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消費者問題速報 VOL.131 (2015年1月)

1 健康食品販売会社の配付するチラシの表示が「優良誤認表示」にあたるとして,広告差し止め等を命じた判決(京都地方裁判所平成27年1月21日判決)

 本件は,京都の適格消費者団体である京都消費者契約ネットワークが,サン・クロレラ販売株式会社に対し,同社が配付するチラシの表示に,同社が販売する健康食品には医薬品的な効能効果があるとの表示がなされており,景表法10条1号に定める「優良誤認表示」にあたるとして,チラシにそのような表示をすることの差し止めを求めた事案である。

 本判決は,チラシの表示のうち,当該対象健康食品等を服用したことにより,「腰部脊柱管狭窄症」「肺気腫」等の症状が改善したとの体験談を記載した部分について,人の疾病を治療又は予防する効能効果があることを暗示するものであり,一般の消費者に対し,当該対象商品等が医薬品であるとの誤認を引き起こすおそれがあるから,医薬品的な効能効果があると表示するものである,などと判示した上で,「優良誤認表示」にあたるとして,表示の差し止めを認めた。                   

 【京都消費者契約ネットワークHP

2 ①新規借入7日間利息免除特約について,引直計算する場合でも同特約は適用される,②期限の利益喪失後,遅延期間のみは遅延損害金利率によるべきであるとの主張は信義則上許されない,とした判決(一宮簡易裁判所平成26年12月11日判決)

 シンキは,借入の翌日から7日間の利息が免除されるとの特約について,この特約は利息制限法による利率に引き直して過払金の計算を行う場合には,適用されないものとすべきであると主張したが,本判決は,引き直し計算する場合には同特約を適用しない旨の取り決めはない等として,シンキの主張を排斥した。

 また,シンキは,期限の利益喪失後は,少なくとも遅延期間のみは利息制限法の遅延損害金利率で計算すべきであると主張したが,本判決は,シンキも遅延の事実を承知の上,期限の利益を喪失していないことを前提として,返済を受けてきたものと認められると認定し,上記シンキの主張は信義則上許されないと判示した。

 【名古屋消費者信用問題研究会HP

3 FX取引の事案について,原審では一部の損害しか認められなかったが,控訴審において損失額全額について損害と認められた判決(名古屋高等裁判所平成26年12月18日判決)

 原審(名古屋地方裁判所平成26年4月11日判決)では,一部の取引についてしか説明義務違反が認められず,全損失額の約3割についてのみ認容判決がなされた。

 しかし,控訴審は,取引開始にあたっての説明義務違反および両建て取引についての説明義務違反を認めたうえで,取引勧誘者である従業員の行為について,取引開始から終了までの一連一体の不法行為となる旨判示し,損失額全額を損害として認めた。ただし,原告には投資に対する積極的な姿勢があったなどの理由で2割の過失相殺がなされた。

 ≪訴訟代理人:石川真司会員保管≫

4 不招請勧誘があったと認定し,損害賠償を認めた原判決を維持した高裁判決(広島高等裁判所平成27年1月21日判決)

 原審(広島地方裁判所平成26年6月4日判決)は,当該顧客が当初純金積立取引に興味を持ち,第一商品㈱を訪れたこと,及び第一商品㈱では純金積立を取り扱っておらず,その代わりに手持ち資金のほぼ全額を使って金地金を購入したことから,当該顧客がその当時商品先物取引をすることを考えていなかったことは明らかであると認定した上で,その金地金の購入から間もない時期に金先物取引を開始し,その証拠金に充てるために購入したばかりの金地金を売却することが当該顧客の先物取引勧誘の招請の結果とは考えにくく,むしろ第一商品㈱の担当者からの積極的な商品先物取引開始への勧誘行為があったと認定するのが相当であると判断し,商品先物取引法に反する不招請勧誘があったと認めた。

 本判決は,上記原判決を維持し,不招請勧誘禁止条項に違反した違法を認めたものである(過失相殺2割も原判決と同様)。

 【先物取引研究会ML】

5 全国一斉投資被害110番の開催について

 愛知県弁護士会及び名古屋先物証券問題研究会との共催にて,全国一斉投資被害110番を下記のとおり開催します。

対  象   商品先物取引等商品デリバティブ,証券取引,CFD取引,海外商品先物取引,海外商品先物オプション取引,外国為替証拠金取引,未公開株詐欺,社債詐欺,ファンド詐欺,プロ向けファンド,CO2排出権取引,金地金売買等の詐欺的金融商品被害

相談日時  平成27年2月16日,17日 午前10時~午後4時