与した者は、送受信される音声の録音をしてはならない。


(利害関係人の参加)

第68条 利害関係人は、当事者双方の同意があるときは、あっせん人の許可を得てあっせん手続に参加することができる。

2 あっせん人は、相当と認めるときは、当事者双方の同意を得て、利害関係人に対し、あっせん手続に参加するよう求めることができる。

3 あっせん人は、前2項の規定によりあっせん手続に参加する利害関係人に対し、参加申出書その他必要な書類を提出させることができる。

4 第1項又は第2項の規定によりあっせん手続に参加した利害関係人については、その性質に反しない限り、当事者に関する規定を準用する。


(期日外準備)

第69条 あっせん人は、期日外であっても、当事者に対し、事案の究明に必要な主張の整理、補充、証拠書類の提出その他必要な準備を命ずることができる。


(期日調書)

第70条 あっせん人は、期日ごとに期日調書を作成し、署名押印しなければならない。

2 前項の期日調書には日時、場所、出席者の氏名及び手続の要旨を記載する。

3 前項に規定する事項のほか、第65条第3項に規定する方法による手続を行ったときは、第1項の期日調書には通話者の氏名、電話番号及び通話先の場所を記載する。


(あっせん手続の期間)

第71条 あっせん人は、3回以内の期日であっせん手続を終えるよう努めるものとする。


第5節 和解


(和解案)

第72条 あっせん人は、事件の全部又は一部について和解案を出すことができる。

2 当事者双方が希望する場合には、あっせん人は、和解案を出すよう努めなければならない。

3 和解案は、書面又は口頭で当事者双方に示すものとする。

4 当事者は、和解案に対して諾否の自由を有する。

5 和解案を当事者の一方又は双方が拒否した場合であっても、あっせん人はさらにあっせん手続を継続することができる。


(和解)

第73条 あっせん期日において当事者間に合意が成立したときは、あっせん人は、和解契約書を作成して当事者双方に記名押印又は署名をさせ、和解契約成立の証人としてこれに署名押印する。

2 前項の和解契約書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

(1) 当事者及び代理人の氏名又は名称及び住所又は所在場所

(2) 和解契約の内容

(3) 紛争の価格

(4) 成立手数料及び諸費用に関する当事者双方の負担額

(5) 和解契約書作成の日

3 前項第3号の紛争の価格は、細則で定める算定基準及び裁判所の定める訴訟物価額の算定基準を参酌して、あっせん人が事案に応じた適正妥当な額として算定した価格とする。

4 紛争の価格を算定することが困難なときは、あっせん人が具体的事案の内容を勘案し、500,000円、1,000,000円、3,000,000円又は5,000,000円のいずれかに定める。


(和解契約書の事前提出による和解)

第74条 あっせん人は、当事者が遠隔の地に居住していることその他の事由によりあっせん期日に出席することが困難であると認める場合は、当該当事者(第3項及び次条第1項において「欠席予定当事者」という。)があらかじめ和解契約書に記名押印又は署名押印をして紛争解決センターに提出し、他の当事者(次項において「出席当事者」という。)があっせん期日に出席して当該和解契約書に記名押印又は署名をする方法により、和解契約を成立させることができる。

2 前項の和解契約書には、前条第2項各号に掲げる事項を記載するほか、出席当事者が和解契約書に記名押印又は署名をしたときに和解契約が成立する旨を付記しなければならない。

3 第1項の規定により和解契約を成立させる場合において、あっせん人は、当該あっせん期日以前に、欠席予定当事者の記名押印又は署名押印が欠席予定当事者の意思に基づくものであることを確認しなければならない。

4 第1項の規定により和解契約を成立させる場合において、あっせん人は、和解契約成立の証人として和解契約書に署名押印する。


(受諾書による和解)

第75条 前条第1項に規定する場合において、欠席予定当事者があっせん期日に欠席したときは、あっせん人は、あっせん期日に出席した当事者があっせん人から提示された和解案を受諾する旨の書面(以下「受諾書」という。)に記名押印又は署名をして提出し、欠席した当事者(第3項において「欠席当事者」という。)が当該和解案の送付を受けて受諾書に記名押印又は署名押印をして紛争解決センターに提出する方法により、和解契約を成立させることができる。

2 前項の受諾書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

(1) 第73条第2項第1号から第4号までに掲げる事項

(2) あっせん人が次項の規定に基づき和解書を作成したときに和解契約が成立する旨

(3) 受諾書作成の日

3 第1項の規定により和解契約を成立させる場合において、あっせん人は、欠席当事者の記名押印又は署名押印が欠席当事者の意思に基づくものであることを確認した上で、次に掲げる事項を記載した和解書を作成し、各当事者が提出した受諾書をこれにつづる。

(1) 当事者及び代理人の氏名又は名称及び住所又は所在場所

(2) 受諾書に記載した和解条項のとおり当事者間に和解契約が成立した旨

(3) 和解書作成の日

4 あっせん人は、前項の和解書に和解契約成立の証人として署名押印し、毎葉のつづり目に契印をする。


第6節 和解によらないあっせん手続の終了


(仲裁手続への移行)

第76条 あっせん人は、あっせん手続のいかなる段階においても、当事者双方に対し、仲裁の合意をして仲裁手続に移行する意思の有無について確認することができる。

2 あっせん手続の進行中に当事者双方が仲裁の合意をし、紛争解決センターに仲裁合意書を提出したときは、あっせん手続は終了し、次章に規定する仲裁手続に移行する。


(仲裁手続移行後の仲裁人)

第77条 前条第2項の場合においては、あっせん手続におけるあっせん人が引き続き仲裁人となる。ただし、当事者の一方又は双方が異議を述べた場合は、この限りでない。

2 前項ただし書の場合には、紛争解決センターは、第91条において準用する第43条の規定により新たな仲裁人を選任する。


(重要な情報の開示等)

