会報「SOPHIA」 平成21年1月号より

特集 就職最前線(前編)

司法修習生にはなったけれど……

   会報編集委員会 

 最近の急激な弁護士人口の増加により、司法修習生が深刻な就職難に陥っている。
 そして、会員同士の会話の中で以下のような話をよく耳にする。

 

・東京・大阪では就職を希望しても就職できない司法修習生が即独弁護士(新規登録と同時に独立開業する弁護士)になっている。

・即独弁護士という言葉は聞くが実際にはどんな弁護士生活を送っているのか。

・当会でも今年は即独を余儀なくされる弁護士が生まれるのではないか。

・東京・大阪には弁護士会費の負担を避けて登録せずに就職活動を続けている就職浪人がいる。

・毎年弁護士が増加しても、司法修習生の大都市志向によって地方単位会の会員は予想どおりに増えていっていない。

・会員の少ない地方単位会においても思ったほど弁護士需要があるわけではないらしい。

・イソ弁採用を予定している事務所には司法修習生の応募が殺到するため、採用試験を行っている事務所もある。

・イソ弁採用を全く予定していなかったのに頼み込まれてイソ弁を採用した事務所が結構あるらしい。

・司法修習生は日々の修習よりも就職活動の方に目がいっている。

・最近のイソ弁の給料は安いらしい。

 
 以上の会話に表れている就職の現状は、これから我々の仲間となる司法修習生の窮状を示すものであるが、問題はそれだけではない。
 就職難で即独を余儀なくされた弁護士の増大は、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を経ることなく一人で市民と相対する弁護士を多数生み出すことを意味し、市民の権利擁護に支障をきたす可能性があるということも懸念される。
 日弁連はこのことを理由の一つとして平成20年7月18日に法曹人口問題に関する緊急提言を行った。
 以上のとおり、「司法修習生の就職問題」は、法曹人口問題にも直結し、市民の権利擁護にも関わる極めて重要な問題である。
 そこで、会報編集委員会は、司法修習生の就職問題の客観的状況を明らかにするため、前記の会話のような伝聞を排して、以下のとおり、本号と2月号の2回に亘って、直接当事者にインタビューすると共に覆面座談会を行って生々しい話をお伺いした。
 そして、同時に関係当事者に複数のアンケートを敢行した。

 

本号「就職最前線(前編)−司法修習生にはなったけれど…」

 1 統計から見た大都市と地方
 2 日弁連における取り組み
 3 大阪弁護士会の就職の現状
 4 島根県弁護士会の就職の現状
 5 愛知県弁護士会の就職の現状
 6 即独弁護士の現状(東京編)
 7 即独弁護士の現状(大阪編)
 8 採用する側から−親弁アンケート
 9 採用する側から−新米親弁の覆面座談会
 

2月号「就職最前線(後編)−弁護士にはなったけれど…」
 
1 勤務弁護士の初年度年収等についてのアンケート
 2 司法修習生の就職についてのロースクール生によるアンケート
 3 新61期勤務弁護士の覆面座談会

  
 これらの特集記事が、現在就職活動を行っている司法修習生、勤務弁護士採用を検討している会員、当会の就職・採用プロジェクト・チーム、即独弁護士について弁護士育成システムや法曹人口問題を検討している日弁連や各単位会において参考となることがあれば幸いである。





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