会報「SOPHIA」 平成18年7月号より

憲法問題シリーズ第9回
平和は武力で守るべきでない!
〜近藤昭一議員を招いての憲法学習会〜

憲法問題特別委員会 委員 丹 羽   靖

1 平成18年7月14日、民主党愛知県連代表の近藤昭一衆議院議員(愛知3区)を講師としてお招きし、KKRホテルにて、憲法学習会が開催されました。
 近藤議員は、民主党若手国会議員による政策集団「リベラルの会」の代表世話人であり、また、昨年12月、前原前民主党代表が唱えた集団的自衛権行使容認論と中国脅威論に対して、平岡秀夫議員と共に、批判的な論文(「世界」4月号)を発表するなど、憲法改正問題に関して、護憲的な立場から、積極的に発言をされています。


2 この憲法学習会当日は、近藤議員自らの経験、体験に基づく憲法改正反対論を語って下さいました。以下、その概要を記載させていただきます。

(1)現行憲法の評価
 日本国憲法は押しつけられた憲法であることは確かだが、だからこそ中身、特に、個人の尊重をうたう第12条から第14条は素晴らしい。大切なことは、その精神を我々がどれだけ自分の身とすることができるかである。

(2)集団的自衛権の行使について
 集団的自衛権の行使は容認できない。そもそも、平和は武力で守るべきものではない。また、日本は、戦後約60年、アメリカに追従し、アメリカと一緒に戦争できる国を作ろうとしてきた。現在の日本にとって、集団的自衛権の行使を容認することは、日米安全保障条約を拡大することに他ならない。しかし、そうなれば、アメリカの軍事的世界戦略に巻き込まれる危険性が高い。
 日本の平和・安全の確保は、集団的自衛権の行使によってではなく、集団的安全保障体制の確立によって、図るべきである。

(3)イメージが先行する「中国脅威論」
 「中国脅威論」は、イメージのみが先行しており、実際には、中国は日本にとって脅威ではない。詳細は、「世界」寄稿の論文を参照されたいとのことだったので、以下、要旨を抜粋します。
 「中国は、国内貧富の格差解消のためにも、周辺諸国との『協調外交』を希求。人民解放軍は、近代化を行っているものの、技術的・能力的に10〜20年の遅れ。『敵意』がなければ『脅威』とはならず、日中相互理解が最大の外交・安全保障政策。日中関係は主張すべきは主張する成熟した関係を目指すべきだ。」
 また、北朝鮮についても、近藤議員自身が過去4回訪問した際の経験から、北朝鮮を脅威とみなすのではなく、「こじ開けるのではなく、開けるのを手伝うべきである」との話もあった。

(4)平和は武力で守るものではない!
 軍隊は、決して市民を守らない。武力では平和は作り出せない。日本は、現行憲法の平和主義の精神を生かして、日米関係は大切にしつつも、日本独自の外交戦略の下で、平和と安全を確保すべきである。


3 以上のようなお話の後、参加者からちょうどトピックであった北朝鮮のミサイル発射問題や、先制攻撃論について、民主党の憲法提言について、国連中心主義のあり方について等々の質問が出され、近藤議員から逐一丁寧なご回答をいただき、約1時間30分の充実した勉強会は終了いたしました。


4 末筆になりましたが、政務にご多忙の中、貴重なお時間を割いて、有意義なお話をお聞かせいただいた近藤議員に、本紙面を借りてあらためて厚く御礼申し上げます。





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