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消費者問題速報 VOL.221 (2024年6月)
1 後出しマルチについて、連鎖販売取引に該当するとして、書面不交付を理由にクーリング・オフを認めた事案(松戸簡易裁判所令和4年3月18日判決)
役務提供契約とその直後に開催されたオリエンテーションにおいて締結された紹介料契約について、全体としてみれば連鎖販売取引に該当するとし、法定書面の不交付を理由にクーリング・オフの期間は経過していないとして、クーリング・オフを認めた。
【国民生活センターホームページ https://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-202403_12.pdf】
2 消費者ローンの約定残高165万4594円を事業者ローンで借り替え、10年経過後に債務者が死亡し、相続人が完済した後、過払金返還請求訴訟を提起したところ、被告である事業者から時効の主張をされた事案(大阪地方裁判所令和6年1月15日判決)
被告は、事業者ローンの当初実行額が消費者ローンの返済に充てられ、引き直し計算後の債務残高52万9820円との差額である112万4774円が「消費者ローンにおける」過払金となるが、これは時効により消滅し、事業者ローンは制限利率内の取引のため過払金は発生しないと主張したが、判決は、借り替えにより準消費貸借が成立するのは52万9820円のみであり、その後、約定残高165万4594円を前提とする返済により過払金が発生したとして、被告の主張を排斥した。また、民法改正後の返済分についても、過払金返還請求権が改正前に生じたものであることを根拠に、年5分の過払利息を適用した。
【消費者法ニュース No.139 2024.4】
3 特殊詐欺の被害者が、振込先口座の口座名義人の預金債権に対し、債権差押え及び転付命令を得て預金払戻請求をした事案(福井地方裁判所令和6年2月13日判決)
本件口座は取引制限措置がとられていたが、同制限措置は犯罪利用預金口座等の取引を制限・停止することで、当該口座等がさらに犯罪に利用されることや金銭が犯罪関係者に流出することを防止すること等を想定したものであり、転付命令を受け当該預金債権を取得した犯罪に関与していない転付債権者に対してまで同制限措置をとることは想定されておらず、銀行が同制限措置をもって転付債権者への払戻しを拒否することは予定されていないとした。
【消費者法ニュース No.139 2024.4】