近時、無料求人広告をめぐるトラブルが多発しています。

 多くのケースでは、求人広告業者が、中小企業や個人事業主などの事業者(以下「中小事業者」といいます。)をターゲットに、電話やファックスなどの方法で、「無料で20日間、求人情報をネットに掲載しませんか。」など無料を全面に出した勧誘を行い、勧誘を受けた中小事業者は、掲載料は不要と考えて申し込んだところ、一定期間経過後に高額の請求書が送付されてきます。中小事業者が改めて申込書などの書面を確認すると、契約書面や約款に小さな文字で「無料期間終了後は有料掲載に自動更新される」などの有料化条項が記載されており、「予期しない請求」をめぐってトラブルが多発しています。 

 愛知県弁護士会設置の「あいち中小企業法律支援センター」において、中小事業者の電話による無料法律相談を実施しているところ、今年4月1日から10月末日までの間に、この無料求人広告の件で78件もの相談が寄せられています。同センター以外での法律相談や法律相談に至っていない案件も存在していることを考えれば、実際のトラブル件数は相当な数にのぼるとみられます。

 無料求人広告トラブルは、人材確保に苦労している事業者の悩みに付け込んだ悪質な手口によるもので、昨今の経済情勢に鑑みても、今後も同様のトラブルが増加することが強く懸念されます。

 中小事業者は、無料求人広告を申し込む際には、申込書や契約書などの書面を隅々まで確認し、自動更新条項の有無や、自動更新とならないため必要な解約手続の方法などを確認し、トラブルに巻き込まれないよう十分に注意をしてください。

 また、既に裁判などにより掲載料の請求を受けている場合も、申込書の記載内容や勧誘説明の状況など、事案の状況により、支払義務が発生しないと考えられる場合も十分あり得ますので、請求を受けた場合はあいち中小企業法律支援センター(無料電話相談:平日9時半~16時半 電話番号052‐265‐6693)にご相談ください。

 愛知県弁護士会は、中小事業者の弱みに付け込んだ無料求人広告に対し強く抗議するとともに、被害に遭われた中小事業者に対する法的サービスを拡充させ、被害の防止に努めてまいります。

                     2019年(令和元年)11月25日

                      愛知県弁護士会

                         会長 鈴 木 典 行