愛知県弁護士会の公害対策・環境保全委員会では,法制度によって生物多様性の保全が実効的に行われるようにするための取り組みとして市民向け学習会やシンポジウムを開催したり,重大な環境問題を抱える現地の視察を行うなどの取り組みを行っています。

◆ 市民向け学習会やシンポジウムの開催

 公害対策・環境保全委員会では,2010年10月に名古屋市でCOP10が開催され,日本でも生物多様性の保全という観点からの自然保護の取り組みが広く行われるようになったことから,2009年,2010年と連続してシンポジウムを開催し,生物多様性保全のために行われるべき地方自治体の取り組みや,生物多様性の保全に向けた訴訟の現状と課題について検討を行いました。

 また,COP10の開催から5年以上が経った現在において,改めて生物多様性保全の観点からの自然保護訴訟のあり方を検討するために,2017年2月18日にシンポジウム「生物多様性を主流化する~身近な自然を裁判で守る~」を開催しました。このシンポジウムでは,法律だけでなく,都道府県及び市町村の条例や生物多様性地域戦略等の制定によって,生物多様性の保全に向けた多様な法源を積み重ねることで,実効性のある法規範を形成することの重要性が指摘されました。

 同シンポジウムを踏まえて,公害対策・環境保全委員会では,今後,地方の現場で生物多様性の保護・保全を実現していけるような条例の制定を支援するための市民向け学習会やシンポジウムの開催を検討しています。

mijikana_kankyou_mondai.jpg  生物多様性シンポジウムーパネル 

◆ 環境問題を抱える現地の視察

 環境問題は,被害が発生した時点で,すでに回復困難な状況にあることが少なくありません。当委員会では,重大な環境問題が生ずる前に法律家としてやるべきことを検討するために,環境問題を抱える現地の視察を行うなどの取り組みをしています。このような視察を行う契機は,社会問題や,住民からの視察依頼など様々です。最近では,リニア新幹線のトンネル工事や開口部工事の視察や,里山にあるメガソーラーパネル設置予定地の視察などを行いました。

 このように,環境問題を未然に防ぐための取り組みを行っています。

リニア視察(サイズ調整)  メガソーラー視察