第78条 前条第1項本文の場合において、当該あっせん人があっせん手続において仲裁判断に影響する重要な情報であって他方当事者に開示されていないものを一方当事者から得ているときは、当該あっせん人は、仲裁人になる前に当該当事者の同意を得てこれを他方当事者に開示し、かつ、第1回仲裁期日において仲裁手続における争点を各当事者とともに確認しなければならない。ただし、直ちに第100条第1項に規定する決定をすることができるときは、この限りでない。

2 前項本文の規定による開示に当該当事者が同意しない場合、あっせん人は、他方当事者に対して、開示できない重要な情報があることを告知しなければならない。この場合においては、あっせん人は、仲裁人になることを拒否することができる。

3 前項後段の規定によりあっせん人が仲裁人になることを拒否した場合には、紛争解決センターは、第91条において準用する第43条の規定により新たな仲裁人を選任する。


(記録の移管等)

第79条 第76条第2項の規定により仲裁手続に移行した場合には、あっせん手続における記録のうち当事者の提出した申立書、答弁書、準備書面その他の主張書面及び証拠(次項において「主張書面等」という。)は、当事者の援用により仲裁手続に移管される。

2 前項の規定により移管された主張書面等のうち他方当事者が副本を受領していないものがある場合には、紛争解決センターは、速やかにこれを他方当事者に送達しなければならない。


(申立ての取下げ)

第80条 申立人は、いつでも申立ての全部又は一部を取り下げることができる。

2 申立人がその申立てを取り下げようとする場合には、次に掲げる事項を記載した書面を紛争解決センターに提出しなければならない。

(1) 当事者及び代理人の氏名又は名称

(2) あっせんの申立ての全部又は一部を取り下げること。

(3) 取下げ年月日

3 前項の書面を提出する場合には、他方当事者の数の副本とともに提出しなければならない。

4 あっせん手続は、申立人が第2項の書面を紛争解決センターに提出したときに終了する。


(相手方の手続からの離脱)

第81条 相手方は、いつでもあっせん手続から離脱することができる。

2 相手方は、あっせん手続から離脱しようとする場合には、次に掲げる事項を記載した書面を紛争解決センターに提出しなければならない。

(1) 当事者及び代理人の氏名又は名称

(2) あっせんの手続から離脱すること。

(3) 離脱年月日

3 前条第3項の規定は、前項の場合について準用する。


(あっせん手続の終了宣言)

第82条 あっせん人は、次の各号のいずれかに該当する事由があると認めるときは、あっせん手続が終了したことを宣言することができる。

(1) 相手方があっせんに応ずる意思がないとき。

(2) 相手方が前条第2項の書面を紛争解決センターに提出したとき。

(3) 当事者が、正当な理由なく、3回以上の期日又は連続して2回以上の期日に欠席したとき。

(4) 当事者があっせん人の指揮に従わないとき。

(5) 当事者があっせんに要する費用を定められた期日までに納付しないとき。

(6) 事案があっせんに適しないと認めたとき。

(7) 紛争の性質、期日における当事者の態度その他の事情を総合的に勘案して和解成立の見込みがないと判断したとき。

(8) 第76条第2項の規定により仲裁手続に移行したとき。

2 前項の規定によりあっせん手続が終了したときは、あっせん人は、理由の要旨を記載した終了宣言書を作成し、紛争解決センターは、終了宣言書に基づいて終了通知書を作成する。


第8章 仲裁手続


第1節 総則


(仲裁手続の準則)

第83条 仲裁手続は、この規則及びこの規則に基づき委員会が定める細則により行う。

2 この規則及び委員会が定める細則に定めのない事項については、仲裁法(平成15年法律第138号)の規定に従う。ただし、当事者双方が仲裁法の強行規定に反しない限度で仲裁の手続的事項を合意した場合であって、この規則の趣旨に反しないと仲裁人が認めるものについては、当事者及び仲裁人は、これに従う。

3 仲裁人は、適当と認めるときは、当事者の意見を聴き、仲裁法の強行規定に反しない限度で任意に手続的事項を定めることができる。


(仲裁地等)

第84条 この規則に基づく仲裁手続の仲裁地は、当事者間に別段の合意がない限り、最初の仲裁期日の開催場所の所在場所とする。

2 この規則に基づく仲裁手続の管轄裁判所は、当事者間に別段の合意がない限り、前項の仲裁地を管轄する地方裁判所とする。


(書類の送達等)

第85条 仲裁手続に関する書類は、当事者に直接交付して送達する場合及び次条で準用する第33条第1項の場合を除き、当事者の住所又は当事者が特に指定した場所に、紛争解決センターが普通郵便又はファクシミリ送信により送達する。

2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる書類は、当事者に直接交付して送達する場合を除き、前項に規定する住所又は場所に、紛争解決センターが配達証明付き書留郵便により送達する。

(1) 申立書(申立ての趣旨を補正し、又は変更するもの及び反対請求に係るものを含む。)

(2) 仲裁判断書の写し

(3) 終了通知書

3 期日その他の仲裁手続に必要な事項の通知は、紛争解決センターが口頭、書面その他適宜な方法により行うことができる。


(あっせん手続の規定の準用)

第86条 第31条から第34条まで及び第36条の規定は、仲裁手続について準用する。


第2節 仲裁手続の開始


(仲裁手続の開始)

第87条 仲裁手続は、次条の方式による申立てを紛争解決センターが受理したとき、又は第76条第2項の規定によりあっせん手続から仲裁手続に移行したときに開始する。


(申立ての方式)

