愛知県弁護士会トップページ> 愛知県弁護士会とは > 消費者委員会 > 消費者問題速報

消費者問題速報 VOL.97 (2011年12月)

1 CFD取引のクーリングオフが認められた判決

 大阪地裁は、CFD取引(ロコ・ロンドン)につき、主位的請求であるクーリングオフによる不当利得返還請求を認め、実損額全額を認容する判決を言い渡しました。特商法の法定書面の不備(解除できる旨の記載など重要な記載がなかった)から、契約のされた平成19年8月(取引終了は平成19年12月)から約2年半後の平成22年3月のクーリングオフの意思表示(訴訟中の準備書面での意思表示)が認められました。

 (大阪地裁H23.11.24)

2 リボルビング方式の貸付けについて、貸金業者が17条書面として交付する書面に確定的な返済期間、返済金額等の記載に準ずる記載をしない場合は、17条書面には上記記載を要するとした最高裁判所の判決以前であっても、当該貸金業者につき民法704条の「悪意の受益者」との推定を覆す特段の事情があるとはいえないとされた判決

 最高裁判所は、17条書面に、返済期間、返済金額等の記載があることによって「借主は、個々の借入れの都度、今後、追加借入れをしないで、最低返済額を毎月の返済期日に返済していった場合、いつ元利金が完済になるかを把握することができ、完済までの期間の長さ等によって、自己の負担している債務の重さを認識し、漫然と借入れを繰り返すことを避けることができる」と述べ、返済期間、返済金額等の記載がなくてもみなし弁済が成立するという学説、下級審判決が多数を占めていなかったことは当裁判所に顕著と認定した上で、貸金業者が17条書面に確定的な返済期間、返済金額等の記載に準ずる記載をしない場合、最判H19.7.13の判示する特段の事情があるといえず、当該貸金業者は、悪意の受益者と推定されると判示しました。

 (最高裁判所第一小法廷H23.12.1判決。尚、原審は、東京高裁第20民事部H22.10.27判決。いずれも、名古屋消費者信用問題研究会HP

3 無担保貸付取引と不動産担保貸付取引について一連計算を認めた判決

 横浜地裁小田原支部は、異なる基本契約に基づく取引としつつも、不動産担保貸付取引は、現実に金銭を交付した範囲で金銭消費貸借契約が成立し、それを超える部分は無効とし、過払金充当合意があるので事実上一個の連続した貸付取引と認定して、一体で連続計算すべきとしました。

 (横浜地裁小田原支部H23.11.17判決。)。なお、不動産担保貸付への切替については、高知高等裁判所那須支部平成23年11月17日判決や、宮崎地方裁判所平成23年10月25日判決及び同月27日判決、大阪地方裁判所平成23年10月24日判決においても,無担保貸付取引と不動産担保貸付取引の一連計算を認めた判決が出されています。

 (いずれも、名古屋消費信用問題研究会HP

4 マンスリークリアに関する判決

 マンスリークリア(翌月一回払い)は、各貸付ごとに個別的な対応関係をもって弁済が行われ、借入金全体に対する弁済でないので過払金充当合意は存在せず、各月ごとに消滅時効が進行するというオリコの特殊な主張に対して、「リボルビング方式とするか一括返済とするかは返済方法の選択にすぎず、一連の取引と認められる」として、過払金はその後の新たな借入金債務に充当する合意があることを認めました。

 (さいたま地裁H23.11.21判決。名古屋消費者信用問題研究会HP

5 安愚楽牧場に破産開始決定

 平成23年12月9日、東京地方裁判所は、株式会社安愚楽牧場に対し、破産決定を出しました。破産管財人には、民事再生手続における監督委員、管財人、民事再生廃止後に保全管理人をつとめた渡邊顕弁護士(第一東京弁護士会)が、再度、就任しました。

 (全国安愚楽牧場被害対策弁護団HP http://agurahigai.a.la9.jp/