1  静岡県の令和4年台風15号による水害の発生

 令和4年9月23日から24日にかけての台風15号の影響による記録的大雨により、静岡県内では人的被害9名(死者3名、負傷者6名)、住宅被害12,957棟(全壊6棟、半壊1,801棟、一部破損1,715棟、床上浸水5,182棟、床下浸水4,253棟)の被害が発生しました(令和4年11月2日総務省消防庁発表)。

2 静岡県弁護士会の対応と応援派遣の実施

 静岡県弁護士会は9月28日から電話で、10月3日からは静岡市の要請により市内3か所で他士業を交えた相談会を平日10時〜16時、清水区では土日も10時〜16時の面談相談を継続し、10月末くらいまでで600件程度の相談を実施したということです。
 弁護士の活動により避難の実相が静岡市にも伝わり、応急仮設住宅の設置、職員60名での全戸訪問による被害調査実施の決断につながったと言われています。
 静岡県弁護士会の被災者支援を担う弁護士だけではマンパワーが不足することから各地の弁護士会などから応援のための派遣申出があり、当会も応援派遣を実施することになりました。

3  応援派遣の状況

 応援派遣に応募した当会の会員は、派遣要請のあった期間の中から業務の合間を縫って、令和4年1128日〜12月9日までの間、10 時~16 時(16 時までに受け付けた方がいれば 17 時まで)の間、午前と午後の枠に分かれて清水区役所内での法律相談に参加をしてきました。 
 応援派遣では、清水区役所4階に設置された相談ブースにおいて静岡県及び静岡県外から応援に駆け付けた弁護士、税理士、司法書士、行政書士、建築士など他士業と一緒に被災者からの様々な相談を受けました。
 複数の士業で同時に相談を受けることにより、罹災証明申請、ボランティアセンターへの連絡、被災した自宅建物や自動車の問題への対応、流入した土砂の搬出や浸水した自宅の後片付けのポイント、雑損控除の説明といった解説にとどまらず、場合によっては罹災証明申請のため窓口に同行したり、被災者と一緒に各種問い合わせ窓口に電話をしたり、被災者の困りごと全般についてトータルで相談を受け付けることができました。
 現地の相談ブースでは清水区役所作成の被災者支援制度をまとめた冊子だけでなく、随時、最新の情報にアップデートされる支援情報提供のフローや支援制度のまとめ資料を活用することで円滑な相談業務を遂行することもできました。
 相談に訪れた被災者の方から同意を頂き、ご相談内容を支援弁護士間で共有することで各相談担当者の知識・経験の共有もリアルタイムで実施しました。

4  弁護士による法律相談は被災者のファーストステップ

 災害復興のための法制度は存在するものの、被災者に適切な情報を届けられなければ、絵に描いた餅に過ぎません。
 具体的な情報提供も弁護士の重要な役割です。被災時の法律相談は被災者が復興のためのファーストステップを踏み出すためになくてはならないものです。
 万一、将来、愛知県において大規模災害が発生した場合も、法律相談会の実施や情報提供、法的助言など、法律の専門家としての役割を果たしてゆきたいと考えています。

画像1.jpg