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消費者問題速報 VOL.124 (2014年5月)

1.中途退学時の学費不返還条項の差し止めを命じた判決(大分地裁平成26年4月14日判決)

 適格消費者団体「大分県消費者問題ネットワーク」が大手予備校に対し、中途退学時の学費不返還条項の差し止めを求めた件で、大分地裁は、「解除後の期間に対応する授業料の全額を返還しないことを定めた本件不返還条項は、平均的な損害を超えるものとして消費者契約法9条1号に該当し、平均的な損害を超える部分が無効となる。」として当該条項の差し止め及び契約書雛形の破棄を命じた。

 【大分県消費者問題ネットワークHP

2.毎月分配型投資信託につき、銀行と投資信託会社の説明義務違反を認めた判決(東京地裁平成26年3月11日判決)

 毎月分配型投資信託の販売勧誘時、分配金に、元本の一部を払い戻す性格を有する特別分配金が含まれていること等の説明がなく、パンフレットにもその旨の記載がなかったとして、販売した銀行および投資信託組成者である投資信託会社の説明義務違反による共同不法行為を認めた(原告は79歳男性、過失相殺5割)。

 【金融・商事判例1442号50頁、金融財政事情2014.5.19、ウエストロージャパン】

3.回数指定払いとリボルビング払いの一連計算を認めた判決(東京高裁平成26年4月16日判決)

 同一クレジットカードで8ヶ月間の空白期間がある場合に一連計算を認めた上で、ひとつの基本契約に基づき回数指定払いとリボルビング払いが選択できる場合の回数指定払いとリボルビング払いの一連計算および回数指定払いの一連計算を認めた。

 【名古屋消費者信用問題研究会HP

4.期限の利益喪失後はすべて遅延損害金の制限利率で計算すべきとの主張は信義則に反し許されないとした判決(神戸地裁平成26年2月25日判決(控訴審)、神戸地裁龍野支部平成25年10月29日)

 期限の利益喪失後も一括弁済を求めることもなく弁済金を受領し続けたこと等から、期限の利益喪失後に発生した利息はすべて遅延損害金の制限利率で充当計算すべきであるとのアイフルの主張は信義則に違反し許されないとした。

 【名古屋消費者信用問題研究会HP

5.無担保貸付と不動産担保貸付の切替え事案について一連計算を認めた判決(福岡地裁平成26年4月21日判決、大阪地裁平成26年4月25日判決、宮崎地裁平成26年4月25日判決)

 事実上1個の連続した取引と評価することができるとして、一連計算を認めた。

 【名古屋消費者信用問題研究会HP

6.広島簡裁平成26年2月19日判決

 シンキの新規借入れ7日間無利息勧誘につき、引直計算でも、貸付け時から7日間利率ゼロ%とした。

 【名古屋消費者信用問題研究会HP

7.消費者関連法案情報

①不招請勧誘禁止、金融庁パブコメの締め切り迫る 

 商品デリバティブの不招請勧誘禁止問題に関し、商品先物取引法関連のパブコメに引き続き、金融庁から、金融商品取引業者に不招請勧誘禁止等の新たな行為規制を設ける「『金融商品取引法施行令の一部を改正する政令(案)』等(商品関連市場デリバティブ取引に係る行為規制関係)」についてパブリックコメントの募集が開始されました(平成26年6月30日締め切り)。

 経産省の改正案が、不招請勧誘禁止を事実上撤廃するような不当な内容であったのに対し、今回の金融庁案は、総合取引所における商品先物取引業者に対する適切な勧誘規制となっています。是非、意見を提出してください。

 【「金融庁 パブコメ」で検索

②消費者安全法改正案

 地域の見守りネットワークの構築等を内容とする消費者安全法の改正案が今国会で可決されました。高齢者の消費者被害の予防と救済の観点から重要な改正ですので、注目しておく必要があります。

③その他、今国会で金融商品取引法改正案が可決され、投資型クラウドファンディングが認められました。これはネット上で大衆から小口資金を募集するものですが、詐欺業者に悪用される危険もある制度ですので、今後の規則等改正の動向に注視する必要があります。