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消費者問題速報 VOL.77 (2010年1月)

1 制限超過利息の請求に不法行為の成立を認めた判決

 リボルビング方式の貸付における17条書面の記載についての最高裁平成17年12月15日判決以降の返済について、借主に対して制限超過利息を請求する事実的、法律的根拠を欠くものであることを知りえたとして、不法行為を認めた判決が3件出ています。平成21年12月22日神戸地裁洲本支部(同日に2件)及び平成21年12月25日洲本簡裁。

 

2 商品先物取引業者に説明義務違反を認めた最高裁判決

 売りの取組高と買いの取組高とが均衡するように自己玉の建玉を繰り返す取引手法を用いた先物商品取引業者に対する損害賠償請求において、最高裁平成21年12月18日は、原判決である東京高裁平成20年12月25日を破棄し、先物取引業者は、委託者に対して、信義則上、取引手法の内容及び、利益相反関係が生じる可能性があることを説明する義務があると判示して、損害賠償請求を認容しました。

 (最高裁HP

3 断定的判断の提供を理由に商品先物取引契約の取消しを認めた判決

 仙台高裁平成21年12月10日は、金の商品先物取引業者に対する損害賠償請求において、委託契約を消費者契約であるとして、金の値段が必ず上がると告げることが断定的判断の提供にあたり、これによって金の値段が上がることが確実であると誤認して締結した契約者による消費者契約法4条1項2号による取消(過失相殺なし)を認めました。

 

4 原野商法の二次的契約にクーリングオフを認めた判決

 名古屋地裁平成21年12月22日は、原野である山林の測量工事請負契約につき、法定書面不備を理由にクーリングオフを認めるとともに、同土地広告契約につき土地の売却可能性に関する事実が消費者契約法4条1項1号、4項1号の「用途その他の内容」についての重要事項にあたるとして、不実告知による取り消しを認め、業者側からの広告代金相当額の不当利得返還請求権を自働債権とする相殺を否定しました。

 

5 再生債権に関する判決

 平成21年12月11日名古屋高裁は、「再生債権が確定した時から3ヶ月以内に確定債権総額の40パーセントを弁済する」旨を定めた再生計画は、再生債権が期限の定めのある債権へ変更されたことを定めたものではなく、再生債権の一部を早期に一括弁済することを条件としてその余を免除するにあたり、再生債権を3ヶ月以内に支払うと定めたものに過ぎないと判示しました。

 

6 出展契約、掲載契約が公序良俗に反して無効であると判示した判決

 岐阜地裁大垣支部平成21年10月29日は、高齢者に対する美術作品の掲載・出展契約につき、特定商取引法が定める法定書面の交付がなかったとしてクーリングオフを認めるとともに、認知能力が低下した原告に執拗に勧誘がなされたため締結された契約であり、契約内容も原告の資産に比して著しく多額で社会的相当性に反する契約であるということを理由に、契約者の無思慮に乗じて不当な利得を得た公序良俗に違反する無効な契約であることを認めました。