第88条 仲裁の申立てをしようとする者は、紛争解決センターに対し、次の書類を提出しなければならない。

(1) 申立書

(2) 当事者が法人であるときはその代表者の資格を証明する書面

(3) 当事者が仲裁人を指名するときは紛争解決センター所定の指名書

(4) 代理人により申し立てるときは委任状

(5) 仲裁合意書

2 申立人は、申立ての理由を基礎づける証拠書類があるときは、速やかにその写しを紛争解決センターに提出しなければならない。

3 申立書及び証拠書類の写しの提出数は、相手方の数に選任された仲裁人の数及び1通を加えた数とする。


(あっせん手続の規定の準用)

第89条 第38条から第41条までの規定(第39条第1項第6号を除く。)は、仲裁手続について準用する。この場合において、第40条中「第37条」とあるのは、「第88条」と読み替えるものとする。


第3節 仲裁人等


(仲裁人の数)

第90条 仲裁手続は、1人の仲裁人により行うものとする。

2 前項の規定にかかわらず、紛争解決センターは、当事者が求めた場合であって相当と認めるとき、又は事案の性質上必要と認めるときは、3人の仲裁人に仲裁手続を行わせることができる。

3 前項の場合には、仲裁人は、合議により仲裁手続を行う。

4 仲裁手続を1人の仲裁人に行わせる場合にあってはその仲裁人は弁護士でなければならず、3人の仲裁人に行わせる場合にあってはその内の2人は弁護士でなければならない。

5 3人の仲裁人により仲裁手続を行う場合、仲裁人の互選により合議体の長を選任しなければならない。


(あっせん手続の規定の準用)

第91条 第43条第45条第46条第1項、第47条から第53条まで、第54条第2項から第4項まで、第55条第1項及び第56条から第58条までの規定は、仲裁手続について準用する。この場合において、第54条第2項中「前項の規定による選任がされないときは」とあるのは、「第90条第5項の規定による選任がされないときは」と読み替えるものとする。


第4節 仲裁手続の審理


(期日における手続)

第92条 仲裁廷(仲裁手続を行う1人の仲裁人又は3人の仲裁人の合議体をいう。以下同じ。)は、仲裁期日において、当事者が別段の合意をしない限り、当事者双方同席の下で事実を聴取し、証拠調べを行う。

2 仲裁廷は、必要と認める場合には、当事者の申立てにより又は職権で、証人の取調べを行い、又はその他の証拠調べを行うことができる。

3 仲裁廷は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、仲裁廷と当事者双方とが音声の送受信により通話することができる方法によって、期日における手続を行うことができる。


(手続参加)

第93条 仲裁手続の当事者となっていない者であっても、次に掲げる場合には、申立人として仲裁手続に参加し、又はこの者を相手方として仲裁手続に参加させることができる。

(1) その者及び当事者全員の書面による当該参加に係る合意がある場合

(2) 各申立てが同一の仲裁合意に基づくものである場合。ただし、仲裁手続の当事者となっていない者が、仲裁廷の成立後に相手方として参加させられる場合には、その者の書面による同意を要する。


(攻撃防御方法の制限)

第94条 仲裁廷は、主張又は証拠の提出が時機に遅れたものである等迅速かつ公正な仲裁の趣旨に反すると認められるものである場合には、当事者の意見を聴いて、その提出を制限することができる。


(暫定処置又は保全処置)

第95条 仲裁廷は、当事者間に別段の合意がない限り、その一方の申立てにより、いずれの当事者に対しても、紛争の対象について仲裁廷が必要と認める暫定措置又は保全措置を講ずることを命ずることができる。

2 仲裁廷は、前項の暫定処置又は保全処置を講じることを命じるに当たり、相当な担保の提供を命じることができる。


(審理の終結)

第96条 仲裁廷は、事案が仲裁判断をするに熟したと認めるときは審理を終結する。

2 仲裁廷は、必要と認めた場合は、審理を再開することができる。

3 仲裁廷は、相当の理由がある場合を除き、3回以内の期日で審理を終結するように努めなければならない。


(あっせん手続の規定の準用)

第97条 第59条から第63条まで、第66条第67条第69条及び第70条の規定は、仲裁手続について準用する。


第5節 仲裁手続の終了


(仲裁判断)

第98条 仲裁廷は、相当の理由がある場合を除き、審理の終結後1か月以内に仲裁判断をしなければならない。

2 仲裁廷が仲裁判断をする場合には、仲裁判断書を作成し、これに仲裁判断をした仲裁人が署名しなければならない。ただし、仲裁廷が合議体である場合であって仲裁人の1人について署名できない事情があるときは、その余の仲裁人が仲裁判断書に署名し、仲裁人の1人が署名できないことの理由を記載することをもってこれに代えることができる。

3 仲裁判断書には、次の事項を記載しなければならない。ただし、第3号の事項については、当事者がこれを記載しないことを合意している場合は、この限りでない。

(1) 当事者及び代理人の氏名又は名称及び住所又は所在地

(2) 主文

(3) 判断の理由

(4) 紛争の価格

(5) 成立手数料及び諸費用に関する当事者双方の負担額

(6) 作成年月日

(7) 仲裁地

4 前項第4号の紛争の価格については、第73条第3項及び第4項の規定を準用する。

5 仲裁判断書の原本は、紛争解決センターが保管する。

6 紛争解決センターは、第3項第5号に規定する手数料及び費用が納付された後、当事者双方に対し、仲裁判断書の写しを送付する方法により、仲裁判断を当事者に通知する。

7 仲裁手続は、仲裁判断により終了する。


(和解及び和解勧試)

第99条 当事者双方は、仲裁手続のどの段階においても、和解によって紛争を解決することができる。

2 当事者双方の承諾がある場合には、仲裁廷又はその選任した1人若しくは2人の仲裁人は、仲裁手続に付された民事上の紛争について、和解を試みることができる。この場合において、仲裁廷が選任する仲裁人のうち少なくとも1人は、弁護士でなければならない。

