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本部長就任のご挨拶

令和元年度 愛知県弁護士会 会長
秘密保護法・共謀罪法対策本部 本部長
鈴  木  典  行

 愛知県弁護士会は、2012年5月、国民の知る権利を侵害する恐れの大きい、いわゆる秘密保全法制の成立に反対する立場から秘密保全法制対策本部を設置しました。2013年12月6日、「特定秘密の保護に関する法律」(以下「秘密保護法」といいます。)が強行採決され成立したことから、その後は、秘密保護法対策本部(以下「対策本部」といいます。)において、秘密保護法の廃止を求めつつ、同法の運用を監視する活動を行ってきました。

 更に、対策本部は、2017年6月15日に罪刑法定主義に反する恐れが大きい、「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律」(以下「共謀罪法」といいます。)が成立する前から、その制定に反対する活動を行い、成立後は同法の廃止を求める活動を行ってきました。そして、昨年度から、対策本部の名称を日弁連における組織状況に合わせて「秘密保護法・共謀罪法対策本部」に変更して活動を行っております。

 その際、対策本部の活動を明確にするため、日弁連の秘密保護法・共謀罪法対策本部と連携しつつ、秘密保護法及び共謀罪法に関し、本会の対応の方策を検討し、提案するとともに、本会の確立した意見に基づき、具体的な諸活動を企画し、実行することを対策本部の目的とし、本部長を当会の会長が務めることとした上で、対策本部の存続期間を令和2年5月31日までとしました。

 秘密保護法では、防衛、外交、スパイ防止、テロ活動防止の分野でその漏えいが我が国の安全保障に著しい支障をきたすおそれがあり、特に秘匿することを必要とする情報を「特定秘密」として指定するとされていますが、特定秘密の定義は曖昧であり、例えば、自衛隊の活動も、防衛に関する活動と評価され安全保障に著しい支障をきたすおそれがあるとされれば、特定秘密と指定されることになります。昨年、自衛隊イラク派遣時の日報につき、当初は存在しないと答弁されていたにもかかわらず実際には存在していたという事件が起こりましたが、仮に上記自衛隊の活動が特定秘密として指定されていれば、国民がその活動内容を知ることは極めて困難となります。衆参両議院にそれぞれ情報監視審査会が設置されていますが、上記事件における日報も廃棄されたとして開示されないことにもなりかねず、審査会のチェック機能も十分に働かない状況にあるといえます。

 共謀罪法は、長期4年以上の刑を定める犯罪の内、組織犯罪集団の関与が考えられる同法別表4で定める277の犯罪において、組織的犯罪集団の活動として、当該行為を実行するための組織により行われているものについて、計画した犯罪の実行の準備行為が行われた段階を処罰の対象とするものであり、実行行為の着手前の行為は処罰の対象としない刑法の考え方を大きく変容させる危険な法律です。共謀罪法は、秘密保護法と相まって言論の自由を大きく制約する危険を持つものです。

 このように民主主義、国民主権に重大な問題を引き起こす危険の大きい秘密保護法、共謀罪法に対しては、市民に対して今後もその問題点、危険性を指摘し、廃止を強く求め続けていくとともに、その運用を監視して行く必要があります。

 対策本部の活動に対して、皆さまのご理解、ご支援をお願いします。