【弁護士法人丸の内国際法律事務所の破産手続開始決定等に関するQA】

(破産手続開始に至った経緯)

Q1 弁護士法人丸の内国際法律事務所(主たる事務所 名古屋市中区丸の内三丁目6番11号 レインボー丸の内601号室、令和68月移転前の主たる事務所 名古屋市中区丸の内三丁目4番12号ワークビル丸の内3階)が破産手続開始に至った経緯を教えてください。 

A1 弁護士法人丸の内国際法律事務所(以下「丸の内国際法律事務所」といいます。)は、瀬辺勝(弁護士会に登録されていた職務上の氏名です。なお、丸の内国際法律事務所の登記簿記載の表記は「瀨邉勝」でした。)弁護士が唯一の社員であったところ、瀬辺勝弁護士は令和7年6月13日に死亡しました。これにより、丸の内国際法律事務所は、社員を欠乏する状態となり(弁護士法第30条の223号、第30条の23第1項第7号)、解散することとなりました。

 そこで、愛知県弁護士会(以下「当会」といいます。)は、日本弁護士連合会が定める弁護士法人規程(平成131031日会規第47号)第25条に基づき、名古屋地方裁判所に対し、本件弁護士法人の清算人の選任を申し立て、当会所属の服部郁弁護士(以下「服部清算人」といいます。)が清算人に選任されました。

 その後、服部清算人が調査した結果、丸の内国際法律事務所が債務超過の状態にあることが判明したため、服部清算人により丸の内国際法律事務所の破産手続開始申立てがなされました。

 そして、かかる破産手続開始申立てを受け、2025年(令和7年)7月24日、名古屋地方裁判所が破産手続開始決定をしたものです。

(破産管財人、今後の破産手続)

Q2 丸の内国際法律事務所の破産管財人の名前、今後の破産手続について教えてください。

A2 丸の内国際法律事務所の破産管財人の名前は下記のとおりです。

 今後の破産手続については、破産管財人が開設した下記ホームページをご確認ください。

  破産管財人の名前   池田伸之

  住所 愛知県名古屋市中区丸の内一丁目1719号 キリックス丸の内ビル802

             池田総合法律事務所

  ホームページ     bmkh-kanzai.com

(着手金、被害分配金の返還)

Q3 私が丸の内国際法律事務所に支払った着手金や、丸の内国際法律事務所又は瀬辺勝弁護士が私の代理人として金融機関から受領した被害回復分配金等はどうなりますか。返してもらえるのでしょうか。

A3 今後は、裁判所から選任された破産管財人が、丸の内国際法律事務所の財産及び負債の調査を行うことになります。また、破産管財人は、債権者に対する配当原資とすべく財産の換価回収を進めていくことになります。

 破産手続においては、破産管財人が破産者の全財産を換価・回収した後、破産手続に要した費用や租税債権などの優先順位の高い債権の支払いをしてもなお財産(配当原資となる財産)がある場合に、はじめて配当が行われます。配当の順序、方法等も破産法という法律によって決められています。

 この点、破産手続は始まったばかりであるため、後述する投資詐欺等の被害者の方々を含め債権者の方々に対する配当が可能かどうか、現時点では全くわかりません。

 なお、瀬辺勝弁護士は、SNS広告等により顧客勧誘した、投資詐欺・国際ロマンス詐欺の被害者に対し、被害回復の可能性について適切な説明をせず、回収可能性が高いと誤信させ、多数の事件を受任していたことが判明しており、具体的な負債総額や債権者数は見通せないものの、多額の負債総額にのぼる可能性が高いと見込んでおります。

(委任契約等)

Q4 私と丸の内国際法律事務所の間の委任契約や依頼していた事件はどうなるのですか。

A4 委任契約は終了することになると解されます。

 清算人や破産管財人が委任契約や事件を引き継ぐことはありません。

(詐欺被害により被った被害の回復のためにできること、被害回復分配金)

