司法修習生への経済的保証
司法試験の合格後、裁判官、検察官、弁護士になるために行う約1年間の研修を司法修習といいます。
司法修習生は約1年間、平日の午前9時頃から午後5時頃まで研修を受けており、通常の会社員同様の生活を送っています。そして、「修習専念義務」といういわゆる兼業の禁止が義務付けられており、休日や平日の時間外のアルバイトについても原則禁止されています。
それにもかかわらず、司法修習生は、かつては準公務員として給費が受け取れていたものの(給費制度)、2011年度にこの制度が廃止され、無給となりました。
2017年4月に再び裁判所法が改正され、司法修習生に対して一定の給付がなされるようになりましたが、月額13万5000円と、以前の給付水準には達していない状況です。
また、2017年に一定の給付がなされるまでの6年間(新65期から70期)の司法修習生(いわゆる谷間世代)は、無給で司法修習を受けており、その多くが年間約300万円の貸与をうけ、国に借金をして生活しなければならなかったのですが、国は、未だにこの6年間の司法修習生に対する救済措置を講じようとしておりません。
当委員会では、院内集会(衆議院又は参議院議員会館の会議室で行う集会)や市民集会を開催したり、議員要請をするなどして、この問題に積極的に取り組んでいます。
谷間世代救済に向けて、着実に前進しています!
当委員会では、コロナ禍中も、途切れることなく議員要請を続けて参りました。
その結果、多くの国会議員の方々に、この問題が認知され、現在(令和5年6月14日時点)では過半数を超える380名もの国会議員が、給費制度の復活に向けて応援メッセージを寄せてくれています。
また、2023年5月23日に開催された院内集会では、小林元治日弁連会長が冒頭の挨拶で、谷間世代救済に向けての日弁連の本気度を示しただけでなく、
自由民主党 宮崎政久 党法務部会長
公明党 大口善徳 党法務部会長
立憲民主党 牧山ひろえ 党ネクスト法務大臣
日本維新の会 沢田良 党法務部会長
国民民主党 古川元久 党国対委員長
日本共産党 仁比聡平 参議院法務委員
社会民主党 福島みずほ 党首
という、各党の政策責任者をはじめ国会議員73名(うち、代理出席41名)を含む311名が参加しました。
ご出席いただいた各議員からは、法曹人材への投資をしっかりやっていかなければならない、国家予算からすれば実現不可能な数字ではない、今国会でいよいよ実現させるべき、これだけ賛同議員がいるのだから実現できるはず、といった力強いご発言をいただきました。
特に、宮崎議員(自由民主党)と大口議員(公明党)には、与党の政策責任者という立場で、この問題はもう解決しなければならない、きちんと取り組んで行くことを約束する等の、とても前向きなご発言をしていただきました。
この他にも、愛知県選出の議員からは、谷間世代の問題について未だに院内集会を開かざるを得ない状況が申し訳ないといったご発言もしていただきました。
このように、谷間世代救済に向け、国会議員にも本格的に動き出していただけそうな機運が高まってきました。
その他にも、日本医師会、JA全中(全国農業協同組合中央会)、日本歯科医師会、主婦連合会会長からも、谷間世代への一律給付について賛同メッセージが寄せられるなど、この問題が、着実に解決に向けて進んでいることを感じさせる会となりました。
(院内集会の様子)
(近藤昭一議員と) (古川元久議員と)
(大塚耕平議員と) (伊藤渉議員と)
(渡辺猛之議員と) (神田憲治議員と)
(工藤彰三議員と) (熊田裕通議員と)
(柘植芳文議員と) (本村伸子議員と)
(伊藤孝恵議員と) (吉田統彦議員と)
(安江伸夫議員と) (石井拓議員と)
(中川貴元議員と)
おわりに
貸与を受けた新65期は、今年7月で6回目の返済を迎えます。返済が進むほどこの問題の解決は実務上困難になっていくため、谷間世代問題の是正は喫緊の課題です。
今回の院内集会では、多くの国会議員の方々から、これまで以上に積極的なご発言をいただけました。この良い流れを止めることなく一律給付に向けて進んでいけるよう、当対策本部はこれからも活動を行ってまいります。