3 前2項に規定する和解については、前章第5節の規定を準用する。


(仲裁決定)

第100条 仲裁廷は、仲裁手続の進行中において、仲裁手続に付された民事上の紛争について当事者間に和解が成立し、かつ、当事者双方の申立てがあるときは、当該和解における合意を内容とする決定をすることができる。

2 前項の決定は、仲裁判断としての効力を有する。

3 仲裁廷は、第1項の決定をするには、第98条第2項及び第3項(第3号を除く。)の規定に従って仲裁決定書を作成し、これに仲裁判断である旨の表示をしなければならない。

4 仲裁決定書の原本は、紛争解決センターが保管する。

5 紛争解決センターは、第98条第3項第5号に規定する費用が納付された後、当事者双方に対し、仲裁決定書の写しを送付する。


(仲裁申立ての却下)

第101条 仲裁廷は、当事者が行った仲裁合意に無効又は取消事由があり、仲裁廷が仲裁権限を有しないと認めたときは、本案の判断をせずに仲裁申立てを却下しなければならない。

2 仲裁廷は、次に掲げる事由がある場合には、本案の判断をせずに仲裁申立てを却下することができる。

(1) 当事者双方が仲裁期日に出席しないとき。

(2) 当事者双方が仲裁廷の指揮に従わないため十分な審理が困難であるとき。

(3) 当事者が仲裁に要する費用を定められた期日に納付しないとき。

(4) 事案が仲裁に適しないと認めたとき。


(仲裁申立ての取下げ)

第102条 申立人は、仲裁申立ての全部又は一部を取り下げることができる。ただし、相手方が取下げに異議を述べ、かつ、仲裁廷が、仲裁手続に付された民事上の紛争解決について相手方が正当な利益を有すると認める場合は、この限りでない。

2 申立人がその申立てを取り下げようとする場合には、次に掲げる事項を記載した書面を紛争解決センターに提出しなければならない。

(1) 当事者及び代理人の氏名又は名称

(2) 仲裁の申立ての全部又は一部を取り下げること。

(3) 取下年月日


(仲裁手続を終了させる旨の合意)

第103条 当事者双方は、合意によって仲裁手続を終了させることができる。


(仲裁手続の終了決定)

第104条 仲裁廷は、次の各号のいずれかに該当する事由があるときには仲裁手続の終了決定をしなければならない。

(1) 申立てが却下されたとき。

(2) 申立てが取り下げられたとき。

(3) 仲裁手続に付された紛争について当事者間に和解が成立したとき(第100条第1項の決定があったときを除く。)。

(4) 当事者双方が仲裁手続を終了させる旨の合意をしたとき。

2 前項の終了決定をしたときは、仲裁廷は、理由の要旨を記載した終了決定書を作成しなければならない。

3 紛争解決センターは、前項の終了決定書に基づいて終了通知書を作成し、当事者双方に送付する。


第9章 手数料


(あっせん・仲裁手数料の種類)

第105条 あっせん・仲裁手続の手数料(以下「あっせん・仲裁手数料」という。)は、申立手数料、成立手数料、諸費用及び参加手数料とする。


(申立手数料)

第106条 申立人は、紛争解決センターに対し、あっせん又は仲裁の申立て(以下「あっせん・仲裁申立て」という。)に際し、申立手数料として、事件1件につき金10,000円を持参又は送金により納付する。

2 前項の事件の件数は、細則で定める基準に従い、調査室の意見を聴いて委員会が決定する。

3 紛争解決センターは、細則で定める特別の事情がある場合は、第1項の申立手数料を減免することができる。

4 紛争解決センターは、受領した申立手数料を返還しない。ただし、次の各号に掲げる場合は、当該各号に定める金額を返還する。

(1) 紛争解決センターが第1項の申立手数料を受領した後に前項の規定により減額したとき 減額した額

(2) 相手方があっせん期日又は仲裁期日(以下「あっせん・仲裁期日という。)に1回も出席しないまま、あっせん・仲裁手続が取下げ又は終了宣言により終了したとき(あっせん期日における手続が第65条第3項に規定する方法により行われたとき及び仲裁期日における手続が第92条第3項に規定する方法により行われたときを除く。) 受領した申立手数料の2分の1に相当する金額

(3) 紛争解決センターがあっせん・仲裁申立ての受理を取り消したとき 受領した申立手数料の全額


(成立手数料)

第107条 当事者は、和解契約が成立した場合又は仲裁判断がされた場合には、紛争解決センターに対し、次の各号に掲げる紛争の価格に応じ、当該各号に定めるところに従い算定した成立手数料(その額に1,000円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てるものとする。)を、和解契約書又は仲裁判断書で定められた負担額に応じて納付する。

(1) 1,000,000円以下の場合 8パーセント

(2) 1,000,000円を超え2,000,000円以下の場合 5パーセントに30,000円を加えた額

(3) 2,000,000円を超え5,000,000円以下の場合 3パーセントに70,000円を加えた額

(4) 5,000,000円を超え50,000,000円以下の場合 2パーセントに120,000円を加えた額

(5) 50,000,000円を超え100,000,000円以下の場合 1パーセントに620,000円を加えた額

(6) 100,000,000円を超える場合 0.5パーセントに1,120,000円を加えた額

2 成立手数料の納付は、和解契約書又は仲裁判断書の送達前に、持参又は送金により行う。

3 紛争解決センターは、細則で定める特別の事情があるときは、あっせん・仲裁人の意見に基づき、成立手数料を減免することができる。


(諸費用)

