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消費者問題速報 VOL.67 (2009年2月)

1 司法書士の代理権の範囲についての判決

 約190万円の過払いにつき、司法書士が110万円の過払金返還の和解をした事案で、さいたま地裁平成21年1月30日判決は、司法書士による和解は代理権の範囲を超えており、無権代理であるとして和解契約の効力を否定しました。同判決は、過払金返還請求権の額と司法書士による和解により免除を得た額を合算し、これが140万円を超える場合には司法書士には代理権は認められないと判示。

 この判決の考え方が維持されれば、引直し計算後に140万円以上の過払金が存在する場合は、すべて司法書士の代理権の範囲を超えることとなり、今後の実務にも大きな影響を与えることになりそうです。

 なお、神戸地裁平成20年11月10日判決も、司法書士の裁判外代理権の範囲につき、「紛争の目的物の価額」は債権者の主張する債権額を基礎とするとしています(NBL898・36頁)。   

2 最高裁・遅延損害金の論点につき判決期日を指定-上告受理申立取下により終了

 遅延損害金の論点につき、原審大阪高判20年1月28日(金商1285・22)で、シティズが敗訴し、シティズが上告受理申立てしていた事件につき、最高裁第一小法廷は、2月12日付けで上告を受理し、判決期日を2月19日と指定した。敗訴を悟ったシティズは、2月17日付けで上告受理申立を取り下げ、判決期日も取消となった。最高裁が、シティズの遅延損害金の請求は信義則違反で認められないとの立場をとったことは明白であるが、信義則違反となる条件は不明のまま。

3 ライフに対する更正決定前の過払金返還を認めた判決

 神戸地裁平成21年1月23日判決は、更生手続の前後を通じて、外形的にはカード契約に基づく取引は更生手続の埒外に置かれているかの如き様相を呈していたものであるから、更正決定により地位の不連続性を主張するライフの免責・失権の抗弁は信義則に反するものであると判示し、更正決定前に生じた過払金「全額」についての返還を命じました(兵庫県弁護士会HP)。

4 SFコーポレーション(三和ファイナンス)による取引履歴不開示は故意によるものとして慰謝料・弁護士費用を認めた判決

 新潟地裁佐渡支部平成21年1月27日判決は、訴訟提起前には過去10年分の取引履歴しか開示しなかった三和ファイナンスが、訴訟提起後に18年分の全取引履歴を開示した事案につき、提起前の一部取引履歴の不開示は、三和ファイナンスの故意によるものと認定し、慰謝料10万円、弁護士費用1万円の支払いを命じました。また、三和ファイナンスが容易に過払金の返還に応じないことは、事案の内容・訴訟に至る経緯・三和ファイナンスの訴訟態度等から明らかであるとして、704条後段の損害として過払金元本の1割を弁護士費用として認めました(兵庫県弁護士会HP)。

5 未公開株商法の会社による従業員への不法行為を認めた判決

 東京高裁平成21年1月21日判決は、未公開株商法の会社従業員が、同社幹部による営業指導を信用して自ら未公開株を購入した事案について、同社は、従業員を通じて顧客に対し、ほぼ間違いなく購入した未公開株の価格が近い将来に高騰するとの断定的判断を提供しており、また、社内での説明や指導により従業員にもその旨誤信させていたこと自体が欺罔行為であるとし、会社の従業員に対する不法行為を認めました。

6 富士ハウス消費者説明会開催される

 浜松市に本社をおく富士ハウス株式会社に対し、平成21年1月29日東京地方裁判所から破産手続開始決定が出されました。愛知県弁護士会では、2月13日に消費者説明会を開催。同社破産管財人代理の田中秀幸弁護士は、スポンサー会社の支援のもと、別会社を設立して施主との契約を移行させるスキームを説明しました。説明会後の当会会員による無料個別法律相談では、137組もの方が相談受けられました。

 静岡に続き、愛知でも被害対策弁護団を結成しました。

 団長:弁護士 柘植 直也   事務局長:弁護士 石川 真司

 【弁護団連絡先】電話 052-231-5532

 【管財人連絡先】弁護士 松田耕治氏(東京弁護士会所属、シティユーワ法律事務所) 

 管財人室:静岡県浜松市中区砂山町350番地

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