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消費者問題速報 VOL.166 (2018年4月)

1 ジャパンライフ株式会社代表取締役らに対する訴訟提起がなされました!

 平成30年4月26日,ジャパンライフ被害対策中部弁護団によって,ジャパンライフ株式会社代表取締役,取締役,監査役,顧問,主な従業員,関連会社及びその取締役,代理店及びその役員,勧誘者ら合計51名に対し,訴訟提起がなされました(なお,ジャパンライフ株式会社については,破産手続開始決定がなされているため被告にはなっていません)。

 ジャパンライフ株式会社のレンタルオーナー商法は同社と役員その他の組織,関係者個人の組織的詐欺行為であるとして,それにより被った損害の賠償を求める訴訟です。

 ジャパンライフ株式会社の被害者の方の相談窓口については,以下の中部弁護団のHPを参照してください。

 → https://japanlifehigai-chubu.amebaownd.com/

2 「カジノ作って本当に大丈夫?」 シンポジウムを開催します!

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の運営規則を定めた「カジノ実施法案」により,いよいよカジノが設置されようとしていますが,愛知県でも空港島へのカジノを含むIR誘致のために動き始めています。一方で,日本で生涯を通じてギャンブル依存症が疑われる状態があったことがある人は320万人と推計され,その対策は不十分な状況であり,世論もおよそ7割がカジノ設置に反対しています。

 そこで,愛知県弁護士会・中部弁護士会連合会は,カジノ実施法案の問題点とギャンブル依存症対策をみなさんと一緒に考える場として,以下のとおりシンポジウムを企画しました。申込不要!参加無料です!

 記

 日時:平成30年5月12日 午後1時30分~午後4時30分

 場所:愛知県弁護士会館5階ホール(定員140名)

3 「くりっく株365」(株価指数証拠金取引)について,過当取引や指導助言義務違反があったとして,金融商品取引業者・仲介業者の不法行為責任を認めた判決(大阪高裁平成30年3月28日判決)

 本件は,控訴人(取引当時66歳)が,金融商品仲介業者であるカネツ商事(被控訴人1)の媒介の下,金融商品取引業者であるカネツ証券(被控訴人2)に委託して,「くりっく365」(FX取引),「くりっく株365」(株価指数証拠金取引。CFD取引)の取引を行ったが,当該各取引およびその勧誘において,適合性原則違反,説明義務違反,過当取引禁止違反等があったとして損害賠償を求めた事案である。なお,原審(神戸地裁平成29年9月7日判決)では控訴人の全面敗訴であったが,本判決で逆転勝訴となった。

 本判決は,適合性原則違反,説明義務違反については認めなかったものの,過当取引について,「金融商品仲介業者が当該取引について支配を及ぼし,顧客の信用を濫用して自己の利益を図り,当該口座の性格に照らして金額,回数において過当な取引を行う場合は過当取引に該当するものとして,違法といえる」とした上で,「本件CFD取引(くりっく株365)は,取引回数,取引金額が多く突出した手数料が発生していることや両建ての状況等として過当な取引であり不合理なものであった」,「控訴人の注文時の経過,取引の内容(過大な取引であり,新規建玉追加,両建て状態等により多額の手数料が毎回発生していたこと等),手数料額に関しては控訴人の意識が及んでいなかったとみられることからすれば,控訴人が注文した取引内容は,控訴人の損切りはしたくない等の目先の要望を聞き容れた形にしながらも,担当者の主導のもとに定められたと推認することができ,少なくとも,控訴人が担当者の提案や助言によることなく自らの意思と判断のみによって,注文,決算を行ったことはほぼなかったといえる」等と判示して,過当取引の違法を認めた。

 また,「金融商品仲介業者は,顧客から委託を受けて顧客に対し誠実公正義務を負うから,リスクが大きく,手数料額もかさむ短期頻繁売買を安易に提案するのではなく,リスク及び手数料額について,顧客に十分説明し,不合理な取引を改善,是正させるために指導,助言すべき助言指導義務を負う」とした上で,「控訴人の投資経験等からすれば,控訴人が相場の状況を見ながら両建て中の建玉について買い建玉,売り建玉のどちらをどれだけ,どのタイミングで決済していくかといったことを自ら検討し,判断できるほどの相場観や技量を有していたとは認められない」等と判示して,助言指導義務違反を認めた。なお,過失相殺3割。