第108条 あっせん・仲裁手続の実施のために要する通訳費用、出張費用その他の諸費用の額は、細則で定める。

2 紛争解決センターは、細則で定める場合を除き、その都度あっせん・仲裁人の意見を聴いて、前項の諸費用を納付すべき者を定める。

3 紛争解決センターは、前項の場合において、相当と認めるときは、負担割合を定めて第1項の諸費用を各当事者に分担させることができる。

4 前2項の規定により諸費用を納付すべき者と定められた当事者は、紛争解決センターが指定した期限までに、持参又は送金によりこれを納付しなければならない。


(参加手数料)

第109条 紛争解決センターは、あっせん・仲裁手続に参加した利害関係人に対し、あっせん・仲裁人の意見を聴いて、参加手数料の納付を求めることができる。

2 前項の参加手数料については、第106条の規定を準用する。

3 紛争解決センターは、あっせん・仲裁手続に参加した利害関係人に対し、あっせん・仲裁人の意見を聴いて、成立手数料又は諸費用の全部又は一部の納付を求めることができる。

4 前項の場合においては、前2条の規定を準用する。


(消費税)

第110条 この章に規定する金額は、消費税法(昭和63年法律第108号)及び地方税法(昭和25年法律第226号)に基づき紛争解決センターの役務に対して課せられる消費税及び地方消費税に相当する額(以下「消費税等相当額」という。)を含まない。

2 当事者は、紛争解決センターに対してこの章に定める申立手数料、参加手数料又は成立手数料を支払うときは、消費税等相当額を加算して支払うものとする。第106条第4項ただし書の規定により紛争解決センターが当事者に申立手数料を返還する場合も同様とする。


第10章 金融ADR協定に基づくあっせん・仲裁手続の特則


(金融ADR協定の締結)

第111条 紛争解決センターは、金融商品取引法(昭和23年法律第25号)その他の法律の規定により指定紛争解決機関が存在しない場合の紛争解決措置を講じることを義務付けられている事業者(以下「金融商品取引業者等」という。)との間で、紛争解決措置として紛争解決センターを利用することを内容とする協定(以下「金融ADR協定」という。)を締結することができる。

2 金融ADR協定を締結した場合にあっては、金融商品取引業者等とその顧客との間の紛争についてあっせん・仲裁申立てがあったときは、金融ADR協定の定めに従いあっせん・仲裁手続を行う。ただし、金融ADR協定の定めにより対象とする事件の範囲を限定した場合において、申立てに係る事件が当該範囲に属さないときは、この限りでない。


(金融ADR協定において定めるべき事項)

第112条 金融ADR協定においては、次に掲げる事項を定めなければならない。

(1) 金融商品取引業者等は、顧客からあっせん・仲裁申立てがあった場合には、手続に応ずることを正当な理由なく拒んではならないこと。

(2) あっせん・仲裁人は、金融商品取引業者等に対し、あっせん・仲裁に必要な報告又は帳簿書類その他の物件の提出を求めることができ、金融商品取引業者等は、その求めがあったときは、正当な理由なくこれを拒んではならないこと。

(3) あっせん手続において、あっせん人から当事者に対し和解案の受諾の勧告がなされた場合には、金融商品取引業者等は、これを受諾するよう努めなければならないこと。

(4) 前号の和解案の受諾の勧告によっては当事者間に和解が成立する見込みがない場合において、あっせん人は、事案の性質、当事者の意向、当事者の手続追行の状況その他の事情に照らして相当であると認めるときは、紛争の解決のために必要な特別調停案を作成し、理由を付して当事者に提示することができること。

(5) 前号に規定する「特別調停案」とは、次に掲げる場合を除き、金融商品取引業者等が受諾する義務を負うものであること。

ア 顧客が当該特別調停案を受諾しないとき。

イ 当該特別調停案の提示の時において当該あっせん申立ての目的となった請求に係る訴訟が提起されていない場合において、顧客が当該特別調停案を受諾したことを金融商品取引業者等が知った日から1か月を経過する日までに当該請求に係る訴訟が提起され、かつ、同日までに当該訴訟が取り下げられないとき。

ウ 当該特別調停案の提示の時において当該あっせん申立ての目的となった請求に係る訴訟が提起されている場合において、顧客が当該特別調停案を受諾したことを金融商品取引業者等が知った日から1か月を経過する日までに当該訴訟が取り下げられないとき。

エ 顧客が当該特別調停案を受諾したことを金融商品取引業者等が知った日から1か月を経過する日までに、当該あっせん手続が行われている紛争について、当事者間において仲裁法第2条第1項に規定する仲裁合意がされ、又は当該特別調停案によらずに和解若しくは調停が成立したとき。

(6) 金融商品取引業者等の顧客があっせん・仲裁の申立てをした場合であっても、顧客が申立手数料(消費税等相当額を含む。以下同じ。)を負担する意思を表示した場合を除き、申立手数料は、金融商品取引業者等が負担すること。

(7) 前各号に掲げるもののほか、この規則の定めに従うこと。


(業界団体等との金融ADR協定)

第113条 金融ADR協定は、金融商品取引業者等が所属する業界団体又は協会(以下「業界団体等」という。)との間で締結することもできる。

2 前項の場合には、金融ADR協定においては、前条各号に掲げる事項に代えて、次に掲げる事項を定めなければならない。

(1) 前条各号(第6号を除く。)に規定する事項について、業界団体等が金融商品取引業者等に遵守させること。

(2) 金融商品取引業者等の顧客があっせん・仲裁の申立てをした場合であっても、顧客が申立手数料を負担する意思を表示した場合を除き、申立手数料は、次に掲げる者のうち金融ADR協定で定めたものが負担すること。

ア 業界団体等

イ 金融商品取引業者等


(適用除外)