Q5 被害回復分配金とは何ですか。

 詐欺によって被った被害を回復するためにできることがあれば教えてください。

A5 一定類型の詐欺(*振込詐欺に限られません。)について、被害者は金融機関に対し申し出ることにより、金融機関に振り込んだ口座を凍結(利用停止)してもらい、当該口座の残高を原資として、被害額の全部または一部を被害回復分配金として受領できる制度があります(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律参照)。こうした制度により、凍結された口座から受領できるお金のことを被害回復分配金といいます。

 丸の内国際法律事務所又は瀬辺勝弁護士が、すでに被害回復分配金の支払申請をしているものの、現時点で未回収の場合、金融機関にあなたが依頼者本人であることを説明すれば、被害回復分配金の受取りをあなたご自身の口座に変えてもらえる可能性があります。この点につきましては、金融機関の判断に関する事項になりますので、金融機関に直接ご相談ください。

 また、丸の内国際法律事務所又は瀬辺勝弁護士が代理人として、まだ被害回復分配金支払申請をしていない場合、あなたご自身において金融機関に被害回復分配金支払申請をすることも可能です。申請期限に注意して対応をご検討ください。

 なお、被害回復分配金の支払申請の手続の流れ等については、預金保険機構のホームページ(https://www.dic.go.jp/yokinsha/page_000204.html)において詳しい説明がされていますので、参考にしてください。

(今後の対応、相談窓口等について)

Q6 今後、どのように対応したらよいのでしょうか。

A6 丸の内国際法律事務所に対して着手金の返還を求める場合は、破産手続において処理されます。Q3をご覧ください。

 丸の内国際法律事務所又は瀬辺勝弁護士がまだ被害回復分配金支払申請をしていない場合については、被害回復分配金の支払いを受けることができる可能性がありますが、ほとんどの事案で既に支払申請期間が終了しており、被害回復分配金の支払いは受けられないのではないかと思われます。

 被害回復分配金については、Q5をご確認ください。

 被害回復分配金支払申請のほかに、とりうる方法等を知りたい方は、お住まいの近くの弁護士会が運営している法律相談窓口(https://www.soudan-yoyaku.jp/)にご相談ください。

 なお、投資詐欺や国際ロマンス詐欺によって被った被害を回復できる可能性については、Q8をご確認ください。

(別の弁護士に依頼する際の留意点、相談窓口等について)

Q7 少しでも詐欺によって被った被害を回復したいので、別の弁護士に依頼しようかと考えています。別の弁護士に依頼するにあたって気を付けることがあれば教えてください。

A7 投資詐欺や国際ロマンス詐欺を扱う弁護士の業務広告(LINEなどのSNS広告を含む)のなかには、被害回復が容易であるかのように誤信させて顧客を勧誘しようとしているものをはじめ不適切な広告が散見されます。こうした投資詐欺や国際ロマンス詐欺を扱う弁護士の業務広告に関する注意点については、以下の当会ホームページをご確認ください。

 「国際ロマンス詐欺等の案件を取り扱う弁護士業務広告にご注意ください!」

  https://www.aiben.jp/news/2023/08/post-107.html

 なお、丸の内国際法律事務所へ依頼された方については、1年以上前の被害であることがほとんどと聞いています。その場合、現状では回収見込みはほぼありません。それでもなお、別の弁護士を探されたい方は、お住まいの近くの弁護士会が運営している法律相談窓口(https://www.soudan-yoyaku.jp/)へ相談されることをお勧めいたします。

(詐欺被害により被った被害を回復できる可能性について)

Q8 投資詐欺や国際ロマンス詐欺によって被った被害を回復できる可能性は、実際、どの程度あるのですか。

A8 上述した被害回復分配金の制度があるものの、凍結できたとしてもわずかな口座残高しかない場合が多く、十分な被害回復を得られることはほとんどありません。

 また、現在、詐欺の首謀者を特定することが極めて困難な状況であり、詐欺の幇助者(口座提供者)に対して損害賠償請求を行うほかに被害回復の途がありません。その場合でも、被害発生から時間が経つほど、被害回復が困難になっているのが実情です。