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消費者問題速報 VOL.122 (2014年3月)

1 遅延損害金の主張をした消費者金融が、その立証のための計算書の提出を遅滞したことを理由に遅延損害金の主張を信義則に反し許されないとした判決(仙台地裁平成25年9月30日判決(控訴審))

 仙台地方裁判所は、控訴審になって初めて遅延損害金の主張をしたアイフルの主張は、この主張について裁判所が計算書の提出を求めたにも関わらず、提出が大幅に遅滞し、提出された計算書も遅延利率が間違っていたなどの事情を考慮すると信義則に反し許されないと判断している。

 ただ、本判決では上記事情の他、借主が支払を遅滞した後も一括弁済を求めるような書面等を発行せず、本訴提起前にアイフルが開示した取引計算書でも期限の利益を喪失したことを前提とする内容となっていないことから、借主が期限の利益が喪失してないものと信頼して取引を継続してきたという事情も信義則違反とする事情として挙げられており、控訴審係属後の事情がない場合でも遅延損害金の主張が信義則に反すると判断されるかは不明である。

2 ビットコイン取引所マウントゴックスが民事再生法の適用を申請

 仮想通貨ビットコインの取引所であるマウントゴックス(Mt.Gox)が平成26年2月28日、東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請し、同日受理された。

 ビットコインは平成21年に登場したインターネット上で取引される仮想通貨であり、中央サーバーを持たないP2P技術により運用され、公開鍵暗号方式を採用することにより匿名性・取引の安全性を有することに加え決済にかかるコストが安いことから近年利用が拡大してきた。他方で、その匿名性からマネーロンダリングや、不法な取引に利用されやすいという問題点もあり、政府による規制も検討されている。

 今回のマウントゴックスの破綻は、ハッキングにより同取引所に保管されていたビットコインが盗まれてしまったことが一因とされているが、同時に同取引所の預り金も消失していることから、取引所内部の者による関与も指摘されている。

 いずれにしても、ビットコインは、資金的な裏付けがなく、政府の規制も保護の枠組みもない状態であるため、今回のような取引所の破綻の際にも救済がなされない可能性が高く、リスクを理解しないままに、安易に利用することは避けるべきである。

3 自動販売機販売会社の販売行為が業務提供誘引販売にあたるとし、さらに、この販売行為に関し、販売会社とその代表者に不法行為の成立を認めた判決(名古屋簡裁平成26年3月12日判決)

 名古屋簡易裁判所は,自動販売機販売会社が,ジュースを売って副収入を得ることができると自動販売機を販売した行為について,業務提供誘引販売にあたると判断しました。さらに,法的知識に乏しい消費者を相手に商取引において一般的に許容される限度を逸脱した販売促進活動を継続的に行っていたその一環として本件販売行為が行われていたとして,販売会社及び代表者に対し,不法行為責任を認めました。