第114条 金融ADR協定の定めに従いあっせん・仲裁手続を行う場合にあっては、第72条第4項の規定は、金融商品取引業者等については、適用しない。

2 金融ADR協定の定めに従いあっせん・仲裁手続を行う場合にあっては、第106条第1項の規定にかかわらず、申立手数料は、金融商品取引業者等又は業界団体等が納付する。ただし、顧客が申立人である場合において、顧客が自ら申立手数料を負担する意思を表示したときは、この限りでない。


第11章 ハーグ条約実施法に基づくあっせん事業に関する特則


(ハーグ条約事業の実施)

第115条 紛争解決センターは、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(平成25年法律第48号。以下「ハーグ条約実施法」という。)に基づく子の返還又は面会その他の交流を合意により実現するための協議のあっせん事業(以下「ハーグ条約事業」という。)を行う。


(ハーグ条約事業の対象事件)

第116条 ハーグ条約事業は、ハーグ条約実施法に基づき外務大臣の援助の決定(以下「援助決定」という。)を受けた事案に係る子の返還又は面会その他の交流を協議の対象とする。

2 前項に規定するほか、紛争解決センターは、前項の協議の対象に関連する民事上の紛争をハーグ条約事業における協議の対象とすることができる。


(ハーグ条約事業の対応言語)

第117条 ハーグ条約事業における第36条の適用については、同条第1項中「日本語」とあるのは「日本語及び英語」と、「外国語」とあるのは「英語以外の外国語」と、同条第2項から第4項までの規定中「日本語」とあるのは「日本語又は英語」とする。


(ハーグ条約事業におけるあっせん手続の利用回数等)

第118条 ハーグ条約事業におけるあっせん手続の利用は、援助決定を受けた事件1件につき1回に限る。ただし、あっせん手続の終了後に事情の変更が生じたことにより、改めてあっせん手続を行う特段の必要が生じた場合であって、あっせん手続をハーグ条約事業として行うことにつき外務大臣の承認があったときは、この限りでない。


(ハーグ条約事業におけるあっせん人の選任)

第119条 紛争解決センターは、ハーグ条約事業に関するあっせんの申立てを受理した場合は、弁護士であるあっせん・仲裁人候補者(第3項において「弁護士あっせん・仲裁人候補者」という。)の中から、あっせん人2名を選任する。

2 紛争解決センターが必要と認めるときは、前項の規定により選任された者に加えて、専門家あっせん・仲裁人候補者の中から、あっせん人1名を選任することができる。

3 当事者は、合意により、弁護士あっせん・仲裁人候補者の中からあっせん人2名を指名することができる。この場合において、指名された者があっせん人に就任することを承諾したときは、紛争解決センターは、その者をあっせん人に選任する。


(ハーグ条約事業におけるあっせんの申立て)

第120条 ハーグ条約事業に関するあっせんの申立てをしようとする者は、第37条第1項各号に掲げる書類のほか、外務大臣が発行した援助決定の通知書の写しを紛争解決センターに提出しなければならない。

2 紛争解決センターは、前項の申立てに際して申立手数料の納付がない場合であっても、当該申立てを受理することができる。

3 紛争解決センターは、第1項の申立てに際して申立書に相手方の住所の記載がない場合であっても、当該申立てを受理することができる。


(ハーグ条約事業における相手方への参加呼びかけ)

第121条 ハーグ条約事業のあっせん人は、中立性を害さないよう留意しつつ、相手方に対し、あっせん手続への参加を促すよう努める。


(ハーグ条約事業における個人情報の保護)

第122条 紛争解決センターは、ハーグ条約事業の対象事件の当事者の住所、連絡先等の個人情報を他方当事者に開示することについては、あっせん手続の開始時に当事者の希望を聴取した上で、慎重に取り扱う。

2 紛争解決センターは、当事者及びあっせん手続の経過に関する情報を、外務大臣への報告その他ハーグ条約事業に必要な限度で第三者に提供することができる。


(在外当事者の本人確認)

第123条 ハーグ条約事業において、外国に居住する当事者(以下この章において「在外当事者」という。)は、第1回期日前に、旅券の写しを紛争解決センターに提出しなければならない。

2 あっせん人は、旅券の写しの確認、他方当事者への聴取その他の方法により、在外当事者が本人であることの確認を行うものとする。


(ハーグ条約事業の通訳人及び翻訳)

第124条 ハーグ条約事業において通訳人が必要であるとあっせん人が判断したときは、紛争解決センターは、通訳人を選任する。

2 当事者から提出された書類について他の言語に翻訳することが必要であるとあっせん人が判断したときは、紛争解決センターは、当該書類をあっせん人が指定する言語に翻訳する。


(ハーグ条約事業における書類の提出及び送達)

第125条 ハーグ条約事業においては、在外当事者が紛争解決センターに対して申立書その他の書類を提出する場合には、電子メールを送信する方法で行うことができる。

2 紛争解決センターが在外当事者に対して書類を送達する場合には、次項に規定するときを除き、第35条第1項に定める方法のほか、電子メールを送信する方法で行うことができる。

3 紛争解決センターが在外当事者に対して第35条第2項の規定により書類を送達すべきときは、受取通知付きの国際郵便により行うものとする。


(ハーグ条約事業における仲裁手続)

第126条 ハーグ条約事業において、あっせん手続の進行中に当事者双方が仲裁の合意をし、紛争解決センターに仲裁合意書を提出したときは、あっせん手続は終了し、第8章に規定する仲裁手続に移行する。

2 第117条及び前2条の規定は、前項の仲裁手続について準用する。


(ハーグ条約事業における和解契約書等の言語)

第127条 ハーグ条約事業における和解契約書、和解案、受諾書、和解書、仲裁判断書及び仲裁決定書は、日本語で作成し、英語の翻訳文を添付する。ただし、あっせん・仲裁人が相当と認めるときは、英語の翻訳文に代えて他の外国語の翻訳文を添付することができる。


