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消費者問題速報 VOL.174 (2019年2月)

1 借主代理人弁護士が、過払金の送金先を代理人口座もしくは事務所とするよう連絡していたにもかかわらず、クレディアが過払金を普通為替証書により借主本人に送付した事案につき、債務整理業務を妨害するものとして違法性を有し、損害賠償義務を負うとした判決(金沢地裁平成30年11月8日判決)

 本判決は、被控訴人(弁護士)が、訴外Aの代理人弁護士として、クレディア(控訴人)に対する過払金返還請求訴訟で、一部勝訴判決を得て、同判決に係る過払金について被控訴人の預り金口座に振り込むよう求めたにもかかわらず、クレディアが2度にわたってAに直接普通為替証書を送付した(以下「本件各送金」という。)ため、無用の業務負担や精神的苦痛を受けたことによる慰謝料、内容証明郵便の郵送料等、弁護士費用の損害を被ったとして、クレディアに対し不法行為による損害賠償を求めた事案である。

 本判決は、貸金業者は、債務整理を受任した弁護士が債務者から依頼を受けて預り金口座を過払金の返還先として指定した場合には、依頼者との委任関係が疑われる等の特段の事情のない限り、信義則上、これに応ずべき義務を負うところ、同義務に違反して指定された口座への入金を拒絶したときは、その行為は、上記の債務整理業務を妨害するものとして違法性を有し、不法行為を構成するとした上で、本件においては、上記特段の事情は認められず、クレディアの本件各送金は被控訴人との関係で違法性を有し、クレディアはこれにより被控訴人が被った損害について不法行為による損害賠償義務を負うとした。

 なお、認められた損害の内容は慰謝料以外の内容証明郵便の郵送料等及び弁護士費用で、慰謝料については、内容証明郵便の郵送料等が賠償されれば損害も回復されるとして認められなかった。

 【名古屋消費者信用問題研究会HP

2 架空請求メールに記載された電話番号に電話し、私設私書箱に現金を送付した事案において、私設私書箱業者及び、IP電話提供業者、携帯電話貸与業者に責任追及したところ、それぞれの業者に対して責任を認めた判決(仙台地裁古川支部平成30年12月12日判決)

 犯罪収益移転防止法は、私設私書箱業者を含む特定業者に対し、役務の提供を行うことを内容とする契約の締結に当たっては、主務省令で定める方法により、本人特定事項等を確認することを義務づけており、本件私設私書箱業者は本人特定事項を適切な方法により確認していなかったとして責任を認めた。

 IP電話機は、犯罪収益移転防止法及び携帯電話不正利用防止法の適用はないものと解され、本人確認が法的に要求されていなかったが、IP電話提供業者の実態は電話転送業又は電話番号を貸与する業者と異なることはなく、本人特定事項を確認するなど本人確認を慎重に行う義務を負っており、本件IP電話提供業者は適切に本人確認をしなかったとして責任を認めた。

 携帯電話貸与業者は、携帯電話不正利用防止法に基づき、携帯電話のSIMカードを貸与するに当たり、運転免許証その他総務省令で定める方法により、当該貸与契約を締結する相手が自然人である場合には、その氏名、住居及び生年月日を確認する義務を負っており、本件携帯電話貸与業者は、適切に本人確認をしていなかったとして責任を認めた。

 

3 注意喚起―イチゴ栽培で違法勧誘容疑

 イチゴの売上額を過大に偽って栽培棚のオーナーになるよう顧客を勧誘したとして、栽培棚レンタルオーナービジネスを展開する「軽井沢四季彩ファーム」の代表社員らが特定商取法違反(不実告知)で逮捕されました。

 代表社員および会社は2月13日付で罰金50万円の処分となっています。

 愛知県内でも被害事例が報告されています。ご注意ください!