【法律豆知識】子どもの怪我と損害賠償
 小学校1年生の息子が、放課後、学校で遊んでいたところ、同級生に押されて転倒し、怪我をしてしまいました。同級生の親や、学校に対し、損害賠償を請求することはできますか。
 まず、同級生がどのような行為をしたかによって請求できる場合とできない場合があります。
 子どもの遊戯方法として一般的に認められた遊戯中に、その遊戯に通常伴う程度の行為によって偶発的に怪我をさせたような場合には、その行為は違法ではないと考えられます。例えば、小学校2年生の子どもが「鬼ごっこ」の最中に友達の背にしょってもらって逃げようとしたところ、友達が転倒して腕を骨折したという事例で、違法性を欠くとした裁判例があります。このようなケースでは、損害賠償を請求することはできません。
 しかし、加害行為がそのような程度を超え、粗暴にわたるような場合には、違法であると考えられます。例えば、4才の幼児が竹棒で友達の目を突き、失明させたという事例で、違法性を認め、損害賠償を請求できるとした裁判例があります。
 損害賠償を請求できる場合、小学校1年生の同級生には責任能力が無いので、監督義務者である親が責任を負い、損害賠償をすることになります。親は子が家庭内にいると否とを問わず、子の生活関係全般にわたって保護監督する義務があるので、学校内で起きた事故であるから現実に監督することはできなかったというような理由で責任を免れることはできません。
 これに対し、学校は、学内における教育活動やこれに準ずる活動に関する子どもの行動部分に限って監督義務を負うので、放課後の事故については、事故を予測できるような特別な事情がない限り、損害賠償する義務を負いません。

(平成19年度掲載)