(ハーグ条約事業における手数料等)

第128条 外務省と本会との間の業務委託契約により外務省がハーグ条約事業のあっせん・仲裁手数料の全部又は一部を負担する場合には、紛争解決センターは、外務省が負担する限度で当事者にあっせん・仲裁手数料を納付させないものとする。

2 第116条第1項に規定する事項について和解が成立し、又は仲裁判断がなされた場合の紛争の価格は、1,900,000円とする。


(送金方法)

第129条 ハーグ条約事業における在外当事者と紛争解決センターとの間の送金は、日本円建ての国際郵便為替によって行う。


第12章 災害ADR事業に関する特則


(災害ADR事業の実施)

第130条 紛争解決センターは、災害に起因する民事に関する紛争について、より簡易、迅速かつ低額に解決することができるようにするためのあっせん及び仲裁事業(以下「災害ADR事業」という。)を行うことができる。

2 前項の「災害」とは、暴風、竜巻、豪雨、豪雪、洪水、崖崩れ、土石流、高潮、地震、津波、噴火、地滑りその他の異常な自然現象又は大規模な火事若しくは爆発、感染症のまん延、有害物質の大量放出等その被災地域の市民の生命、身体若しくは財産に対して及ぼす程度においてこれらに類する事象により生じる被害をいう。


(対象災害の指定等)

第131条 災害ADR事業の対象となる災害(以下この章において「対象災害」という。)は、委員会及び災害対策委員会の各委員長の意見を聴いて、会長が指定する。

2 災害ADR事業の対象となる紛争(以下この章において「対象紛争」という。)は、対象災害の被災者を当事者とする民事に関する紛争であって、対象災害を原因とするものとする。

3 会長は、対象紛争の範囲について、紛争の発生地、当事者の住所又は紛争の種別による限定をすることができる。

4 この章の規定は、対象紛争に係る事件のうち第1項に規定する対象災害の指定の前に申し立てられたものについても適用する。


(サポート弁護士)

第132条 紛争解決センターは、対象紛争に該当すると見込まれる紛争についてのあっせん・仲裁申立てをしようとする者(以下この章において「申立予定者」という。)に、その申立ての支援を行うための専門委員(以下「サポート弁護士」という。)を選任することができる。

2 サポート弁護士は、申立予定者への手続の説明、申立内容の聴取並びに申立書の作成及び提出の代行を行う。

3 サポート弁護士は、前項に規定する支援を行った事件について、自ら受任してはならない。

4 第47条から第52条までの規定は、サポート弁護士について準用する。


(サポート弁護士候補者名簿)

第133条 紛争解決センターは、サポート弁護士の選任の便宜のため、サポート弁護士の候補者を委嘱し、サポート弁護士候補者名簿を作成する。

2 前項に規定する委嘱は、公募に応じた弁護士経験5年以上を有する弁護士である会員の中から、委員会の意見を聴いて行う。

3 サポート弁護士の候補者の任期は、3年とする。ただし、再任を妨げない。


(手続の説明に関する特則)

第134条 第132条第1項に規定するあっせん・仲裁申立てを受理するに先立ち、第39条第1項に規定する書面の交付及び同項に規定する電磁的記録の提供が困難である場合には、サポート弁護士が申立予定者に口頭で手続の説明をするものとする。

2 前項の場合においては、あっせん・仲裁人は、当該申立てに係る事件の第1回期日において、手続の開始に先立ち、第39条第1項に掲げる事項について申立人に口頭で手続の説明をし、同項に規定する書面を交付しなければならない。


(申立ての受理に関する特則)

第135条 対象紛争についてのあっせん・仲裁申立て(以下「災害ADR申立て」という。)については、第40条第89条において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定にかかわらず、第37条第1項第2号から第4号までに掲げる書類(第89条において第40条を準用する場合は、第88条第1項第2号から第5号までに掲げる書類をいう。)のいずれか若しくは全てが提出されない場合又は申立書に申立ての理由が記載されていない場合であっても、受理することができる。この場合においては、申立人は、申立ての受理の後、速やかに不足する書類又は主張を追完しなければならない。

2 災害ADR申立てについては、第40条の規定にかかわらず、第106条第1項に規定する申立手数料の納付がない場合であっても、受理することができる。


(あっせん・仲裁人の選任に関する特則)

第136条 災害ADR申立てについては、第43条第1項(第91条において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、あっせん・仲裁人候補者以外の者(第26条第1項に規定するあっせん・仲裁人候補者の要件を満たす者又はこれに準ずると認める者に限る。)をあっせん・仲裁人として選任することができる。


(申立手数料に関する特則)

第137条 災害ADR申立てについては、第106条第1項の規定にかかわらず、申立手数料を納付することを要しない。

2 災害ADR申立てについて申立手数料が納付された場合、紛争解決センターは、第106条第4項の規定にかかわらず、納付された申立手数料の全額を返還する。ただし、申立人が返還を希望しない旨の意思を表示している場合は、この限りでない。


(成立手数料に関する特則)

第138条 災害ADR申立てに係る事件について和解契約が成立した場合又は仲裁判断がされた場合の成立手数料は、第107条第1項の規定により算定された成立手数料の2分の1とする。


第13章 オンラインシステムを利用したあっせん手続の特則


(期日の開催方法に関する特則)

第139条 あっせん人は、当事者双方が希望した場合であって、当事者双方が遠隔地に居住しているときその他相当と認めるときは、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話を行う方法(以下「オンラインシステム」という。)を利用したあっせん期日(以下「オンライン期日」という。)を開催することができる。

