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消費者問題速報 VOL.217 (2024年2月)

1.強制不妊事件判決において仙台高裁が旧民法724条後段を時効と判断(仙台高裁令和5年10月25日)

(1)改正前民法724条後段の規定について、最高裁判所の判例とは異なり、法の基本原則である正義・公平の観点から考えて、また、不法行為による損害賠償請求権の期間の制限について、同条前段を受けて「不法行為の時から20年を経過したときも『同様とする。』」と規定したことからも、消滅時効を定めた規定であると解する。

(2)本件で、国が改正前民法724条後段の規定により損害賠償請求権が消滅したと主張することは、権利の濫用として許されないから、優生手術のときから20年権利を行使しなかったからといって時効によって消滅することはない。

 【最高裁HP https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=92540

2.投資用マンション売買に関する紛争で、専属的合意管轄条項にかかわらず消費者の住所地での裁判が認められた(名古屋高裁令和5年9月20日決定)

(1)被告プレサンスコーポレーションの勧誘により投資用マンション6件を購入した原告(消費者)が、消費者契約法に基づく取消等を主張して、原告の住所地である名古屋地方裁判所に訴訟提起したところ、売買契約書の大阪地方裁判所を専属的合意管轄とする旨の条項に基づいて、被告から大阪地裁への移送申立てがなされた。

(2)原審は、ウェブ会議等を利用すれば訴訟に著しい遅滞は生じないなどとして、大阪地裁への移送を認めた。

(3)これに対し、抗告審は、専属的合意管轄条項は有効としつつ、①当事者間に圧倒的な経済的格差があること、②被告従業員が証人尋問に出頭するのは業務の一環であり会社が交通費等を喜んで負担すると述べていること、③被告は名古屋支店を有し、5件の勧誘行為が愛知県内で行われていることなどを挙げ、当事者間の衡平を図るため名古屋地裁で審理することが必要だとし、現決定を取り消し、移送申立てを却下した。

3.ホストクラブなどにおける不当な勧誘と消費者契約法の適用について

 一部の悪質なホストクラブなどにおいて、従業員であるホストに対する若年女性客の好意の感情を不当に利用した消費者トラブルが報告されているところ、消費者庁が、「ホストクラブなどにおける飲食などの契約も本法上の消費者契約に当たり得るため、本法で定める要件に該当する不当な勧誘により締結した契約について、消費者が契約の相手方である事業者に対して取消しの意思表示をすることで、その契約を取り消すことができる可能性があります。」等と周知文書を公表しました(令和5年11月30日付「ホストクラブなどにおける不当な勧誘と消費者契約法の適用について(周知)」)。

 【消費者庁ホームページ 

4.国際ロマンス詐欺等の二次被害について

 SNSやマッチングアプリをきっかけとした国際ロマンス詐欺等の消費者被害相談において、被害に遭った方が、回収可能性が低い事案であるにもかかわらず、法律事務所や探偵事務所から回収可能性やリスクについて十分な説明のないまま契約をし、二次被害に遭ってしまうというケースが発生しています。

 【当会HP「国際ロマンス詐欺等の案件を取り扱う弁護士業務広告にご注意ください」

 https://www.aiben.jp/news/2023/08/post-107.html

 【東京弁護士会HP「国際ロマンス詐欺案件を取り扱う弁護士業務広告の注意点1」

 https://www.toben.or.jp/know/iinkai/hibenteikei/news/post_7.html

 【東京弁護士会HP「国際ロマンス詐欺案件を取り扱う弁護士業務広告の注意点2」

 https://www.toben.or.jp/know/iinkai/hibenteikei/news/post_8.html