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消費者問題速報 VOL.149 (2016年9月)

1 ファンドまがい商法について、関係会社及びその構成員らに対する損害賠償請求を認容した判決(東京地裁平成28年7月8日判決)

 被告らが扱うファンド等につき、出資契約や売買契約を締結した原告が、当該ファンド等は顧客に投資の損益を適切に帰属させる実質を欠くものであり、これを販売・勧誘することが違法である等と主張して、被告らに対し、不法行為に基づく損害賠償を求めた事件である。

 本判決は、①原告が被告らに支払った金員が出資契約や売買契約に基づいて運用されたと認めるに足りる証拠は見当たらず、②本件訴訟の審理において、被告らは、本件ファンド等について、事業の具体的内容、出資金の運用状況及び損益状況等を明らかにするよう求められたが、裏付け資料と共にこれを具体的に明らかにしておらず、本件ファンド等は、投資を行う者に適正に損益を帰属させることを目的として組成されたものとは認め難い等として、被告らが原告との間で出資契約や売買契約を締結し、金員を出資させたことは違法であると判示し、原告の請求を認容した。

2 カードローン取引について、一連計算を認めた控訴審判決(東京高裁平成28年5月24日判決)

 カードローン取引で、第1取引と第2取引の間に約1年間、第2取引と第3取引との間に約1年7カ月間の空白期間がある事案について、①第2取引開始時及び第3取引開始時に新たな基本契約書が作成されていないこと、②第1取引の基本契約の内容が、利用限度額及び貸付利率のみが変更されて第2取引にも引き継がれ、さらに利用限度額、貸付利率及び遅延損害金の割合のみが変更されて第3取引にも引き継がれており、当初基本契約の本質的部分が変更されていないこと等から、第1取引から第3取引を通じて、当初基本契約に基づく1個の連続した貸付取引として、一連計算を認めた。

 【判決文は名古屋消費者信用問題研究会HPに掲載】

3 ホームページリース契約について、勧誘行為の違法性を認めた判決(東京地裁平成28年9月8日判決)

 原告は、サプライヤーである被告から、インターネット上の通信販売のホームページ(ネットショップ)の開設について勧誘を受けたが、その時点ではインターネットはおろかパソコンを使用したことがなく、ネットショップに関心がなかった上にその仕組みを全く理解していなかったため、その旨を伝えて勧誘を断っていた。それにもかかわらず、被告は、繰り返し原告の元を訪問し、ネットショップの開設・運営はもとよりパソコンの操作方法についても十分な指導を受けられるとして執拗に勧誘を行ったことから、原告は、ソフトウェア等に関するリース契約等を締結した。

 上記事案について、原告は、上記勧誘には説明義務違反、適合性原則違反等の違法性があったと主張し、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償を求める等した。

 本判決は、原告がネットショップ導入に最低限必要なパソコンの知識・能力を欠き、ネットショップ導入の意向・意欲もないため、被告の勧誘を何度も断っていたにもかかわらず、被告は原告の意向に反して執拗に勧誘行為を繰り返した末に、原告に本件リース契約等を締結させたものであり、原告の属性や意向に反した上記態様による勧誘行為には違法性が認められ、被告は違法な上記勧誘につき不法行為責任を負うと判示し、上記リース契約に係るリース料総額相当額について被告の損害賠償義務を認めた。