2 オンライン期日に出席する当事者及びあっせん人であって、オンラインシステムを利用する者(以下「オンライン出席者」という。)は、第三者が視聴できない環境でオンラインシステムを利用しなければならない。ただし、あっせん人が視聴を許諾した第三者(許諾することについて当事者全員に異議がない者に限る。)については、この限りでない。


(オンラインシステムの安全管理)

第140条 オンライン出席者は、オンラインシステムの利用のために用いるオペレーティング・システムその他のソフトウェアを常に最新版に更新した状態で使用するものとする。

2 オンライン出席者は、オンラインシステムの利用に際し、セキュリティソフトを導入する等、送受信される情報の漏えいの防止その他の当該情報の安全管理のために必要な措置を講じた通信端末機器を使用しなければならない。


(録音等の禁止に関する特則)

第141条 当事者は、第67条第1項に規定するほか、オンライン期日の内容を放送し、又は公衆送信してはならない。

2 あっせん人は、最初のオンライン期日の冒頭において、当事者双方に対し前項の内容を説明しなければならない。


(期日調書に関する特則)

第142条 オンライン期日の期日調書には、第70条第2項に規定する事項のほか、オンラインシステムを利用した場所、オンライン出席者の氏名及び利用したオンラインシステムの名称を記載する。


(一方当事者がオンライン出席者の場合の和解に関する特則)

第143条 第73条第1項の規定にかかわらず、一方当事者がオンライン出席者の場合の和解契約は、あっせん人が相当と認める場合には、あらかじめオンライン出席者として出席予定の当事者に和解契約書の送付をした上で、オンライン出席者が記名押印又は署名をした和解契約書をスキャナ(これに準ずる画像読取装置を含む。第145条第1項において同じ。)により読み取って作成された電磁的記録を紛争解決センターに電子メールで送信し、当該電磁的記録を印刷したものに他方当事者が記名押印又は署名をする方法で成立させることができる。

2 前項の和解契約書には、第73条第2項各号に掲げる事項を記載するほか、オンライン出席者以外の当事者が和解契約書に記名押印又は署名をしたときに和解契約が成立する旨を付記しなければならない。

3 第1項の規定により和解契約を成立させる場合において、あっせん人は、当該あっせん期日以前に、オンライン出席者として出席予定の当事者の記名押印又は署名がその意思に基づくものであることを確認しなければならない。

4 第1項の規定により和解契約を成立させる場合において、あっせん人は、和解契約成立の証人として和解契約書に署名押印をする。


(双方当事者がオンライン出席者の場合の和解に関する特則)

第144条 第73条第1項の規定にかかわらず、当事者双方がオンライン出席者の場合の和解契約は、あっせん人が相当と認める場合には、あらかじめ当事者双方に和解案の送付をした上で、当事者双方が受諾書に記名押印又は署名をして紛争解決センターに提出する方法により、成立させることができる。

2 第75条第2項の規定は、前項の受諾書について準用する。

3 第1項の規定により和解契約を成立させる場合において、あっせん人は、各受諾書の記名押印又は署名が各当事者の意思に基づくものであることを確認した上で、第75条第3項各号に掲げる事項を記載した和解書を作成し、当事者双方が提出した受諾書をこれにつづる。

4 第75条第4項の規定は、前項の和解書について準用する。


(書類の提出方法等に関する特則)

第145条 オンライン期日において和解契約を成立させる場合において、あっせん人が相当と認めるときは、当事者は、記名押印又は署名をした受諾書をスキャナにより読み取ってできた電磁的記録を紛争解決センターに電子メールで送信する方法により、第75条第1項又は前条第1項に規定する紛争解決センターへの受諾書の提出を行うことができる。

2 前条第1項に規定する和解案の送付は、電子メールで送信する方法により行うことができる。


第14章 雑則


(苦情処理手続)

第146条 あっせん・仲裁手続に対する苦情は、口頭又は書面により、紛争解決センターに申し出ることができる。

2 紛争解決センターは、前項の申出を受けた場合、申出の内容を記録するとともに、苦情申出に係る事件につき、調査を行うことができる。

3 調査の結果、必要があるときは、紛争解決センターは適宜の措置をとることができる。

4 紛争解決センターは、必要がある場合には、苦情を申し立てた者に対し、確認した事実及び苦情処理の結果を口頭又は書面で通知する。


(履行の勧告)

第147条 紛争解決センターは、当事者からの申出があるときは、和解契約又は仲裁判断の履行状況を調査し、他方当事者に対して、義務の履行を勧告することができる。


(正当な目的による情報開示)

第148条 第5条の規定にかかわらず、紛争解決センターは、紛争解決センターの事業に関する研究の資料に活用する目的その他の正当な目的があると認める場合には、当事者その他の者(以下この条において「当事者等」という。)の氏名又は名称、住所その他の当事者等を特定し、又は特定するおそれのある事項を抹消した上で、あっせん・仲裁事件の内容、結果その他の事項を開示することができる。


(免責)

第149条 あっせん・仲裁人、専門委員、通訳人及び本会の役員等は、故意又は重過失による場合を除き、あっせん・仲裁手続に関する作為又は不作為について何人に対しても責任を負わない。


紛争解決センター設置に関する規程

(目的)

第1条 本会は、簡易な手続により、紛争の迅速、公正な解決を行うことを目的として、愛知県弁護士会紛争解決センター(以下「紛争解決センター」という。)を設置する。


(事業)

第2条 紛争解決センターは、和解のあっせん、仲裁その他規則で定める事業を行う。


(運営)

第3条 紛争解決センターは、会長が統轄し、その運営は、特別委員会が行う。


(規則事項)

第4条 あっせん及び仲裁の手続、利用者の負担する手数料、あっせん人及び仲裁人に支払う報酬その他紛争解決センターの運営に関する事項は、規則で定める。