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消費者問題速報 VOL.223 (2024年9月)
1 ファクタリング業者には債権譲渡の対象となった債権に譲渡禁止特約が付されていることを知らなかったことについて重大な過失があるとして、売掛金債権の譲渡が無効とされた事案(東京高裁令和6年4月11日判決)
(1)事案の概要
破産会社がファクタリング会社(Yら)に対して譲渡した売掛金債権について、破産会社の破産管財人Xが、Yらに対して、同債権の譲渡が無効ないし違法であるとして、Yらが還付を受けた分(売掛金相当額が供託されていた。)については不法行為又は不当利得に基づく請求をし、還付未了の供託金については還付金請求権を有することの確認を求めた事案。
(2)判決の内容
原審は、Yらが譲渡禁止特約の存在を知らなかったことについて重大な 過失はないと判示したが、控訴審は、Yらがファクタリング会社としての知識や経験を有し、本件債権について譲渡禁止特約が付されている可能性が高いことを認識していたのであるから、Yらは破産会社の代表者に対して基本契約書の提示を求めた上で譲渡禁止特約の有無を確認すべきであったが、これをせずに漫然と債権譲渡を受けたのであり、譲渡禁止特約の存在を知らなかったことにつき重大な過失があると判示した。
【金融・商事判例No.1696/2024年8月1日号】
2 訪問販売で締結した請負契約について、契約書のクーリング・オフの要件・行使方法等の記載の文字が特定商取引法施行規則5条3項(当時)の定める日本工業規格(当時)Z8305に規定する8ポイント以上の活字で記載されていなかったことから、法定書面の交付がないとして、契約締結から5か月後のクーリング・オフ解除が認められた事案(東京地裁平成31年4月25日判決)
【国民生活2024年8月号27頁