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消費者問題速報 VOL.70 (2009年5月)

1 パチンコ攻略法の情報提供会社と役員の責任を認めた判決

 パチンコ攻略法の提供契約を消費者契約法4条1項2号及び1号に基づき取消・契約代金の返還等を求めた訴訟において、名古屋地裁(平成21年4月24日判決)は、KO企画が確実に勝てるなどの文言により被害者に誤信をさせたこと、本件各契約が次第に高額な契約へと移行しているのは、典型的な詐欺商法の手口と同様であることなどから、有償の情報提供行為をした行為に不法行為法上の違法性があるとし、KO企画と代表者に契約代金と弁護士費用の支払いを認めました。

 【兵庫県弁護士会HP

2 欠陥住宅で県の賠償責任を認めた判決

 自宅の建築工事で欠陥があり、工事をやり直すことになったのは、県が施工業者の審査を適切に行わなかったためとして、県に賠償を求めた事案において、長野地裁諏訪支部(平成21年4月13日判決)は、建設業法に定める審査を尽くしていなかったとして、県に575万円の賠償を命じました。

 建設業法は知事による建設業許可の条件として、専任技術者の勤務を義務付けているが、業者はこの条件を満たしておらず、知事はこの実態を把握せずに許可を与えたとしました。

3 不正流用金による取引について先物元役員の責任を認めた判決

 元社員(有罪判決が確定)が会社資金を不正流用していることを、先物会社(すでに破産)の元取締役が知りつつ外国為替証拠金取引(FX)を続けたとして、元社員の勤務先が損害賠償を求めていた訴訟で、名古屋地裁(平成21年5月25日判決)は、元取締役らが不正流用を知りながら取引を継続させ、組織的に会社資金を取引に投入させるように仕向けたとして、元社員の勤務先に対する直接の不法行為の成立を認め、元取締役に約4000万円の支払いを命じました。

4 ロコロンドン取引を賭博行為であるとして取引益金の返還を否定した判決

 ちょっと変わった判決。本人の意思に反して売買されたことによる「消された益金を含む証拠金の賠償」を求めた訴訟において、東京地裁(平成21年5月25日判決)は、ロコロンドン取引を賭博行為と認定した上で、賭博行為によって相手方が負担することになった金銭債務の支払いを求めることは、公序良俗に反し許されないとして益金についての原告の主張を退けました。ロコロンドン取引を明確に賭博行為と認定し、正規の利益であっても顧客がその返還請求をできないとする点は理論面では原告の勝訴ともいえる判断です。                       

5 追い出し屋に対して賠償を命じた判決

 貸金業を営む木村産業から家賃滞納を理由に2回鍵を交換され、34日間にわたって追い出されたのは違法であるとして、慰謝料等を求めていた訴訟で、大阪簡裁(平成21年5月22日判決)は、慰謝料50万円ほか65万円の損害賠償を認める判決を言い渡しました。追い出し行為の代表例とされる鍵交換について賠償責任を認めた初めての判決です。  

6 サクセスジャパンに対する破産開始決定が出る。

 未公開株販売の㈱サクセスジャパンに対する債権者からの破産申立により、5月20日に破産開始決定がなされました。

 東京地裁民事20部、平成21年(フ)第6082号。

 破産管財人:古屋正隆弁護士

 債権届出期間:平成21年6月24日まで

 債権者集会:平成21年9月7日午前10時

7 SFCGの破産手続について

 ㈱SFCGは本年2月23日に東京地方裁判所に民事再生手続を申し立て、翌24日に同手続開始決定を受けましたが、同年3月24日に同地裁は、再生手続廃止決定と保全管理命令をしました。同年4月21日に同地裁は、破産手続き開始決定を下しております。

 債権届出期間は本年7月21日までです。 【株式会社SFCGのHP