通販サイトを開いたとき、おすすめ商品が自動的に表示されて、不安を感じたことはありませんか?
役所が大切な文書を廃棄していたというニュースを目にして、不信感を抱いたことはありませんか?
私たちが自分らしく生き、自分のことを自分で決めるためには、自分に関する情報の在り方や行政機関が持つ情報へのアクセスに私たちが主体的に関与できること、すなわち、情報の主権者になることが必要です。情報問題対策委員会は、「情報主権」を確立するため、プライバシー、知る権利、情報公開、公文書管理に関するさまざまな取り組みをしています。
公文書管理改善のための提言
近年、財務省による公文書改ざん、自衛隊の日報隠蔽、桜を見る会の招待者名簿廃棄など、行政機関の公文書管理をめぐる様々な問題が取りざたされています。
公文書は、行政機関の諸活動や政策立案の過程を文書として記録し、後から検証するために必要な市民の財産です。そして、私たちが公文書を充分に活用するためには、自治体が公文書を適切に作成し、管理する必要があります。
情報問題対策委員会では、全都道府県、全政令指定都市、愛知県内の全市に対し、公文書管理に関するアンケート調査を行いました。
その結果、愛知県内の市は、都道府県や政令指定都市に比べて、インターネットによる公文書の検索ができない自治体の割合が高いことなどがわかりました。
また、大阪府庁と滋賀県庁を訪れ、公文書管理の視察も行いました。
今後は、アンケートや視察の結果に基づいて、各自治体の取り組みを分析し、望ましい公文書管理を実現するための提言をしていきたいと考えています。
市民向けシンポジウムの開催
情報問題対策委員会では、「情報主権」に関するシンポジウムを毎年度開催しています。
昨年度は、「今、考えたい! AI vs 人権」をテーマに、憲法学者の山本龍彦氏(慶應義塾大学法科大学院教授)による講演とパネルディスカッションを行いました。
(写真は2019年12月14日開催のシンポジウム「今、考えたい! AI vs 人権」でのパネルディスカッションの様子)
冒頭のおすすめ商品の表示は、まさにAIを利用したマーケティングの一環なのです。
シンポジウムでは、AIの活用による利便性の向上と人間の権利や自由を脅かす危険性にどのように向き合っていけばよいのか、皆様と一緒に考えました。
情報問題対策委員会では、今年度もシンポジウムを企画しています。
「スマホを捨てたい子どもたち」
コロナ禍でコミュニケーションも変化を余儀なくされた今、あらためて「人と人とのつながり」を見つめ直してみよう、という企画です。
講 師 山極寿一さん(京都大学前総長、人類学者、霊長類学者)
と き 2021年1月9日(土) 午後1時~4時
ところ ウインクあいち(愛知県産業労働センター) 小ホール1
詳細は後日あらためて、愛知県弁護士会ホームページでお知らせします。是非ご参加ください。