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消費者問題速報 VOL.156 (2017年4月)

1 証券会社で行った信用取引が過当取引にあたるとして、証券会社及び担当者の損害賠償責任を認めた判決(静岡地方裁判所浜松支部平成29年4月24日判決)

 本件は、野村證券で信用取引を行った歯科医師(取引開始時36歳、歯科医院経営)が、野村證券及びその担当者に対し、取引実損及び弁護士費用相当額の賠償を求めた事案である。

 本判決は、担当者が、原告において信用取引に関する知識や理解及び具体的な取引状況の把握が不十分であることを認識しながら、原告の理解力や判断力を超える取引を繰り返し行わせたことは明らかであるとした上、本件取引は、最終の決済取引を除き、すべて、担当者の提案によって行われたものであり、原告が自らの意思と判断により積極的に注文や決済を行ったことはなく、担当者の提案の合理性やリスクについて、原告が理解し検討した上で、取引について承諾を与えていたということもできず、本件取引は、担当者が原告に無断で行ったものでないにせよ、全体を通じて、担当者が主導したものというべきであるとした。

 そして、本件取引全体で、取引銘柄は約50種類、取引回数は約30ヶ月間で247回と多く、保有期間5日以内の取引が全体の30%、保有期間10日以内の取引が全体の約50%を占め、年次回転率は11.85回と高く、約2億円の金融資産の9割以上が信用取引に充てられ、原告が野村證券に支払った手数料額は3471万円余りで差引損の31.2%に及ぶことなどを指摘して、本件取引は、原告にとって社会的相当性を著しく逸脱した過当な取引にあたり、全体として違法であるとして、担当者2名について民法709条、719条に基づく共同不法行為責任、野村證券について民法715条に基づく使用者責任を認めた(過失相殺6割)。なお、現在、控訴審にて係属中。

 

2 欠陥住宅全国ネット東京大会のご案内

 欠陥住宅被害全国連絡協議会(欠陥住宅全国ネット)の第42回東京大会が、下記のとおり開催されます。参加を希望される方は、当会の水谷大太郎会員までお問い合わせ下さい。

 日時:平成29年5月27日(土)~28日(日)

 場所:台東区民会館(東京都台東区花川戸2丁目6番5号 8・9階)

 内容:地盤の液状化をめぐる現状と問題点、中古住宅にかかわる最近の状況と問題点、判例和解事例報告