愛知県弁護士会トップページ> 愛知県弁護士会とは > 消費者委員会 > 消費者問題速報

消費者問題速報 VOL.183 (2020年2月)

1 株式会社DeNAの運営する「モバゲー」の利用規約の一部について,使用差止めを認めた判決(さいたま地裁令和2年2月5日判決)

 本件は,適格消費者団体であるXが,株式会社DeNA(Y)の運営するポータルサイト「モバゲー」に関する契約条項(7条3項:当社の措置によりモバゲー会員に損害が生じても,当社は,一切損害を賠償しません。)について,使用差止めを求めた事案である。

 本判決は,まず差止請求制度上の不当条項該当性について,次のとおり判断した。

 「差止請求の対象とされた条項の文言から読み取ることができる意味内容が,著しく明確性を欠き,契約の履行などの場面においては複数の解釈の可能性が認められる場合において,事業者が当該条項につき自己に有利な解釈に依拠して運用していることがうかがわれるなど,当該条項が免責条項などの不当条項として機能することになると認められるときは,法12条3項の適用上,当該条項は不当条項に該当する」。

 その上で,「本件規約7条1項は,…モバゲー会員が同項各号に該当した場合,Yが利用停止措置又は会員資格取消措置(本件契約の解除)をとることにより,Yのモバゲー会員に対するサービスを提供する債務の発生を阻止し又は消滅させることができることを規定したものといえる。…(本件規約7条1項)c号の『他のモバゲー会員に不当に迷惑をかけた』という要件は,その文言自体が,客観的な意味内容を抽出し難いものであり,その該当性を肯定する根拠となり得る事情や,それに当たるとされる例が本件規約中に置かれていないことと相俟って,それに続く(本件規約7条1項e号記載の)『と当社が判断した場合』という要件の『判断』の意味内容は,著しく明確性を欠くと言わざるを得ない。すなわち,上記要件の文言からすると,Yは上記の『判断』を行うに当たって極めて広い裁量を有し,客観性を十分に伴う判断でなくても許されると解釈する余地があるのであって,上記の『判断』が『合理的な根拠に基づく合理的な判断』といった通常の裁量の範囲内で行われると一義的に解釈することは困難であると言わざるを得ない。」等と判示して,対象条項につき,「著しく明確性を欠き,契約の履行などの場面においては複数の解釈の可能性が認められると言わざるを得ない。」とした。

 さらに,上記7条3項につき,「…その文言から読み取ることができる意味内容が,著しく明確性を欠き,契約の履行などの場面においては複数の解釈の可能性が認められるところ,Yは,当該条項につき自己に有利な解釈に依拠して運用していることがうかがわれ,それにより,同条3項が,免責条項として機能することになると認められる。… したがって,法12条3項の適用上,本件規約7条3項は,『事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除』する条項に当たり,また,『消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除』する条項に当たるから,法8条1項1号及び3号の各前段に該当するというべきである。」と判断して,使用差止請求を認めた。

 【埼玉消費者被害をなくす会(適格消費者団体)HP掲載

2 サクラサイト等被害撲滅全国一斉110番のお知らせ

 割賦販売法の改正により,クレジットカード番号等取扱契約締結事業者に関する規定 が設けられ,途上とはいえ,登録業者の公表も行われております。

 しかしながら,サクライサイト被害はもちろん,占い(まがい)被害,情報商材・副業詐欺被害などなど,決済代行業者が介在する詐欺被害は依然として減っておりません。

 とりわけ最近では,クレジット決済については,サイトの所在地が海外,決済代行会社も海外というような事案も増加しており,また,銀行振込においても「収納代行」「決済代行」を標榜する第三者会社が登場する場面が増えてくるなど,加害会社側も法改正に合わせるように対応を変えてきているような節もあります。

 このような状況の中で,一人でも多くの被害救済を図るため,下記の要領で「サクラサイト等被害撲滅全国一斉110番」が実施されることとなりました。

 記

 対  象  サクラサイト等に関する金銭的被害及び二次被害

 相談日時  令和2年3月18日(水) 午前10時~午後4時

 電話番号  052-223-2355(電話相談のみ)