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消費者問題速報 VOL.219 (2024年4月)

1 特定適格消費者団体が、暗号資産で儲ける方法を解説する商品を販売した業者に対して、損害賠償義務を負うべきことの確認を求めて共通義務確認の訴えを提起したことについて、これを却下した原審を最高裁が破棄して差し戻した事案(最高裁判所令和6年3月12日判決)

(1) 商品の購入者には、虚偽又は誇大な効果を強調した説明による誤信によって商品を購入したという主要な経緯が共通しており、購入者ごとの暗号資産への投資の知識や経験の有無及び程度を考慮する必要性が高いとはいえず、購入者ごとに過失相殺や因果関係について相当程度の審理を要するとはいえない。

(2) 上記の事情から、購入者ごとの過失相殺及び因果関係に関する審理判断を理由として、消費者裁判手続特例法3条4項にいう「簡易確定手続において対象債権の存否及び内容を適切かつ迅速に判断することが困難であると認めるとき」に該当するとした原審の判断には、同項の解釈適用を誤った違法があるとして、原判決を破棄し、第一審判決を取り消して、第一審に差し戻した。

 【裁判所HP https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92808

2 商業登記規則等の一部を改正する省令(令和6年法務省令第28号)により、代表取締役等住所非表示措置(一定の要件の下、株式会社の代表取締役、代表執行役又は代表清算人の住所の一部を登記事項証明書や登記事項要約書、登記情報提供サービスに表示しないこととする措置)が創設され、令和6年10月1日から施行されます。

 代表取締役等住所非表示措置が講じられた株式会社が本店所在場所に実在しないことが認められた場合などには、登記官が職権で当該措置を終了させるとのことです。

 しかし、改正省令は、代表取締役等住所非表示措置をとることで消費者の十分な被害回復を妨げる可能性があるため、改善を図る必要があります。

 【法務省ウェブサイト https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00210.html