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消費者問題速報 VOL.220 (2024年5月)

1 適格消費者団体である消費者被害防止ネットワーク東海が、宗教法人に対し、永代納骨に関する契約において納骨前に契約が解除された場合に既払金を返金しない旨を定める条項が消費者契約法9条1項1号に反して無効であるとして、差止請求訴訟を提起した事案(令和6年3月25日和解にて第二次訴訟が終結)。

 本件は、第二次訴訟まで提起されている。

 「キャンセルの際、ご返金はできません。」という条項の差止めが求められた第一次訴訟において、同法人は、①お布施・志納金である(=贈与である)、②申込みがあった時点から契約者の先祖の供養を開始しており、同法人の事務の主要部分は既に履行済みである、などと争ったが、結果的に、請求の認諾により第一次訴訟は終結した。

 第一次訴訟終了後、同法人は契約日からの経過日数に応じて返金率を定める返金規程を設けたが(第二次訴訟提起直前の返金規程は下記のとおり)、依然として、納骨前に契約が解除された場合には、平均的な損害の額を超えるという問題が残っていることから、同団体は第二次訴訟を提起した。

 記

 契約日からの経過日数 返金額

 当日 納付額の9割に相当する額

 8日以内 納付額の7割に相当する額

 半年以内 納付額の5割に相当する額

 1年以内 納付額の1割に相当する額

 第二次訴訟では、平均的な損害としてどのような費目を返金額から控除するのであれば認められるかが争点となった。

 基本的には、納骨前の解除の場合には全額返金するという前提に立ちつつ、管理費用と実費のみ控除して返金する旨に返金規程を改訂するという和解が成立した。

 【消費者被害防止ネットワーク東海ホームページhttps://cnt.or.jp/topics/post-7180.html