【法律豆知識】遺産分割の手続について
 遺産分割の手続(やり方)について説明してください。
 遺産の分割については、まず遺言書の有無を確認します。遺言書がある場合は、原則として遺言書に従います。遺言書がない場合は,先ずは,@相続人の確定,A亡くなった方(被相続人)の遺産の範囲の確定と評価を行います。
 つづいて,@,Aを前提として,B各共同相続人の具体的な相続分を確定します。具体的相続分は,それぞれの法定相続分(民法900条)に対して,被相続人の財産の維持又は形成に寄与した方についての寄与分の加算(民法903条),相続分の前渡しと見られる生前贈与や遺贈を受けた方についての持ち戻し計算(特別受益。《民法904条の2》)等の修正をしたうえで,算出します。
 これら@〜Bの前提問題を確定したうえで、共同相続人全員の合意(協議)により遺産を分割します(民法907条)。
 この協議による分割が成立するためには,共同相続人全員の合意が必要となりますが,その反面で,全員の合意がある限り,共同相続人は,各々の具体的な相続分に関わらず,分割の内容を自由に定めることが出来ます。
 次に,分割協議がまとまらないときや協議が出来ないときには,各共同相続人が家庭裁判所に調停を申し立て,分割を請求する方法を取ります(民法907条2項)。この調停による分割も,本質的には話し合いにより遺産を分割する方法ではありますが,単なる協議とは違い,調停委員又は家事審判官に,協議のあっせんを期待することが出来ます。
 最後に,調停による分割がまとまらず,遺産分割調停が不成立となった場合には,審判手続に移行し,家庭裁判所の審判官が民法906条に定める分割基準に従い,各相続人の具体的な相続分に反しないよう分割を実行します(審判による分割)。

(平成19年度掲載)