会報「SOPHIA」 平成21年2月号より

特集 就職最前線(後編)

弁護士にはなったけれど……

   会報編集委員会 

 1 1月号に引き続いて司法修習生の就職最前線を特集として取り上げる。
 最近の司法修習生の就職難は弁護士を目指しているロースクール生にも大きな不安を与えている。
 名古屋大学のロースクールでは、その有志によって「弁護士就職について考えるロー生の会実行委員会」が結成され、新61期の司法修習生を対象に就職活動についてのアンケートが実施された。
 そこで、会報編集委員会は、上記実行委員会の実行委員である小田直子さん(現在新62期司法修習生)にインタビューすると共に同委員会が行った就職活動についてのアンケートを本誌において紹介することとした。

2 次に、就職最前線として2月10日に当会会館で行われた就職説明会の模様を紹介する。
 昨年の就職説明会は、修習生114人、当会の採用ブースは16事務所(本会11、西三河3、東三河2)であったのに対し(当会の事務所への倍率は7.1倍)、今年の就職説明会は、修習生136人、当会の採用ブースは12事務所(本会10、西三河2)であった(当会の事務所への倍率は11.3倍)。
 このように採用ブースが減っているのは昨年・一昨年とかなりの数の事務所が勤務弁護士を採用した結果、採用予定の事務所の絶対数が減っていることが原因ではないかと考えられるところである。
 また、今年の就職説明会においては、一般企業2社(朝日インテック株式会社、株式会社アルペン)が採用ブースを出しており、このことは、今後一般企業による司法修習生の採用が増えていく可能性を示すものである。

3 以上のように司法修習生の就職状況は極めて厳しい。
 そして、司法修習生がそのような狭き門をくぐり抜けて勤務弁護士となっても、勤務弁護士の給料は従前と比べて低くなっているとの話をよく聞く。
 そこで、会報編集委員会は59期〜61期修習の会員を対象に就職1年目の給料に関するアンケートを実施した。
 大阪弁護士会の和田秀治副会長は「印象としては550万円位が一番多いのではないでしょうか。3年くらい前と比べて下がっているように思われます。修習生に聞いた話では200万円というところもあったとのことです。」と話されており(1月号28頁)、大阪弁護士会において勤務弁護士の年収が最近減少していることは事実のようである。
 当会においても新60期司法修習生が座談会において「名古屋では年間給与は500万円くらいになっています」と話しており(平成19年5月号21頁)、今回の新人弁護士(新61期)の覆面座談会の参加者の中にも、年間の給料が500万円台である新人弁護士が複数いた。
 そして、今回行ったアンケートにおいても600万円未満の層がアンケート回答者の約45%に上っていることからすれば(「新米親弁覆面座談会」に参加した6名のうち4名の会員の勤務弁護士の年収も600万円未満である(1月号42頁〜43頁))、当会においても勤務弁護士の年収が減少傾向にあることは否定できない。

4 最後に、厳しい就職最前線を経て弁護士となった新61期の新人弁護士を招いて覆面座談会を実施した。
 座談会においては、例えば、3点セットといって法科大学院の成績表と択一試験の成績表と論文試験の成績表をセットで提出することが大阪では当然だったとの従前とは異なった興味深い話を聞くことができた。
5 これらの特集記事が、現在就職活動をしている司法修習生のみならず弁護士を目指して勉学に励んでいるロースクール生や就職問題を真摯に考えている会員等に寄与するところがあれば幸いである。

 
 

 

1月号「就職最前線(前編)−司法修習生にはなったけれど…」

 1 統計から見た大都市と地方
 2 日弁連における取り組み
 3 大阪弁護士会の就職の現状
 4 島根県弁護士会の就職の現状
 5 愛知県弁護士会の就職の現状
 6 即独弁護士の現状(東京編)
 7 即独弁護士の現状(大阪編)
 8 採用する側から−親弁アンケート
 9 採用する側から−新米親弁の覆面座談会
 

本号「就職最前線(後編)−弁護士にはなったけれど…」
 
1 勤務弁護士の初年度年収等についてのアンケート
 2 司法修習生の就職についてのロースクール生によるアンケート
 3 狭き門に殺到ー司法修習生に対する就職説明会
 4 新61期勤務弁護士の覆面座談会

  
 





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