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消費者問題速報 VOL.170 (2018年9月)

1 株式会社ケフィア事業振興会外グループ会社16社について,破産手続開始決定が出ました。

 東京地裁は,平成30年9月3日,かぶちゃん農園の農作物のオーナー商法等で多くの消費者から資金を集めていた株式会社ケフィア事業振興会外3社について破産手続開始決定を出し,その後も順次グループ会社の一部に対して,同決定を出しました。破産管財人には,内田実弁護士(第一東京)が選任されています。

 また,ケフィア事業振興会やその関連会社等により被害を受けた方の救済のための弁護団が,東京,愛知,宮崎で結成されています(愛知で結成された弁護団名称:「ケフィア事業振興会被害弁護団(東海)」)。

 被害者の方の相談窓口については,以下の名古屋投資被害弁護士研究会HP内を参照してください。

 【名古屋投資被害弁護士研究会】http://www.nssmk.jp/news/819

 なお,消費者庁のHPでもケフィア事業振興会について,注意喚起がなされています。http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/pdf/consumer_policy_information_180831_0001.pdf

2 ギガ放題という名称の料金プランの無線データ通信サービス契約について,重要事項である通信制限の具体的内容に事実と異なる告知があったとして,消費者契約法4条1項による取消が認められた事例(東京高裁平成30年4月18日判決)

 本件は,無線データ通信サービス(インターネット接続等)を提供するY1及び同サービスに用いる通信設備等を設置するY2の各事業者に対し,Y1と契約したXが,Yらの広告及び契約時の説明と異なり簡単に通信制限を受け,通信制限期間はサービスが使い物にならなかったとして,消費者契約法4条1項等に基づき,契約の取消しと,支払済みの契約金の返還及び慰謝料の支払いを求めた事案である。

 本判決は,次のとおり,Yらの広告・説明を認定し,消費者契約法4条1項の取消しを認めた。

 Yらの提供する無料通話サービスでは,直近3日間のデータ通信量が3GBを超える場合には,その翌日に通信速度制限が課されるものとされていたが(3日3GB制限),広告等に「ギガ速」「ヤバイ速が,止まらない」「WiMAX史上最速220bps下り最大」「月間データ量制限なし!」などと記載される一方で,3日3GB制限の存在は,記載があるものの,極力目立たないようにされ,同制限の発動がなされる可能性のある場合や,制限がなされた状況等の具体的内容は記載されていなかった。

 また,契約時の説明においても,3日3GB制限については,説明箇所を棒読みし,質問がなければそれ以上の説明をせず,制限の発動がなされる可能性のある具体例は説明せず,制限が発動されている場合の具体的内容については,YouTubeを標準画像で視聴できるとの説明以外は行わないこととなっていた。

 東京高裁は,どのような態様でどの程度使用すると3日3GB制限にかかるのか,同制限にかかった場合にどの程度通信速度が低下するのか,同制限にかからないようにサービスを利用すると通信量を自主規制せざるを得ない場合があることは,消費者契約法4条1項の重要事項であるが,Y1は,Xに対し,3日3GB制限の引き金を引くことは極めて稀であるかのように説明し,月額通信量には事実上の制約も無いかの表現を用いていることから,Y1の説明が,消費者契約法4条1項1号の不実の告知にあたるとして,契約の取消しを認めた上,契約金等の返還及び説明義務違反による損害賠償請求をも認めた。

 【金融・商事判例1546号】

3 情報商材110番を実施しました。

 9月11日から9月18日にかけて,全国23の地域で「情報商材関連詐欺被害撲滅全国一斉110番」が実施されました。愛知では,9月13日に,愛知県弁護士会とサクラサイト被害弁護団(愛知)の共催で電話相談を実施し,21件の相談が寄せられました。

 今後も,サクラサイト被害弁護団(愛知)では,情報商材に関する相談を受け付けています。

 相談受付窓口:サクラサイト被害弁護団事務局 鵜飼雅成会員(052-529-6155)