愛知県弁護士会トップページ> 愛知県弁護士会とは > 消費者委員会 > 消費者問題速報
消費者問題速報 VOL.222 (2024年7月)
1 高齢の消費者による健康飲料(プラセンタ)の購入が過大であるとして、事業者によるその購入の勧誘を不法行為と認め損害賠償請求が認められた事案(さいたま地方裁判所熊谷支部令和5年2月14日判決)
(1)原告は、認知症により判断能力が低下していた高齢者。
(2)被告は、酵素風呂利用の提供及び健康飲料等販売を行う店舗を経営する事業者。
(3)酵素風呂の永久会員権の販売
ア 酵素風呂の利用状況
原告は、平成30年5月、被告の店舗を訪れ、酵素風呂利用のための回数券を購入し、令和元年7月までの間に、多いときは1日おき、平均すると週2回程度利用していた。
原告は、令和元年7月、被告から勧められて、酵素風呂の永久会員権(回数制限なく酵素風呂を利用できる権利)を購入し、324万円(原告と娘の2人分)を支払った。
その後、令和2年2月中旬までの間に、酵素風呂を70回程度、週2回のペースで利用した。
イ 裁判所の判断
原告分に当たる半額162万円について、1回の利用料金3500円の約429回分であり、原告の利用ペース(週2回)だと、約4年分の利用に相当するとし、永久会員権を購入した当時の原告の年齢を考慮しても、以後約4年分の利用料に相当する永久会員権を購入することは、過大とまではいえない旨判示し、被告の勧誘を不法行為とは認めなかった。
(4)健康飲料の販売
ア 健康飲料の購入状況
原告は、平成30年5月から令和元年11月までの間に、被告から身体によいと勧められて、健康飲料(プラセンタ)を合計744ビン購入し、代金として合計約911万円を支払った。購入した744ビンのうち、396ビンは受領して飲用費消済みであり、348ビンは未受領であった。
イ 裁判所の判断
原告未受領の348ビンについて、健康飲料の説明書きにある飲用の目安を摘示した上で、348ビンは174か月(14年6か月)分となり、一度に購入する量としては過大であるといわざるを得ない旨判示し、公序良俗違反を認め、被告による勧誘を不法行為に当たるとして未受領分の代金相当額(約421万円)を損害と認めた。
【国民生活2024年7月号25頁
URL:https://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-202407_11.pdf】
【消費者法ニュース136号211頁】
2 「宗教による消費者被害シンポジウム」のご案内
下記のとおり開催予定ですので、是非ご参加ください。
日 時:令和6年11月2日(土)午後1時30分~午後4時00分
(午後1時00分開場)
場 所:愛知県弁護士会館5階ホール
プログラム(予定):第1部 被害事例報告
報告者 被害者1名、弁護士(聴き手)
第2部 基調講演
報告者 柳本伸良牧師(日本基督教団)
第3部 基調講演
報告者 鈴木エイト氏(ジャーナリスト)
参加申込方法:参加無料、事前申込不要
※Zoom開催はありません。