2018年6月13日、国会において、「民法の一部を改正する法律」が成立し、男女ともに婚姻適齢が満18歳に統一された。

 今回の婚姻適齢に関する法改正については、法制審議会による「民法の一部を改正する法律案要綱」の答申から既に22年が経過し、改正の検討に長期間要したものの、当会がかねてから改正を求めてきた民法における差別的規定の一部の見直しであり、評価できる。

 一方、再婚禁止期間を定める民法第733条については、2015年12月16日の最高裁判決を受けて、6か月から100日に再婚禁止期間を短縮する法改正がなされ、再婚期間を短縮する法改正に際してはその附則で3年を目処に制度の在り方について再検討すべきこととされた。政府は速やかに検討に着手し、この間の国内外の知見を集約し、女性にのみに再婚禁止期間を設ける制度が、差別的なものであることを正面から受け止め、再婚禁止期間自体を撤廃すべきである。

 また、夫婦同氏強制を定める民法第750条については、憲法第13条及び同第24条が保障する個人の尊厳、同第24条及び同第13条が保障する婚姻の自由、同第14条及び同第24条が保障する平等権を侵害し、女性差別撤廃条約第16条第1項にも反するものである。加えて、前述の法律案要綱においても選択的夫婦別氏制度について既に答申されており、早急に見直しが必要である。

 これらの規定に対し、国連の女性差別撤廃委員会は、日本政府に対し繰り返し改正を勧告しており、女性差別撤廃条約の実施状況に関する日本政府の第7回及び第8回報告書に対する総括所見(2016年3月7日)の中でも、「女性が婚姻前の姓を使用し続けられるよう婚姻したカップルの氏の選択に関する規定を改定すること。さらに離婚後女性に対するいかなる再婚禁止期間も廃止すること」(13項)を改めて勧告している。

 また、2018年2月に内閣府が公表した「家族の法制に関する世論調査」において、「選択的夫婦別氏制度」を導入してもよいとの回答が過去最高の42.5%、導入する必要はないとの回答が過去最低の29.3%となり、選択的夫婦別氏制度を導入してもよいとの回答が導入する必要はないとの回答を上回っている。特に、18~49歳の女性では、導入してもよいとの回答が50%を超えていることが注目される。


 当会は、引き続き、国に対し、すみやかに、民法第733条を更に改正し再婚禁止期間の廃止を求めるとともに、民法第750条を改正し選択的夫婦別氏制度を導入することを強く求める。

                     2018年(平成30年)8月7日

                        愛知県弁護士会
                            会 長  木 下 芳 宣