【法律豆知識】英会話・エステ等の継続的契約の中途解約について
 長期の契約をする英会話教室の中途解約時の精算方法について、最高裁の判例がでたそうですが、どのような判例であったのですか。
 英会話教室などの継続的なサービスを提供することを内容とする契約について、これまで解約時のトラブルが多かったこともあって、特定商取引法は、英会話教室で2ヶ月以上・5万円を超える契約をした場合には、中途解約ができることと、その場合の精算方法を定めています。キャンセル料の上限は、教室に通い始める前は1万5000円です。通い始めた後はそれまでに提供された役務(サービス)の対価に5万円か契約金残額の20%のいずれか低い額を足した額以外は入会金などの名目の如何を問わず返還しなければなりません。特定商取引法は強行法規ですので、これに違反する契約は無効です。
 中途解約時に英会話教室が「それまでに提供した役務の対価」を受領できるのは当然としても、その「役務の対価」を算出するにあたっての「単価」まで特定商取引法が定めているのかが争点となっていました。通常は、契約締結時の単価を用いて計算されることが原則です。それでは、長期の契約者が割安の価格で契約をした場合に、中途解約時には通常価格ないし、解約時にのみ適用される別の単価にてこれを計算するよう契約に定めることは可能でしょうか?
 この点について判断したのが、最高裁平成19年4月3日判決です。最高裁は、「本件料金規定は、契約締結時において、将来提供される各役務について一律の対価額を定めているのであるから、それとは別に、解除があった場合にのみ適用される高額の対価額を定める本件精算規定は、実質的には、損害賠償額の予定又は違約金の定めとして機能するもので、(特商法の)上記各規定の趣旨に違反して受講者による自由な解除権の行使を制約するものといわざるを得ない」と判断しました。解除のときは契約時の単価にて計算さるべきとされたのです。
 従って、精算時の単価を契約時より高額の単価にて設定することはできません。
 この考え方は、エステティック、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介にも適用があります。

(平成19年度掲載)